会社法ニュース2023年06月02日 資本コスト・株価を意識した経営の開示(2023年6月5日号・№981) PBR1倍割れ等なら、CGコード原則5−2について何らかの説明を
コーポレートガバナンス・コード原則5−2では経営戦略や経営計画の策定・公表を、同補充原則5−2①では事業ポートフォリオ戦略を示すことを求めているが、東証の調査(2022年7月14日時点)によると、プライム市場上場会社における各原則のコンプライ率はそれぞれ90.53%(2021年12月比+2.82pt)、88.79%(同+5.00pt)と高い。
東証が2023年3月31日付で発出した上場会社に向けた要請「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応について」では、原則5−2が「資本コストを意識した経営」を求めていることを指摘した上で、プライム市場の約半数、スタンダード市場の約6割の上場会社が「PBR1倍割れ、ROE8%未満」と、資本収益性や成長性といった点で課題がある状況にあることを問題視し、本要請の「積極的な実施」を求めている。東証が原則5−2に触れていることを踏まえると、「ROE8%、PBR1倍」という水準をクリアできていない上場会社は、原則5−2や同原則に関連する補充原則5−2①について、エクスプレインするか、コンプライするとしても任意で何らかの説明は求められよう。
しかし、本誌が2023年1〜4月に提出されたCG報告書のうち原則5−2または補充原則5−2①について何らかの記載がある社数を調査したところ85社にとどまり、前年同時期の100社を下回っている。エクスプレインからコンプライに転じ会社が増加したことが影響していると考えられる。
こうした中、三菱電機は原則5−2、補充原則5−2①への対応として、中経の中で、資本コストを把握した上で「ROE10%」という目標を掲げるとともに、収益性などが一定水準を下回る課題事業と判断された事業については撤退・売却を検討し、リソースを重点成長事業にシフトさせる事業ポートフォリオ戦略を打ち出している。また、三和ホールディングスはWACCの数値を「6%」と明示した上で、EVA経営とROE目標について説明し、事業ポートフォリオや各種投資戦略をEVAやROE等の定量的指標で検証して企業価値向上に努めるとしている。東証の要請に応えるには、このレベルの開示は意識したいところだ。
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