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税務ニュース2022年06月03日 総則6項事案、顧客訪問録が重要証拠に(2022年6月6日号・№933) 「相続税軽減」意図する記述多数、銀行は提供拒否も調査官が手書き

  • 不動産の相続税評価を巡る総則6項適用事案について、最高裁は令和4年4月19日、納税者側敗訴の判決を下したが(本誌928、931、932号参照)、同日には同じく総則6項が適用された事案が上告棄却及び上告不受理に(裁決は本誌720、地裁859、高裁は882号参照)。
  • 相続税節税を提案した銀行の顧客訪問録が裁判の行方を大きく左右。

 本件は、相続開始の約2か月前に一棟マンションを物件価格の約3/4に相当する15億円の借入れにより購入したところ、国税当局が総則6項を適用、鑑定評価額に基づき相続税の更正処分等を行ったことから訴訟に発展した事案である。
 原審の東京高裁判決では、「被相続人が、本件相続に係る相続税の負担を軽減する方法について〇〇銀行××支店の担当者らに相談し、その方策として、紹介された本件不動産を購入することになった経緯は、証拠(乙40の1、乙41)から優に認められるところであり、本件不動産の購入が相続税対策のためであったことは明らかである」と判示。この判示の通り、納税者敗訴を決定づけたのが国が提出した「乙41号証」だ。これは、本件節税スキームを提案した銀行の顧客訪問録であり、国税当局はその写しの提供を銀行に求めたものの拒否されたため、調査官が手書きで書き写したもの。地裁、高裁判決を見ても、「相続税対策」との目的の認定は、基本的にこの乙41号証によっていることが確認できる。
 乙41号証では、「特に地価の高いところの物件を購入(7〜10億円)し、小規模宅地評価減を利用する。」「本物件の相続税評価減は約9億円。被相続人の純資産16億円⇒7億円に減り、相続税も約3億円圧縮できる効果があるもの。」「相続税評価額と購入価格の差が大きい」といった相続税対策のやりとりが明らかにされている。
 東京高裁は、「本件不動産の購入及びそのための借入れは3億円を超える相続税の圧縮効果を生じさせるものであるところ、亡Aがかかる相続税の圧縮を認識し、これを期待して15億円を借入れ、本件不動産を購入したことは、租税負担の実質的な公平という観点から見た場合、本件通達評価額によらないことが相当と認められる特別の事情を基礎づける事実に当たるというべきである。」と判断。周知の通り最高裁は法律審であり、高裁の事実認定を前提にしなければならないため(経験則違反の場合は例外)、高裁が乙41証を引用し「本件不動産の購入が相続税対策のためであったことは明らか」と判示した時点で、納税者の敗訴は濃厚だったとも言えそうだ。

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