税務ニュース2022年05月27日 旧広大地通達巡る裁判で納税者敗訴(2022年5月30日号・№932) 平成16年・17年資産評価企画官情報はマンション適地には適用されず
相続税法上、広大地の評価については、道路、公園等の公共公益的施設用地の負担が必要になり、いわゆる潰れ地が生じることから、減額補正することとされているが、平成29年改正前の財産評価基本通達24−4によれば、マンション適地に該当する場合は潰れ地が生じないため減額補正の必要はないとされていた。
マンション適地該当性の判定は難解で、国税当局と納税者との間の見解の相違による争いが絶えなかったが、周知のとおり、旧広大地から「地積規模の大きな宅地の評価」へと上記通達が改正、広大地の面積・形状に基づく評価方法に見直され、客観的な判定をすることができるよう適用要件が明確化された。
本件は、当該改正前の事案で、国税不服審判所のHPで請求棄却の裁決が公表されている(令和元年11月12日裁決・本誌846号)が、東京地裁でも納税者敗訴の判決が言い渡された。
東京地裁は、裁決同様、「本件各土地は、準住居地域又は第一種住居地域内に位置し、いずれの地域においても容積率は200%であって、マンションの建築に係る公法上の規制としては厳しくなく、本件相続開始時における被告主張地域内に所在する土地は、地上階数3階以上の共同住宅の敷地として利用されている土地が中心であり、平成9年3月12日以降本件相続開始時までの間において、地上階数3階以上の共同住宅の建築事例が4件あるのに対し、戸建住宅の建築事例は1件も認められない。また、本件各土地は、(中略)交通の便にも優れている上、(中略)公的施設や商業施設への接近性にも優れている。」などとした上で、原告が本件各土地をマンション開発業者に売却し、その後、実際にマンションが建築されたことも指摘し、本件各土地はマンション適地に該当するとの判断を下した。
原告は、平成16年及び17年の資産評価企画官情報(本件各情報)を挙げて、「本件各土地は、広大地に該当する条件の例示に該当し、広大地に該当しない条件の例示に該当しないから、広大地に該当する」旨などを主張したが、東京地裁は、「本件各情報は、マンション適地と認められる土地についてまで、広大地として扱うべき旨を述べた記載であるとは解されない」として、原告の主張を斥けている。
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