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解説記事2022年04月04日 ニュース特集 海外資産関連事案の把握と国際税務専門官の役割(2022年4月4日号・№925)

ニュース特集
把握のタイミング・海外資料・管理方法等を確認
海外資産関連事案の把握と国際税務専門官の役割


 国税当局は、課税部重点課題の一つとして「国際化への対応」を掲げており、相続税調査ではCRS情報や国外財産調書、国外送金等調書等の資料情報を活用した調査により海外非違件数の向上が図られている。本特集では、相続税海外資産関連事案を把握するタイミング、申告書等のチェックポイント、国際税務専門官への報告内容、海外資産関連事案の管理・調査選定等についてQ&A形式で概観する。

Q
海外資産関連事案とは具体的にどのような事案ですか。
A

 下表の①〜⑤に該当する事案が、海外資産関連事案とされています。
 「⑤その他」の海外資産関連事案には、被相続人や相続人が日本国籍を有していない場合や外国税額控除を適用している場合などが該当するようです。

Q
資産税を担当する国際税務専門官の配置署を教えてください。
A

 令和3事務年度は、東京局、大阪局など5局16署に資産税担当国際税務専門官が配置されているようです。

Q
国際税務専門官と税務署、国税局との関係は?
A

 各税務署で海外資産関連事案を把握した場合、国際税務専門官に報告を行い、国際税務専門官が国税局に報告します(下図参照)。
 国際税務専門官は、海外資産の申告漏れについて独自の目線で選定や調査を行うことから、一旦調査省略とされた事案であっても国際税務専門官の確認を経て調査選定される場合があるようです。そこで各税務署で把握した海外資産関連事案は、申告審理等の結果に関わらず全件が国際税務専門官に報告されます。

Q
税務署で相続税海外資産関連事案を把握するタイミングを具体的に教えてください。
A

 相続税の海外資産関連事案は、①「相続税の申告内容チェックシート」による行政指導項目等の確認時、②「相続税実地調査選定表(相続税申告審理表)」の作成時、③「相続税の申告内容チェックシート」の調査事務担当者部分(評価)の確認時、④「相続税無申告事案実地調査選定表(相続税無申告事案審理表)」の作成時、⑤一括非課税処理時等に把握されます。
 また、実地調査、机上調査の際に初めて海外資産関連事案と判明するケースもあることから、臨宅調査時に海外の銀行関係の書類等を見つけた場合は、国際税務専門官に報告が行われます。

Q
海外資産・海外居住者を把握する際の申告書等の着眼点は?
A

 申告書第9表、第11表、第13表、第14表から財産や債務の所在地等が確認されます。海外資産には債務や葬式費用も含まれることから第13表がチェックされ、第9表の生命保険金欄や第14表の贈与加算欄からも海外資産の有無が確認されます。
 海外居住者については、申告書第1表、第1表(続)に記載されている被相続人や相続人の住所がチェックされます。被相続人や相続人の中に一人でも海外居住者がいれば報告の対象となります。海外居住者は海外との結び付きが強く、親族に一人でも海外居住者がいる場合は海外資産の存在が疑われるため、課税当局にとって重要な情報となるようです。なお、海外居住者の記載では、英語だけでなく、漢字・カタカナでの表記にも注意するようです。
 そのほか、①相法58条通知書の死亡地欄に海外住所が記載されている可能性がある、②遺言書や住所の履歴書など、海外関係の情報が申告書の添付書類に隠れている場合もあるとされています。

Q
海外資料とはどのようなものを指しますか?
A

 海外資産の存在を示唆する(海外資産を把握する端緒となる)資料が「海外資料」とされています。国外送金等調書、自動的情報交換資料(法定調書情報)、CRS資料(各資料情報カードのイメージは次頁参照)、国外財産調書、貿易外取引資料などが該当します。
 CRS情報については、情報の蓄積が進み、特定の者について複数年分のCRS情報が存在することも少なくないようです。CRS情報を把握した場合は、過去の国外送金等の有無、国外財産調書の提出の有無なども確認されます。また、相続税事案ではジョイント口座が多く見受けられることから、全く同額の資料がある場合には重複の可能性も考慮するようです。
 なお、CRSの残高情報は相続開始日の残高ではないため、調査においては、基本的に調査対象者に残高証明書や取引明細書(ステートメント)の取り寄せを依頼して確認することになるとしています。

Q
国際税務専門官による海外資産関連事案の管理・調査選定について教えてください。
A

 海外資産関連事案は、「海外資産関連事案の管理一覧表」(調査担当統括官・国際税務専門官が作成)により管理されます(参照)。
 国際税務専門官による調査選定では、単独事案は、「多額の海外資産の申告漏れが見込まれる事案」及び「海外資産の申告漏れに不正が見込まれる事案」など海外資産の調査に関して専門性が求められる事案とされ、支援事案は、海外資産の申告漏れが見込まれる事案で調査項目が限定的な事案のうち、国内財産の申告漏れも見込まれる事案が優先的に選定されます。

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