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解説記事2020年01月20日 ニュース特集 令和元年度末で期限切れとなる法人税関係の租税特別措置は?(2020年1月20日号・№819)

ニュース特集
期限延長の場合も多くは縮減とセット
令和元年度末で期限切れとなる法人税関係の租税特別措置は?


 令和2年度税制改正では、令和2年3月末までに適用期限が到来する法人税関係の租税特別措置(減収措置)のうち、情報流通円滑化設備の特別償却や企業主導型保育施設用資産の割増償却などが適用期限の到来をもって廃止されることになった(表参照)。また、適用期限の到来はないものの、コネクテッド・インダストリーズ税制(IoT税制)が1年前倒しで廃止されることになった(本誌817号39頁参照)。

拡充は地方拠点化強化税制と企業版ふるさと納税のみ

 令和2年度税制改正では、令和2年3月末までに適用期限が到来する法人税関係の租税特別措置(減収措置)のうち、情報流通円滑化設備の特別償却や企業主導型保育施設用資産の割増償却、金属鉱業等鉱害防止準備金などが適用期限の到来をもって廃止されることになった。金属鉱業等鉱害防止準備金については、令和2年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度は現行法による準備金積立率(80%)に対して1年ごとに8分の1ずつ縮小した率による積立てを認める一定の経過措置が手当てされる。
 その他は、軒並み適用期限の延長が行われているが、拡充となったのは地方拠点化強化税制(オフィス減税・雇用促進税制)及び企業版ふるさと納税のみであり、多くは縮減とセットとなった適用期限の延長となっている。
買換え特例は縮減の上で期限延長
 例えば、交際費等の損金不算入では、接待飲食費に係る損金算入の特例に関しては対象法人から資本金の額等が100億円を超える法人が除外され、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例では、連結法人が対象から除外されることになった。
 また、特定の資産の買換えの場合等の課税の特例については、都市機能誘導区域に係る措置が廃止される以外は適用期限が延長されることになったが、すべての特例措置が縮減されることになっている。
省エネ再エネ税制の特償率は引下げ
 その他の主だったところでは、高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除については適用期限を2年延長した上で特別償却率を現行の30%から20%へ引き下げ、また、再生可能エネルギー発電設備等の特別償却に関しては、適用期限は1年の延長にとどまり、特別償却率は現行の20%から14%に引き下げられる。
 単純延長は、倉庫用建物等の割増償却や海外投資等損失準備金、退職年金等積立金に対する法人税の課税の停止などとなっている。

【表】令和元年度末までに適用期限が到来する法人税関係特別措置の改正内容

税制措置 改正内容(適用期限等)
高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除 適用期限を2年延長。
① 中長期的な計画に基づき行う省エネ投資の対象事業者にエネルギーの使用の合理化等に関する法律の認定管理統括事業者及び管理関係事業者を加える。
② 特別償却率を20%(現行:30%)に引き下げる。
③ 関係法令の改正を前提に、中長期的な計画に基づき行う省エネ投資の対象資産から高効率工業炉等を除外する。
国家戦略特別区域において機械等を取得した場合の特別償却等又は法人税額の特別控除
適用期限を2年延長。
ただし、研究開発税制の特例を廃止するとともに、関係法令の改正を前提に、対象事業から高度医療施設の近接の患者用宿泊施設の整備又は運営に関する事業、高度医療施設への外国人の患者の便宜となるサービスの提供に関する事業及び多国籍企業が行う統括事業を除外。
国際戦略総合特別区域において機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除
適用期限を2年延長。
ただし、関係法令の改正を前提に、対象事業から水の確保が困難な地域における給排水システムの研究開発に関する事業、高度医療施設の近接の患者用宿泊施設の整備又は運営に関する事業、高度医療施設への外国人の患者の便宜となるサービスの提供に関する事業、映画等の文字等で特に付加価値の高いものの創作又は提供に関する事業及びプログラムを表現する文字等で特に付加価値の高いものの研究開発に関する事業を除外。
地方拠点強化税制(オフィス減税・雇用促進税制)【計画の認定期限】
適用期限を2年延長。
また、雇用促進税制については、
イ 「給与等支給額が比較給与等支給額以上であること」との要件を廃止する。
ロ 地方事業所基準雇用者数に係る措置における税額控除限度額について、対象雇用者数から有期雇用又はパートタイムである新規雇用者数を除外した上、雇用者の増加割合にかかわらず、次の金額の合計額とする。
 (イ)30万円(移転型事業にあっては、50万円)に、地方事業所基準雇用者数のうち無期雇用かつフルタイムの要件を満たす新規雇用者数に達するまでの数を乗じて計算した金額
 (ロ)20万円(移転型事業にあっては、40万円)に、地方事業所基準雇用者数から新規雇用者総数を控除した数を乗じて計算した金額
ハ 地方事業所特別基準雇用者数に係る措置における地方事業所特別税額控除限度額を、40万円に、地方事業所特別基準雇用者数を乗じて計算した金額に引き上げる。
企業版ふるさと納税(認定地方公共団体の寄附活用事業に関連する寄附をした場合の法人住民税法人税割額及び法人事業税額の特別控除制度)
適用期限を5年延長。
① 税額控除率を、法人道府県民税法人税割については5.7%(現行:2.9%)、法人市町村民税法人税割については34.3%(現行:17.1%)、法人事業税については20%(現行:10%)にそれぞれ引き上げ。
② 地域再生計画に記載されるまち・ひと・しごと創生寄附活用事業について、対象事業に一定の補助金等による事業を加えた上、関係法令の改正を前提に、個別事業を認定する方式から包括的に事業を認定する方式に転換する認定手続の簡素化を行う。
③ 認定地方公共団体の受領する寄附金がその寄附金に関連するまち・ひと・しごと創生寄附活用事業費を上回った場合の適正化措置が講じられることを前提に、認定地方公共団体がその事業を行う前にその認定地方公共団体に対して支出する寄附金を対象寄附金とする。
国家戦略特別区域における指定法人の課税の特例【法人の指定期限】
適用期限を2年延長。
ただし、関係法令の改正を前提に、対象事業から高度医療施設の近接の患者用宿泊施設の運営に関する事業、国際会議等への外国人の参加者の便宜となるサービスの提供に関する事業及び外国会社、国際機関等に勤務する者の子女等を対象とした外国語による教育に関する事業を除外。
再生可能エネルギー発電設備等の特別償却 適用期限を1年延長。
ただし、特別償却率を14%(現行:20%)に引き下げ。
耐震基準適合建物等の特別償却
耐震基準適合建物等に係る措置は、適用期限の到来により規定を削除。
情報流通円滑化設備の特別償却 適用期限の到来をもって廃止
障害者を雇用する場合の機械等の割増償却 適用期限を2年延長。
対象資産から工場用の建物等を除外するとともに、機械装置の割増償却率を12%(現行:24%)に引き下げ。
企業主導型保育施設用資産の割増償却 適用期限の到来をもって廃止
倉庫用建物等の割増償却 適用期限を2年延長。
海外投資等損失準備金 適用期限を2年延長。
金属鉱業等鉱害防止準備金 適用期限の到来をもって廃止
ただし、令和2年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度については、現行法による準備金積立率(80%)に対して1年ごとに8分の1ずつ縮小した率による積立てを認める経過措置を手当て。
特定災害防止準備金 適用期限を2年延長。
ただし、準備金積立率を60%(現行:100%)に引き下げ。
特定原子力施設炉心等除去準備金 適用期限を3年延長。
農業経営基盤強化準備金 適用期限を1年延長。
交際費等の損金不算入 適用期限を2年延長。
ただし、接待飲食費に係る損金算入の特例に関しては、対象法人からその資本金の額等が100億円を超える法人を除外。
土地の譲渡等がある場合の特別税率【適用停止措置の期限】 適用期限を3年延長。
短期所有に係る土地の譲渡等がある場合の特別税率【適用停止措置の期限】 適用期限を3年延長。
中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
適用期限を2年延長。
ただし、
① 対象法人から連結法人を除外。
② 対象法人の要件のうち常時使用する従業員の数の要件を500人以下(現行:1,000人以下)に引き下げ。
特定資産の買換え及び交換の場合の課税の特例
適用期限を3年延長(過疎地域に係る措置及び危険密集市街地に係る措置は、令和3年3月31日まで)。
ただし、
① 既成市街地等の内から外への買換えについて、譲渡資産から工場の立地が制限されていなかった区域内にある建物又はその敷地の用に供されている土地等を除外。
② 航空機騒音障害区域の内から外への買換えについて、譲渡資産が次の区域内にある場合の課税の繰延べ割合を70%(現行:80%)に引き下げ。
 イ 令和2年4月1日前に特定空港周辺航空機騒音対策特別措置法の航空機騒音障害防止特別地区又は公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律の第二種区域となった区域
 ロ 防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する法律の第二種区域
③ 都市機能誘導区域の外から内への買換えを適用対象から除外。
④ 防災再開発促進地区内における防災街区整備事業に関する都市計画に基づき危険密集市街地内で行われる土地等の買換えについて、次の見直しを行う。
 イ 建築基準法の改正に伴い、同法の耐火建築物又は準耐火建築物を建築するために譲渡をされるものであることとする譲渡資産に係る要件における耐火建築物又は準耐火建築物の範囲に耐火建築物又は準耐火建築物と同等以上の延焼防止性能を有する建築物を加える。
 ロ 対象となる危険密集市街地について、その区域の不燃領域率が40%未満である区域に限定する。
⑤ 長期所有の土地、建物等から国内にある土地、建物等への買換えについて、所要の経過措置を講じた上、買換資産から鉄道事業用車両運搬具を除外。
⑥ 一定の船齢の日本船舶から環境への負荷の低減に資する一定の日本船舶への買換えについて、次の見直しを行う。
 イ 外航船舶及び内航船舶について、買換資産の船齢が法定耐用年数以下であることとする要件を加える。
 ロ 港湾の作業船について、譲渡資産に係る船齢要件を35年未満(現行:40年未満)に引き下げ。
中小企業者の欠損金等以外の欠損金の繰戻しによる還付の不適用 適用期限を2年延長。
設備廃棄等欠損金額の特例は廃止
投資法人に係る課税の特例【特定資産の要件の特例取得期限】
再生可能エネルギー発電設備に係る措置の再生可能エネルギー発電設備の取得期限を3年延長。
退職年金等積立金に対する法人税の課税の停止 適用期限を3年延長。

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