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税務ニュース2023年02月17日 利益区分の違いで業績連動報酬が過大に(2023年2月20日号・№967) 過年度の最終利益や損金算入額に影響する恐れも

  • 株式売却益を計上する段階利益の相違により、役員が過大に業績連動報酬を得ていると投資家から指摘される事例が発生。
  • 「経常利益」をベースとする業績連動報酬を採用する企業が株式売却益を営業収益に計上すれば、最終利益が変動、損金算入額は過大となる恐れ。

 株式の売却益を計上するP/L上の段階利益の相違を投資家から指摘され、役員が過大に業績連動報酬を得ているとして、監査委員会に不当利得の返還請求の訴えを起こすよう求められる事例が発生した。ターゲットとなったのは日本証券金融(東証プライム)で、投資家は著名な国内系アクティビストであるストラテジック・キャピタルだ。
 日本の会計基準では、有価証券は保有目的別に「売買目的有価証券」「満期保有目的の債券」「子会社及び関連会社株式」「その他有価証券」の4つに区分され、それぞれの区分ごとに売買損益のP/L上の計上区分が異なっている。例えば、営業損益の区分に有価証券売却益を含めることができるのは、「売買目的有価証券」を「有価証券売買を主な事業とする会社が売却した場合」に限定される。日本証券金融は、2019年3月期において、保有していた日本取引所グループの株式を「政策保有株式」から「純投資目的で保有する株式」に変更しているが、当該株式は「売買目的」でも「子会社及び関連会社」でもないため、政策保有目的であるか純投資目的であるかを問わず、「その他有価証券」に該当する。
 「その他有価証券」の売却益が営業損益の区分に計上されることはないが、日本証券金融は日本取引所グループ株式の売却益を営業収益に計上した。通常、本件はP/L上の計上区分の問題に過ぎず、最終利益に影響を与えないため問題化しにくいが、本件が問題となったのは、同社が段階利益の一つである「経常利益」の水準に応じて金額が変動する業績連動報酬を採用していたからだ。すなわち、株式の売却益を営業収益に入れれば業績連動報酬がより多く計上され、特別損益(または営業外収益)に入れれば業績連動報酬がその分少なくなる。
 役員報酬の過払いとなれば、過年度の最終利益が変動しかねない上、仮に業績連動報酬を損金算入していれば、損金算入額が過大ということになる。
 投資家の指摘に対し日本証券金融は、同社のような証券金融業を営む会社においては、主たる営業活動の1つとして経常的に行っている有価証券の売買損益を営業損益に計上することは適切、と反論している。同社の監査委員会の判断が注目される。

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