会計ニュース2023年05月12日 スピンオフの例外、連結上も配当は簿価(2023年5月15日号・№978) 完全子会社の子会社株式を50%超分配した場合が対象

  • パーシャルスピンオフの会計処理、スピンオフと同様に帳簿価額とする例外的な取扱いは、完全子会社の子会社株式を50%超分配した場合が対象。連結財務諸表上の会計処理も同じ。
  • 一方、支配を喪失しない株式分配は、連結財務諸表上、資本取引として処理。

 令和5年度税制改正では、新たにスピンオフ実施法人に一部持分を残す(発行済株式総数の20%未満)スピンオフであるパーシャルスピンオフについても、一定の要件を満たせば課税の対象外とする措置が令和6年3月31日までの1年間の時限措置として講じられている。これを踏まえ、企業会計基準委員会(ASBJ)は、現在、パーシャルスピンオフに関する会計処理について検討を行っており、スピンオフと同様、株式分配実施会社は配当財産の適正な帳簿価額をもってその他資本剰余金又はその他利益剰余金を減額できる方向で検討が進められている(本誌976号11頁参照)。
 スピンオフと同じく全部配当の株式分配(按分型)と同様の例外的な取扱い(配当の効力発生日における配当財産の適正な帳簿価額をもって、その他資本剰余金又はその他利益剰余金を減額)をするケースについては、完全子会社について子会社株式の分配を行い、その結果、当該株式が子会社株式に該当しなくなる一部留保の株式分配(按分型)について例外的な取扱いを認める方向。具体的には、完全子会社について子会社株式の分配を行い、その結果、当該子会社が子会社でなくなった場合であり、典型的には50%超の子会社株式を分配した場合が該当することになる。
 また、連結財務諸表上の会計処理についても、前述の個別財務諸表上の取扱いと同様、帳簿価額で会計処理する例外的な取扱いを設けることとしている。
 なお、支配を喪失しない株式分配に関しては、連結財務諸表上、資本取引として処理する旨を明確化する。この点、国際的な会計基準においても、支配獲得後、支配を喪失する結果とならない親会社持分の変動は資本取引とされているほか、現行の日本基準においては支配を喪失しない株式分配に関する定めは存在しないものの、支配を喪失しない子会社株式の売却に関する定めでは、子会社の一部を売却したが、親会社と子会社の支配の支配関係が継続している場合、売却による親会社持分の減少額と売却価額との間に生じた差額は、資本剰余金として処理されているとしている(企業会計基準第22号「連結財務諸表に関する会計基準」第29項)。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索