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解説記事2020年01月06日 令和元年分所得税確定申告のチェックポイント 令和元年分所得税確定申告のチェックポイント(2020年1月6日号・№817)

会計事務所のための
令和元年分所得税確定申告のチェックポイント


 令和元年分所得税の確定申告が2月17日からスタートする。令和元年度税制改正では、消費税率引上げ等に伴い、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の拡充などが行われている。本稿では、令和元年分所得税の確定申告から適用される主な改正事項の概要を紹介する。

絶対注意!! 令和元年分所得税の改正事項

▶住宅・土地税制
確認 改正項目 内  容
住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除(措法41等) ① 個人が、住宅の取得等で特別特定取得に該当するものをし、かつ、その住宅の取得等をした家屋を令和元年10月1日から令和2年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合には、次に掲げる家屋の区分に応じそれぞれ次に定める金額を、適用年の11年目から13年目までの各年における控除額として、本税額控除の適用ができることとされた。
 イ 一般の住宅(ロ及びハ以外の住宅)…次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額
 (イ)特別特定住宅借入金等の年末残高(4,000万円を限度)×1%
 (ロ)〔その住宅の取得等で特別特定取得に該当するものに係る対価の額又は費用の額-その住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税額及び地方消費税額の合計額に相当する額(以下「消費税額等相当額」といいます。)〕(4,000万円を限度)×2%÷3
 ロ 認定住宅…次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額
 (イ)認定特別特定住宅借入金等の年末残高(5,000万円を限度)×1%
 (ロ)〔その認定住宅の新築等で特別特定取得に該当するものに係る対価の額-その認定住宅の新築等に係る対価の額に含まれる消費税額等相当額〕(5,000万円を限度)×2%÷3
 ハ 東日本大震災の被災者等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例の対象となる再建住宅…次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額
 (イ)再建特別特定住宅借入金等の年末残高(5,000万円を限度)×1.2%
 (ロ)〔その住宅の取得等で特別特定取得に該当するものに係る対価の額又は費用の額-その住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等相当額〕(5,000万円を限度)×2%÷3
(注)1 上記「住宅の取得等」とは、居住用家屋の新築若しくは居住用家屋で建築後使用されたことのないもの若しくは既存住宅の取得又はその者の居住の用に供する家屋の増改築等をいう。なお、土地等の取得は含まれない。
  2 上記「特別特定取得」とは、その住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等相当額が、その住宅の取得等に係る課税資産の譲渡等につき「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」第3条の規定による改正後の消費税法第29条に規定する税率により課されるべき消費税額及びその消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額の合計額に相当する額である場合のその住宅の取得等をいう。
  3 上記イからハまでの「対価の額」又は「費用の額」については、住宅の取得等に関し、補助金等の交付を受ける場合又は住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例の適用を受ける場合であっても、その補助金等の額又はその適用を受けた住宅取得等資金の額は控除されない金額となる。
② 二以上の住宅の取得等に係る住宅借入金等の金額を有する場合の控除額の計算の調整措置、年末調整に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除その他の措置について、所要の措置が講じられた。
③ 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除に関する証明書について、その記載事項を法令上明確化することとされた。
④ 給与所得者の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除申告書に記載すべき事項について、住宅の取得等をした年月日等の記載を要しないこととされた。
優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法31の2)  適用対象に、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の規定により行われた裁定に係る裁定申請書に記載された事業を行う事業者に対する次に掲げる土地等の譲渡(その裁定後に行われるものに限る)で、その譲渡に係る土地等がその事業の用に供されるものが加えられた。
① その裁定申請書に記載された特定所有者不明土地又はその土地の上に存する権利
② その裁定申請書に添付された事業計画書に係る計画に記載がされた特定所有者不明土地以外の土地又はその土地の上に存する権利(一定の事業に該当する場合におけるものを除く。)
 この改正は、令和元年6月1日以後に行う優良住宅地等のための譲渡に該当する譲渡について適用される。
収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例(措法33)等  次の措置が講じられた。
① 所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法に規定する土地収用法の特例の規定に基づいて資産が収用され、補償金を取得する場合を適用対象に追加する。
② 証明書類から、特定被災区域内において防災集団移転促進事業と一体で行われる一団地の津波防災拠点市街地形成施設の整備に準ずる事業のために買い取られる土地等であることにつき国土交通大臣等の証明を受けた書類を、経過措置を講じた上、証明を受ける期限(平成31年3月31日)の到来をもって除外する。
 上記①の改正は、令和元年6月1日以後に資産が収用され、補償金を取得する場合について適用される。
特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円特別控除(措法34)  次の場合が適用対象に加えられた。
① 重要文化財等として指定された土地が文化財保護法に規定する文化財保存活用支援団体(一定のものに限る。)に買い取られる一定の場合
② 農業経営基盤強化促進法の農用地利用規程の特例の規定により定められた農用地利用規程に係る農用地利用改善事業の実施区域内にある農用地が、その農用地の所有者等の申出に基づき農地中間管理機構(一定のものに限る。)に買い取られる場合
特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除(措法34の2)  経過措置が講じられた上、その適用対象から、農用地区域内にある農用地が農業経営基盤強化促進法の協議に基づき農地利用集積円滑化団体に買い取られる場合が除外された。
農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の800万円特別控除
(措法34の3)
 経過措置が講じられた上、その適用対象から、農用地区域内にある農地等を農業経営基盤強化促進法に規定する農地利用集積円滑化事業のために農地利用集積円滑化団体に対して譲渡した場合が除外された。
居住用財産の譲渡所得の特別控除(措法35)  適用対象となる被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の敷地等の範囲に、被相続人の居住の用に供することができない一定の事由により相続の開始の直前においてその被相続人の居住の用に供されていなかった場合におけるその特定事由により居住の用に供されなくなる直前にその被相続人の居住の用に供されていた家屋及びその家屋の敷地の用に供されていた土地等を追加するとともに、その適用期限が令和5年12月31日まで4年延長された。
帰還環境整備推進法人に対して土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除の特例等(震災特例法11の6)  次のとおり創設された。
① 一定の避難解除区域等内にある土地等が、帰還環境整備推進法人が行う帰還環境整備事業計画に記載された特定公益的施設又は特定公共施設のうち一定のものの整備に関する事業の用に供するために買い取られる場合には、特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円特別控除を適用する。
② 帰還環境整備推進法人に対し一定の避難解除区域等内にある土地等の譲渡をした場合において、その譲渡に係る土地等がその帰還環境整備推進法人が行う帰還環境整備事業計画に記載された適正な形状、面積等を備えた一団の土地とするための一定の事業の用に供されるものであるときは、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例を適用する。
被災居住用財産に係る譲渡期限の延長等の特例
(震災特例法11の7)
 譲渡期限の要件が7年から10年に3年延長されるとともに、その適用対象に、その有する家屋でその居住の用に供していたものが、警戒区域設定指示等が行われた日においてその警戒区域設定指示等の対象区域内に所在し、その警戒区域設定指示等が行われたことによってその居住の用に供することができなくなった個人が、その居住の用に供することができなくなった家屋又はその家屋及びその家屋の敷地の用に供されている土地等の譲渡をした場合等が加えられた。

▶金融・証券税制
株式交換等に係る譲渡所得等の特例(所法57の4)
 対象株式に、株式交換完全親法人との間にその株式交換完全親法人の発行済株式等の全部を間接に保有する関係がある法人の株式以外の資産が交付されない場合のその法人の株式が加えられた。
勤労者財産形成住宅(年金)貯蓄の利子所得等の非課税(措法4の2、4の3)
 財産形成非課税住宅(年金)貯蓄申告書を提出した個人が、その者の賃金の支払者、勤務先又は事務代行先の名称又は所在地の変更があった場合等に提出する財産形成非課税住宅(年金)貯蓄に関する異動申告書及び財産形成非課税住宅(年金)貯蓄の勤務先異動申告書には、その申告書等を提出する者の個人番号の記載を要しないこととされ、その申告書等の提出を受けた者は、その申告書等にその提出した者の個人番号を付記することとされた。
特定の取締役等が受ける新株予約権の行使による株式の取得に係る経済的利益の非課税等(措法29の2)
 中小企業等経営強化法の改正により、次の措置が講じられた。
① 適用対象者の範囲に、中小企業等経営強化法第13条に規定する認定新規中小企業者等が同法に規定する認定社外高度人材活用新事業分野開拓計画に従って行う社外高度人材活用新事業分野開拓に従事する社外高度人材で、取締役及び使用人等以外の者を加える。
② 特定従事者が本特例の適用を受けて取得をした株式を相続等により取得をした個人は、承継特例適用者に該当しないこととする。
③ 特定従事者が、国外転出の時に有する一定の特定株式については、その国外転出の時に権利行使時価額による譲渡があったものとみなすほか、所要の措置を講じる。
 この改正は、中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律の施行の日(令和元年7月16日)以後に行われる付与決議に基づき締結される契約により与えられる特定新株予約権に係る株式について適用される。
一般株式等(上場株式等)に係る譲渡所得等の課税の特例(措法37の10等)
 一般株式等(上場株式等)の譲渡所得等に係る収入金額とみなして課税する事由から、次に掲げるものが除外された。
① 法人の株主等がその法人の合併により合併法人との間にその合併法人の発行済株式等の全部を間接に保有する関係がある法人の株式以外の資産が交付されない場合のその法人の合併
② 法人の株主等がその法人の分割により分割承継法人との間にその分割承継法人の発行済株式等の全部を間接に保有する関係がある法人の株式以外の資産が交付されない場合のその法人の分割
特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る所得計算等の特例(措法37の11の3)
 特定口座に受け入れることができる上場株式等の範囲に、居住者等が発行法人等に対して役務の提供をした場合に発行法人等から取得する上場株式等で、その役務の提供の対価として居住者等に生ずる債権の給付と引換えに居住者等に交付されるものが加えられた。
特定中小会社が発行した株式の取得に要した金額の控除等(措法37の13)及び特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等(措法37の13の2)
① 適用対象となる特定株式の範囲から、内国法人のうち認可金融商品取引業協会の規則においてその事業の成長発展が見込まれるものとして指定を受けている銘柄の株式を発行する等の要件を満たす株式会社により発行される株式を除外する。
② 適用対象となる沖縄振興特別措置法の指定会社に係る同法の規定に基づく指定期限を2年延長する。
非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)(措法9の8、37の14)
① 非課税口座を開設している居住者等が一時的な出国により居住者等に該当しないこととなる場合の特例措置を次のとおり講じる。
 イ 非課税口座を開設している居住者等が出国により居住者等に該当しないこととなる場合にはこれまでその非課税口座は廃止されていたが、給与等の支払者からの転任の命令その他これに準ずるやむを得ない事由に基因して出国をする場合には、その出国の日の前日までにその非課税口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所の長に継続適用届出書の提出をしたときは、引き続き非課税措置を適用する。
 ロ 継続適用届出書の提出をした者が帰国をした後、再び非課税口座において上場株式等の受入れを行わせようとする場合には、その継続適用届出書の提出をした日から起算して5年を経過する日の属する年の12月31日までに、その継続適用届出書の提出をした金融商品取引業者等の営業所の長に、帰国届出書の提出をしなければならない。
② 非課税口座を開設している居住者等が、その非課税口座が開設されている金融商品取引業者等の営業所の長に対して非課税口座異動届出書を提出することで、その非課税口座にその年に設けられた勘定を変更できることとする。

▶事業所得等関係
中小事業者が機械等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除(措法10の3)  適用期限が2年延長された。
地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除(措法10の4)
 次のとおり見直しを行った上、その適用期限が2年延長された。
① 平成31年4月1日以後に地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律の承認を受けた個人がその承認地域経済牽引事業の用に供した特定事業用機械等について、償却割合を100分の50(改正前:100分の40)に、特別税額控除割合を100分の5(改正前:100分の4)に、それぞれ引き上げる。
② 一の特定地域経済牽引事業施設等を構成する機械等の取得価額の合計額の上限を80億円(改正前:100億円)に引き下げる。
特定中小事業者が経営改善設備を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除(措法10の5の2)
 対象設備が、認定経営革新等支援機関等が資産の取得に係る計画の実施その他の取組が特定中小事業者の経営の改善に特に資することについて確認をした旨の記載がある経営改善指導助言書類に記載されたものに限定され、その適用期限が2年延長された。
特定中小事業者が特定経営力向上設備等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除(措法10の5の3)  経過措置が講じられた上、その対象設備から主として電気の販売を行うために取得等をして発電の用に供する設備で一定のものが除外され、その適用期限が2年延長された。
特定設備等の特別償却
(措法11)
 次のとおり見直しが行われた上、その適用期限が2年延長された。
① 船舶の特別償却制度
 イ 対象となる外航船舶につき、特定先進船舶(海上運送法の認定先進船舶導入等計画(先進船舶の導入に関するものに限る)に記載された先進船舶のうち環境への負荷の低減に著しく資する一定のものをいう)を加えるとともに、償却割合を次のとおりとする。
特定先進船舶 特定先進船舶以外のもの
日本船舶 100分の20 100分の17
(改正前:100分の18)
日本船舶以外のもの 100分の18 100分の15
(改正前:100分の16)

 ロ 内航船舶について、環境への負荷の低減に係る要件の見直しを行う。
② 公害防止用設備又は自動車教習用貨物自動車に係る措置を廃止する。
特定事業継続力強化設備等の特別償却(措法11の4)
 青色申告書を提出する個人で中小事業者であるもののうち中小企業等経営強化法の認定を受けた同法の中小企業者に該当するものが、中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律の施行の日(令和元年7月16日)から令和3年3月31日までの間に、その認定に係る事業継続力強化計画又は連携事業継続力強化計画に係る事業継続力強化設備等としてその認定事業継続力強化計画等に記載された機械装置及び器具備品並びに建物附属設備の取得等をして、その特定中小事業者の事業の用に供した場合には、その取得価額の100分の20相当額の特別償却ができることとされた。
特定地域における工業用機械等の特別償却(措法12)  適用期限が2年延長された。
医療用機器等の特別償却(措法12の2)
 次の措置が講じられた上、その適用期限が2年延長された。
① 対象となる医療用機器のうち医療法に規定する構想区域等内の病院における効率的な活用を図る必要があるものについては、一定の要件を満たすものに限ることとする。
② 青色申告書を提出する個人で医療保健業を営むものが、平成31年4月1日から令和3年3月31日までの間に、器具備品(医療用の機械装置を含む)及びソフトウエア(一定の規模のものに限る)のうち、医療従事者の勤務時間の短縮その他の医療従事者の確保に資する措置を講ずるために必要な一定のものの取得等をして、その個人の営む医療保健業の用に供した場合には、その取得価額の100分の15相当額の特別償却ができることとする。
③ 青色申告書を提出する個人で医療保健業を営むものが、平成31年4月1日から令和3年3月31日までの間に、医療法の医療計画に係る構想区域等内において、病院用又は診療所用の建物等のうちその構想区域等に係る協議の場における協議に基づく病床の機能の分化及び連携の推進に係る一定のものの取得等をして、その個人の営む医療保健業の用に供した場合には、その取得価額の100分の8相当額の特別償却ができることとする。
事業再編計画の認定を受けた場合の事業再編促進機械等の割増償却(措法13の2)
 適用期限が2年延長された。
特定都市再生建築物の割増償却(措法14)
 次のとおり見直しが行われた上、その適用期限が2年延長された。
① 都市再生特別措置法の認定計画に基づく都市再生事業により整備される建築物に係る措置について、都市再生緊急整備地域のうち特定都市再生緊急整備地域以外の地域内において行われる都市再生事業により整備される建築物の償却割合を100分の25(改正前:100分の30)に引き下げる。
② 雨水貯留利用施設に係る措置を廃止する。
探鉱準備金制度(措法22)
 適用期限が3年延長された。
復興産業集積区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除(震災特例法10)
 復興産業集積区域内において産業集積事業等の用に供した機械装置、建物等及び構築物につき、償却割合及び特別税額控除割合を引き上げる措置の適用期限が2年延長された。
企業立地促進区域において機械等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除(震災特例法10の2)
 避難指示の全てが解除された日等のうちいずれか遅い日が平成26年4月1日以後である避難解除区域等につき、適用期間の末日をそのいずれか遅い日から7年(改正前:5年)を経過する日とされた。
避難解除区域等において機械等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除(震災特例法10の2の2)
 避難指示が解除された日等のうちいずれか遅い日が平成26年4月1日以後である避難解除区域等につき、適用期間の末日をそのいずれか遅い日から7年(改正前:5年)を経過する日とされた。
復興産業集積区域において被災雇用者等を雇用した場合の所得税額の特別控除(震災特例法10の3)
 復興産業集積区域内に所在する産業集積事業所に勤務する被災雇用者等に対して支給する給与等の額につき、特別税額控除割合を引き上げる措置の適用期限が2年延長された。
企業立地促進区域において避難対象雇用者等を雇用した場合の所得税額の特別控除(震災特例法10の3の2)
 避難指示の全てが解除された日等のうちいずれか遅い日が平成26年4月1日以後である避難解除区域等につき、福島県知事の認定を受ける期間の末日をそのいずれか遅い日から7年(改正前:3年)を経過する日とされた。
避難解除区域等において避難対象雇用者等を雇用した場合の所得税額の特別控除(震災特例法10の3の3)
 避難指示が解除された日等のうちいずれか遅い日が平成26年4月1日以後である避難解除区域等につき、福島県知事の確認を受ける期間の末日をそのいずれか遅い日から7年(改正前:3年)を経過する日とされた。
復興産業集積区域における開発研究用資産の特別償却等(震災特例法10の5)
 中小事業者の復興産業集積区域内において開発研究の用に供した開発研究用資産につき、償却割合を引き上げる措置の適用期限が2年延長された。
被災代替資産等の特別償却(震災特例法11)
 適用期限が2年延長された。

▶その他の所得税関係
仮想通貨に係る措置
① 居住者の仮想通貨につき事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額を算定する場合におけるその算定の基礎となるその年12月31日において有する仮想通貨の価額は、その者が仮想通貨について選定した評価の方法(総平均法又は移動平均法)により評価した金額(評価の方法を選定しなかった場合等には、総平均法により評価した金額)とするほか、仮想通貨を棚卸資産の範囲から除外するなど、所要の整備が行われた(所法2①十六、48の2等)。
② 棚卸資産の贈与等の場合の総収入金額算入(所法40)について、その対象となる棚卸資産に準ずる資産に、仮想通貨が加えられた(所令87)。
障害者等の少額預金の利子所得等の非課税措置
(所法10)
 対象となる障害者等の範囲に中核市の長から療育手帳の交付を受けている者が加えられるとともに、その療育手帳が住所等確認書類等の範囲に加えられた。
確定申告書の記載事項及び添付書類(所法120等)
① その年において支払を受けるべき給与等で年末調整の適用を受けたものを有する居住者が確定申告書を提出する場合には、その確定申告書の記載事項のうち年末調整で適用を受けた控除額と同額である所得控除に係る事項については、その控除の額等の簡便な記載によることができることとされた。
② 次に掲げる書類については、確定申告書に添付し、又は確定申告書の提出の際提示することを要しないこととされた。
 イ 給与所得、退職所得及び公的年金等の源泉徴収票
 ロ オープン型証券投資信託の収益の分配の支払通知書
 ハ 配当等とみなす金額に関する支払通知書
 ニ 上場株式配当等の支払通知書
 ホ 特定口座年間取引報告書
 ヘ 未成年者口座等につき契約不履行等事由が生じた場合の報告書
 ト 特定割引債の償還金の支払通知書
国等に対して重要文化財を譲渡した場合の譲渡所得の非課税措置(措法40の2)
 適用対象に、重要文化財を文化財保護法に規定する文化財保存活用支援団体に譲渡した一定の場合が加えられた。
債務処理計画に基づき資産を贈与した場合の課税の特例(措法40の3の2)
 内国法人について策定された債務処理計画が平成28年4月1日以後に策定されたものである場合において、その内国法人が同日前に株式会社地域経済活性化支援機構法の再生支援決定等の対象となった法人に該当しないものであることとの要件を満たすときは、一部の適用要件を満たすことを不要とした上、その適用期限が3年延長された。
給付金等
 次の給付金等については、所得税を課さないこととされた。
① 児童扶養手当法による児童扶養手当の支給を受ける者等に対して給付される一定の給付金(措法41の8①四)
② 児童養護施設に入所している者等に対して都道府県等が行う金銭の貸付けに係る債務の免除を受けた場合のその免除により受ける経済的な利益の価額(措法41の8②)
政治活動に関する寄附をした場合の寄附金控除の特例又は所得税額の特別控除(措法41の18)
 適用期限が令和6年12月31日まで5年延長された。
保険年金の保険金受取人等に係る更正の請求の特例(旧措法41の20の2)及び特別還付金の支給制度(旧措法97の2)
 廃止された。
被災した法人について債務処理計画が策定された場合の課税の特例(震災特例法12の3)
 内国法人が平成28年4月1日以後に株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法の支援決定の対象となった法人である場合において、同日前に株式会社地域経済活性化支援機構法の再生支援決定等の対象となった法人に該当しないものであることとの要件を満たすときは、一部の適用要件を満たすことを不要とした上、その適用期限が3年延長された。

▶国際課税
外国税額控除(所法95)
 上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除(措法37の12の2)、特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除(措法37の13の2)又は先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除(措法41の15)の適用がある居住者の外国税額控除に係る控除限度額における国外所得金額を、これらの規定による損失の繰越控除の適用前(改正前:適用後)の金額とする。
国内源泉所得(所法161)
 対象とされる内国法人の特殊関係株主等である非居住者が行うその内国法人の株式等の譲渡による所得について、その内国法人の分割型分割により分割承継法人の株式その他の資産の交付を受けた場合の譲渡年における課税要件の整備が行われた。
振替社債等の利子等の課税の特例(措法5の3)
 振替特定目的信託受益権のうち社債的受益権につき支払を受ける剰余金の配当及び償還差益については、令和4年3月31日までに発行されるものに限り、振替社債等に含めることとされた。
合併等により外国親法人株式等の交付を受ける場合の課税の特例(措法37の14の3)及び特定の合併等が行われた場合の株主等の課税の特例
(措法37の14の4)
 合併等に係る適格要件及び被合併法人等の株主における旧株の譲渡損益の計上を繰り延べる要件の改正に伴い、次の措置が講じられた。
① 非居住者株主が合併等により合併法人等の発行済株式等の全部を間接に保有する関係がある外国法人の株式の交付を受けた場合には、旧株の譲渡損益を計上する。外国法人の株式の交付を受けた場合には、旧株の譲渡損益を計上する。
② 個人が、適格合併等に該当しない合併等により合併法人等の発行済株式等の全部を間接に保有する関係がある外国法人の株式の交付を受けた場合には、旧株の譲渡損益を計上する。
居住者の外国関係会社に係る所得の課税の特例
(措法40の4、40の5)
 次のとおり見直しが行われた。
① 特定外国関係会社の範囲から次の外国関係会社を除外する。
 イ 外国子会社の株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社で、その収入金額のうちに占めるその株式等に係る剰余金の配当等の額の割合が著しく高いこと等の一定の要件に該当するもの
 ロ 特定子会社の株式等の保有を主たる事業とする外国関係会社で、その本店所在地国を同じくする管理支配会社によってその事業の管理、支配及び運営が行われていること、その管理支配会社がその本店所在地国で行う事業の遂行上欠くことのできない機能を果たしていること、その収入金額のうちに占めるその株式等に係る剰余金の配当等の額及びその株式等の譲渡に係る対価の額の割合が著しく高いこと等の一定の要件に該当するもの
 ハ その他一定の要件に該当するもの
② 特定外国関係会社の範囲に次のいずれにも該当する外国関係会社を加える。
 イ 各事業年度の非関連者等収入保険料の合計額の収入保険料の合計額に対する割合が10%未満であること
 ロ 各事業年度の非関連者等支払再保険料合計額の関連者等収入保険料の合計額に対する割合が50%未満であること
③ 次のイに掲げる金額からロに掲げる金額を減算した金額を、部分対象外国関係会社に係る部分合算課税の対象となる特定所得の金額に加える。
 イ 収入保険料の合計額から支払った再保険料の合計額を控除した残額
 ロ 支払保険金の額の合計額から収入した再保険金の額の合計額を控除した残額
④ 居住者が合算課税の対象となった外国法人等から受ける剰余金の配当等に係る二重課税調整について、確定申告書、修正申告書又は更正請求書(改正前:確定申告書)に控除を受ける剰余金の配当等の額等を記載した書類の添付がある場合に限り、適用できることとする等の見直しを行う(措法40の5③)。
令和2年に開催される東京オリンピック競技大会又は東京パラリンピック競技大会に参加等をする非居住者等に係る課税の特例(措法41の23)
① 令和2年に開催される東京オリンピック競技大会若しくは東京パラリンピック競技大会に参加をし、又は大会関連業務に係る勤務その他の人的役務の提供を行う一定の非居住者の一定の国内源泉所得(平成31年4月1日から令和2年12月31日までの間におけるその参加又はその提供に係るものに限る)については、所得税を課さない。
② 大会関連業務を行う一定の外国法人が支払を受ける一定の使用料(平成31年4月1日から令和2年12月31日までの間において行われる業務に係るものに限る)については、その使用料がその外国法人の恒久的施設帰属所得に該当するものである場合には所得税の課税対象外とし、その使用料がその外国法人の恒久的施設帰属所得に該当するものでない場合には所得税を課さない。
特定外国法人が特定金融機関等との間で行う債券現先取引に係る利子の非課税措置(措法42の2)
 次の措置が講じられた上、その適用期限が2年延長された。
① 非課税の対象となる債券現先取引の範囲に、特定金融機関等(一定の金融機関等に限る)との間で行われる次に掲げる債券に係る債券現先取引を加える。
 イ 外国が発行し、又は保証する一定の債券
 ロ 外国法人が発行する一定の債券(イに掲げる債券を除く。)
② 外国投資信託の受託者である特定外国法人がその外国投資信託の信託財産につき支払を受ける債券現先取引に係る利子については、その外国投資信託が適格外国証券投資信託である場合に限り、本非課税措置を適用する。
実施特例法
① 配当等又は譲渡収益に対する源泉徴収に係る所得税の税率の特例等(実施特例法3の2)について、次の措置を講ずる(実施特例法3の2等)。
 イ 相手国居住者等配当等について、その対象となる所得の範囲に譲渡収益を加えた上、その範囲は相手国居住者等に係る相手国等との間の租税条約の規定においてその相手国居住者等の所得として取り扱われる範囲とする。
 ロ 配当等に対する源泉徴収に係る所得税の税率の特例等の適用対象となる相手国団体配当等、第三国団体配当等、特定配当等その他の一定の所得の範囲について所要の見直しを行う。
② 相手国等の相手国等転出時課税の規定の適用を受けた居住者が、その適用に係る資産等の譲渡等をした場合において、その相手国等との間の租税条約の規定においてその適用を受けたことを考慮するものとされているときは、その資産等については外国転出時課税の規定の適用を受けた場合の譲渡所得等の特例における外国転出時課税の規定の適用を受けた有価証券等とみなして、所得税法その他所得税に関する法令の規定を適用する(実施特例法5の2)。

平成30年度の改正事項のうち、令和元年分の所得税から適用される主なもの

▶事業所得等関係
地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の所得税額の特別控除(措法10の5)
① 同意雇用開発促進地域に係る措置は、適用期限の到来をもって廃止する(旧措法10の5①)。
② 地方事業所基準雇用者数に係る措置及び地方事業所特別基準雇用者数に係る措置を地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の特別税額控除制度に改組するとともに、一定の見直しを行った上、その適用期限を2年延長する。
給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の所得税額の特別控除(所得拡大促進税制)(措法10の5の4)
 税額控除額の限度額がその年分の調整前事業所得税額の100分の20相当額とされた。
所得税の額から控除される特別控除額の特例(措法10の6)
 中小事業者を除く一定の個人が、令和元年から令和3年までの各年において試験研究を行った場合の所得税額の特別控除等の適用を受けようとする場合において、その対象年の継続雇用者給与等支給額が継続雇用者比較給与等支給額以下であり、かつ、国内設備投資額がその年の償却費総額の100分の10相当額以下であるときは、試験研究を行った場合の所得税額の特別控除等を適用できないこととされた。
障害者を雇用する場合の機械等の割増償却(措法13)
 基準雇用障害者数が20人以上であって、重度障害者割合が100分の50以上であることとの要件における重度障害者割合が100分の55以上に引き上げられた上、その適用期限が2年延長された。

▶その他
非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置(NISA)(措法9の8、37の14)
 非課税口座を開設しようとする居住者等は、金融商品取引業者等の営業所の長に対し、非課税適用確認書等の添付を要しない非課税口座簡易開設届出書の提出ができることとされた。
国等に対して重要有形民俗文化財を譲渡した場合の譲渡所得の2分の1課税の特例
 適用期限(平成30年3月30日)の到来をもって廃止された(旧措法40の2②)。

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