会計ニュース2022年04月15日 四半期報告書の廃止が決定的に(2022年4月18日号・№927) 四半期開示は「四半期決算短信」に一本化へ、半期報告復活の可能性も
本誌923号(12頁)では、金商法上の四半期報告書が廃止される可能性についてお伝えしたところだが、4月12日に開催された内閣官房の「新しい資本主義実現会議(第5回)」に鈴木金融担当大臣が提出した資料に『法令上の四半期報告を廃止し、取引所の四半期決算短信に「一本化」』することが明記された。これにより、四半期報告制度の廃止が事実上確定した。
ただ、資料には「その位置づけなどは、四半期以外のタイムリーな開示のあり方と併せて、年内に検討」との記述もあり、今後検討される事項は残っている。まず、四半期開示が四半期決算短信に一本化されることに伴い、四半期決算短信における開示内容の見直しがテーマとなりそうだ。具体的には、コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻による影響等に関する開示が十分でないという指摘を踏まえ、「リスク情報」の開示強化を求めるべきとの意見がある。
もっとも、四半期短信自体も「任意化」される可能性がある模様。その代わりに、2006年に四半期報告制度が創設されたことに伴い廃止された半期報告書の作成および中間監査を再び義務付けるべきとの意見も出ている。非上場であっても大規模な株主の募集を行っている企業等は現在も半期報告書を作成し、中間監査を受けなければならない。このように非上場企業等が中間監査を受けているにもかかわらず、上場企業が期中に一度も監査を受けないということが許されるのかとの指摘がある。
また、半期報告を義務付けたとしても、中間監査ではなく、現在の四半期報告書と同じく「レビュー」でよいのではないかとの意見もある。ただ、レビューと監査では、会計処理や会計方針が適切かどうかを検証するための手続きが異なり、レビューの方が監査よりも手間もかからず、要する時間も短いが、その分、監査よりも会計監査人による「保証」の水準は低い。
本誌取材によると、四半期報告書の廃止は、2023年の通常国会における金融商品取引法の改正を経て、2024年3月期に係る四半期から適用されることとなる見込み。企業の経理部門や監査法人にとって大きな負担となってきた四半期報告書の廃止により、経理部門や監査法人の働き方も変わることになりそうだ。
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.