税務ニュース2022年05月13日 ペーパーレスFAX、送信者の保存義務は(2022年5月16日号・№930) 受信者が電子保存していても、送信者は書面をFAXなら電子保存不要
電子帳簿保存法取扱通達解説の7−8によると、FAXは通信方法としては電磁的記録によりやり取りされていることから電子帳簿保存法2条5号に規定する「電子取引」に該当するとしつつも、「当該やり取りは送受信に係る技術的な側面に過ぎず、現在普及しているFAXの一般的な使用状況を踏まえれば、送信者側も受信者側も書面により確認及び保存することを前提としていることから」書面によるやり取りであると解説されている。ただし、ペーパーレスFAXを含む複合機等によるデータの送受信については、「電磁的記録としてデータの取り出し及び保存を前提とし、そのような機能を用いて書面による出力をすることなく電磁的記録の保存を行う場合」には電子取引に該当し、電子データ保存が必要になるとしている。
もっとも、複合機等により電子データを送受信する場合でも、書面を出力することは少なくない。通達解説では「電磁的記録としてデータの取り出し及び保存を前提とし、そのような機能を用いて書面による出力をすることなく電磁的記録の保存を行う場合」との前提が置かれており、紙に印刷する機能とペーパーレスFAX機能を同時併用した場合の取扱いは必ずしも明確ではない。
また、通達解説では「誰にとって」電子取引に当たるのかも明記されていない。「電磁的記録としてデータの取り出し」との記述からは「受信者にとって」のものに見えるが、「複合機等のファクシミリ機能(いわゆるペーパーレスFAX等を含む。)を用いて送受信する場合において」との記述からは、「送信者にとって」との意味も込められているようにも読める。
受信者にとって電子取引であれば送信者にとっても電子取引に該当するということも理屈上は考えられるが、送信者側では受信者がペーパーレスFAXを使っているかどうかは不明であり、それを確認することも不可能に近い。このため、送信者が紙の書面をFAXした場合には、たとえ受信者がペーパーレスFAXを使っていようと、電子取引には当たらず、送信した書面を電子データ保存する義務はないと解することが合理的ということになろう。
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.