会計ニュース2023年04月21日 パーシャルスピンオフも配当は簿価で(2023年4月24日号・№976) ASBJ、スピンオフと同じ会計処理に見直しへ

  • パーシャルスピンオフの会計処理は、スピンオフと同様に見直す方向。株式分配実施会社は配当財産の帳簿価額をもってその他資本剰余金又はその他利益剰余金を減額。

 令和5年度税制改正では、新たにスピンオフ実施法人に一部持分を残す(発行済株式総数の20%未満)スピンオフであるパーシャルスピンオフについても、一定の要件を満たせば課税の対象外とする措置が令和6年3月31日までの1年間の時限措置として講じられている。税務上の取扱いは、スピンオフとパーシャルスピンオフで同じとなっているが、会計上の取扱いは大きく異なる。配当財産が金銭以外の財産であって、保有する子会社株式のすべてを株式数に応じて比例的に配当するスピンオフの場合は、企業会計基準適用指針第2号「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針」第10項(2)により、配当の効力発生日における配当財産の適正な帳簿価額をもって、その他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)を減額することとされている。一方、保有する子会社株式の20%未満をスピンオフ実施法人に残して、それ以外の子会社株式を株式数に応じて比例的に配当するパーシャルスピンオフの場合は、すべての株式を配当するわけではないため、時価によることになる。このため、現行の取扱いによれば、スピンオフの場合と比べ、時価の大きな子会社を分離しようとする場合にパーシャルスピンオフを実施できないケースがあるなどの弊害が指摘されている。
 パーシャルスピンオフの場合、株主にとっての投資が継続しているかどうかが問題となるが、企業会計基準委員会は、株式分配実施会社の株主においては、株式分配後に、株式分配対象会社が子会社や関連会社以外となる場合が生じるため、各株主にとっては投資が継続しているとは必ずしも言えないとしつつも、株式分配対象会社やその事業に関しては他の会社や事業との結合が生じないため、株主にとっての投資の継続・清算という観点からは、パーシャルスピンオフは同種資産の交換とみられ、投資は継続していると考えられると指摘。パーシャルスピンオフについてもスピンオフと同様に、株式分配実施会社は配当財産の適正な帳簿価額をもってその他資本剰余金又はその他利益剰余金を減額できるとしている。この点、同委員会では、自己株式適用指針第10項(2)の規定については、「保有する子会社株式を株式数に応じて比例的に配当(按分型の配当)し当該子会社に対する支配を喪失する場合」に改正する方向で検討を進めている。

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