税務ニュース2022年11月25日 無申告者に対する調査を厳正に実施(2022年11月28日号・№956) 国税庁の山縣哲也個人課税課長にインタビュー
国税庁の山縣哲也個人課税課長(写真)は本誌とのインタビューで、無申告者に対しては、適正に申告している他の納税者と比べ、不公平感が強いとの認識を示し、無申告者に対する調査を引き続き厳正に実施していく方針を明らかにした。コロナ禍にあり、実地調査件数は低水準ではあるものの、令和3事務年度では、所得税無申告者に対して3,828件(前事務年度2,993件)の実地調査が行われ、1件当たりの申告漏れ所得金額は2,923万円(同2,565万円)と増加。1件当たりの追徴税額は過去最高の497万円(同292万円)にのぼっている。
政府税制調査会の「納税環境整備に関する専門家会合」では、現行制度では対応しきれない税務調査で見受けられる悪質な事例として、高額な所得を得ていながら無申告としていた事例や、長年にわたり無申告となっていた事例などが紹介されている(本誌953号参照)。高額の利益を得ていたとしても、あるいは売上がありながら長年の間無申告であったとしても、申告時における仮装隠蔽行為や意図的に申告をしないことを外部からもうかがい得る特段の行動がなければ重加算税の対象とはならない。
実際の調査でも、仮装隠蔽行為の認定には苦労することが多いという。動画配信により得た収入が無申告であった事案では、調査対象者が「申告の必要はないとの認識であった」との回答に終始したものの、動画配信サービス運営会社に対する反面調査や、調査対象者のパソコンから把握したサイトの閲覧履歴等から、調査対象者は他の動画配信者の税務調査に係る動画を視聴していたことや、動画配信サービス運営会社による申告の必要性に係るメッセージを開封していたことを把握し、最終的に無申告重加算税の賦課決定ができたとしている。
前述の政府税制調査会の専門家会合の議論では、無申告加算税に税率を加重するなどの措置が早期に必要との意見が多く、令和5年度税制改正で議論の俎上にのぼることが想定されている。山縣課長は、「一番重要なのは租税教育」と述べた上で、税制改正により無申告者に対する調査が実施しやすい環境になればと話している。

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