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解説記事2023年06月26日 税制改正解説 令和5年度における消費税・間接諸税関係の改正について(2023年6月26日号・№984)

税制改正解説
令和5年度における消費税・間接諸税関係の改正について
 五里地 圭

消費税法等の改正

一 適格請求書等保存方式に係る見直し

1 適格請求書発行事業者となる小規模事業者に係る税額控除に関する経過措置
(1)改正の内容

 適格請求書等保存方式の施行を契機に免税事業者から課税事業者となる小規模な事業者に対する負担軽減措置として、免税事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けて課税事業者となった場合に、適格請求書等保存方式の開始から3年間、その納付税額を売上税額の2割とすることができる経過措置が設けられた。
 具体的には、適格請求書発行事業者の令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間であって、適格請求書発行事業者の登録、課税事業者選択届出書の提出又は消費税法第10条第1項に規定する相続があった場合の納税義務の免除の特例の適用がなかったとしたならば免税事業者となる課税期間については、その納付税額の計算において、課税標準額に対する消費税額から売上に係る対価の返還等の金額に係る消費税額の合計額を控除した残額に8割を乗じて計算した額(特別控除税額)を、仕入控除税額とすることができることとされた(所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号。以下「平成28年改正法」という。)附則51の2①②)。ただし、次に掲げる課税期間については、本経過措置を適用できないこととされている。
① 令和5年10月1日を含む課税期間であって課税事業者選択届出書の提出により同日前から課税事業者となる課税期間
② 課税事業者選択届出書を提出した事業者が、その提出をした日の属する課税期間の翌課税期間の初日から同日以後2年を経過する日までの間に開始した各課税期間中に調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合における、当該調整対象固定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の翌課税期間から当該調整対象固定資産の仕入れ等の日の属する課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間
③ 登録開始日の前日までに相続があった場合に消費税法第10条第1項の規定により納税義務が免除されないこととなる課税期間
④ 課税期間の特例(消法19①三~四の二、②④)の適用を受ける課税期間
 本経過措置の適用にあたっては事前の届出は不要であり、消費税の確定申告書に本経過措置の適用を受ける旨を付記するものとされている(平成28年改正法附則51の2③)。そのため、本則課税又は簡易課税制度のいずれを選択している場合でも、本経過措置を適用することができる。
 また、本経過措置の適用を受ける小規模な事業者が簡易課税制度の適用を受けようとする場合、原則として、その適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに簡易課税制度選択届出書を提出する必要があるが、本経過措置の適用を受けた課税期間の翌課税期間中に当該届出書を提出した場合において、当該届出書に当該届出書を提出した日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を受ける旨を記載したときは、当該課税期間の初日の前日に当該届出書を提出したものとみなして、当該課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができることとされた(平成28年改正法附則51の2⑥)。
(2)適用関係
 上記の改正は、平成28年改正法等の一部を改正することにより行われており、令和5年4月1日に条文が改正されたが(改正法附則1、改正消令附則1、改正消規附則1)、適格請求書等保存方式の施行は令和5年10月1日である。

2 請求書等の保存を要しない課税仕入れに関する経過措置
(1)改正の内容

 適格請求書等保存方式の施行後は、請求書等の交付を受けることが困難である場合等の一定の取引を除いて一定の事項が記載された帳簿及び適格請求書等の保存が必要とされているが、一定規模以下の事業者の事務負担の軽減を図る観点から、基準期間における課税売上高が1億円以下である課税期間又は特定期間における課税売上高が5千万円以下である課税期間のうち、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの間に行った課税仕入れに係る支払対価の額(税込)が、1回の取引で1万円未満である場合には、一定の事項が記載された帳簿のみの保存で仕入税額控除制度の適用が認められることとされた(平成28年改正法附則53の2、消費税法施行令等の一部を改正する政令(平成30年政令第135号。以下「平成30年改正消令」という。)附則24の2①)。
(注)特定期間とは、個人事業者であればその年の前年の1月から6月まで、法人であれば前事業年度開始の日から6月の間をいう。
 本経過措置は適格請求書発行事業者以外の者から行う課税仕入れについても対象となり、その全額が仕入税額控除の対象となる。このため、適格請求書発行事業者以外の者から行う課税仕入れについて、本経過措置の適用を受ける場合は、消費税額相当額の80%又は50%について仕入税額控除が認められる経過措置の適用はない(平成28年改正法附則53の2)。
 また、適格請求書等の交付を受けることが困難である取引等について、帳簿のみの保存により仕入税額控除制度の適用を受ける場合は、対象となる取引のいずれかに該当する旨及び課税仕入れの相手方の住所等を帳簿に記載しなければならない(平成30年改正消令による改正後の消令49①)が、本経過措置の適用においては、これらの帳簿への記載は不要とされている。
 なお、本経過措置は、買手となる事業者が仕入税額控除制度の適用を受けるための要件として適格請求書等の保存を要しないこととするものであり、適格請求書発行事業者が適格請求書等の交付を求められた場合の適格請求書等の交付義務を免除するものではない。
(2)適用関係
 上記の改正は、平成28年改正法等の一部を改正することにより行われており、令和5年4月1日に条文が改正されたが(改正法附則1、改正消令附則1)、適格請求書等保存方式の施行は令和5年10月1日である。

3 少額な適格返還請求書の交付義務の見直し
(1)改正の内容

 適格請求書発行事業者は、売上げにつき返品や値引き、割戻し(以下「対価の返還等」という。)を行った場合に、適格返還請求書を交付することが困難である一定の場合を除き、その対価の返還等を受ける事業者に対して、適格返還請求書を交付しなければならないこととされているが、売上げに係る対価の返還等に係る税込価額が1万円未満である場合については、適格返還請求書の交付義務を課さないこととされた(消法57の4③、消令70の9③二)。
(2)適用関係
 上記の改正は、令和5年10月1日以後に国内において事業者が行う課税資産の譲渡等につき行う売上げに係る対価の返還等について適用することとされている(改正法附則1二イ、20②)。

4 適格請求書発行事業者登録制度の手続の見直し
(1)改正の内容

① 適格請求書発行事業者の登録申請書の提出に係る適用関係の見直し
  免税事業者が課税事業者となる課税期間の初日から適格請求書発行事業者の登録を受けようとする場合には、当該課税期間の初日から起算して15日前の日(改正前:当該課税期間の初日の前日から起算して1月前の日)までに登録申請書をその納税地を所轄する税務署長に提出しなければならないこととされた(消令70の2①)。
  また、上記期限までに登録申請書を提出した事業者について、課税期間の初日後に適格請求書発行事業者の登録がされたときは、同日に登録を受けたものとみなすこととされた(消令70の2②)。
② 適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書の提出に係る適用関係の見直し
  適格請求書発行事業者が登録の取消しを求める旨の届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出した場合において、その届出書が、提出日の属する課税期間の翌課税期間の初日から起算して15日前の日(改正前:提出日の属する課税期間の末日から起算して30日前の日の前日)までに提出されたときは、当該翌課税期間の初日から登録の効力を失うこととされた(消法57の2⑩一、消令70の5③)。
③ 適格請求書発行事業者の登録に関する経過措置の適用を受ける場合の手続の見直し
  令和5年10月1日後に免税事業者が課税期間の途中であっても登録日から適格請求書発行事業者になることができる経過措置の適用を受ける場合には、登録申請書に登録希望日(事業者が登録を希望する日であって、登録申請書を提出する日から15日を経過する日以後の日)を記載することとされた(平成30年改正消令附則15②)。
  また、上記の場合において、登録希望日後に適格請求書発行事業者の登録がされたときは、当該登録希望日に登録を受けたものとみなすこととされた(平成30年改正消令附則15③)。
(2)適用関係
 上記①及び②の改正は、令和5年10月1日以後に提出する申請書及び届出書から適用され(改正法附則1二イ、改正消令附則1二)、上記③の改正は、令和5年4月1日から適用されている(改正消令附則1)。

二 外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)の見直し

1 改正の内容
 免税購入された物品の国内における譲渡又は譲受け(その委託又は媒介のために第三者が物品を所持すること又は第三者に所持させることを含む。以下同じ。)が行われた場合、税務署長は当該物品につき免除された消費税額に相当する消費税を直ちに徴収(以下「即時徴収」という。)することとされている。この譲渡又は譲受けが税務署長の承認を受けずに行われた場合には、まずは購入した物品を譲り渡した者(第三者に所持をさせた者を含む。)から即時徴収することとされ、その者が判明しない場合には、当該物品を譲り受けた者又は委託若しくは媒介のために所持する者から即時徴収することとされていたが、改正により当該物品を譲り受けた者(その委託又は媒介のために物品を所持した第三者を含む。)に対して譲り渡した者と連帯してその免除された消費税を納付する義務を課すこととされ(消法8⑥)、免税購入された物品の譲渡人が判明しているか否かにかかわらず、税務署長はその譲受人に対しても即時徴収を行うことができることとされた。

2 適用関係
 上記の改正は、令和5年5月1日以後に行われる免税販売に係る譲渡又は譲受けについて適用し、同日前に行われた免税販売に係る譲渡又は譲受けについては、なお従前の例によることとされている(改正法附則1一イ、20①)。

三 電子決済手段に係る課税関係の見直し

1 改正の内容
 令和4年6月に成立した安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律(令和4年法律第61号。以下「改正資金決済法」という。)による改正後の資金決済法において、電子決済手段が支払いの手段として位置づけられたことを踏まえ、消費税が非課税とされる支払手段に類するものの範囲に、改正後の資金決済法第2条第5項に規定する電子決済手段が追加された(消令9④)。
 また、電子決済手段の譲渡については、その性格に鑑み、法定通貨や暗号資産と同様に、課税売上割合の計算に含めないこととされた(消令48②一)。

2 適用関係
 上記の改正は、改正資金決済法の施行の日(令和5年6月1日)以後に国内において事業者が行う資産の譲渡等及び課税仕入れに係る消費税について適用され、同日前に国内において事業者が行った資産の譲渡等及び課税仕入れに係る消費税については、なお従前の例によることとされている(改正消令附則2)。

四 その他の改正

1 カジノ業務に係る仕入れに係る消費税額の控除の特例
(1)改正の内容

① カジノ業務に係る仕入れに係る消費税額の控除制限
  認定設置運営事業者が国内において行う課税仕入れ若しくは特定課税仕入れ又は保税地域から引き取る課税貨物(これらのうちカジノ業務(特定複合観光施設区域整備法(平成30年法律第80号。以下「IR整備法」という。)第2条第8項に規定するカジノ業務をいう。以下同じ。)に係るものとして経理されるべきものに限る。)に係る課税仕入れ等の税額については、仕入税額控除制度を適用しないこととされた。ただし、その課税期間における資産の譲渡等の対価の額の合計額にカジノ業務収入の合計額を加算した金額のうちに当該カジノ業務収入の合計額の占める割合が5%以下である場合には、カジノ業務に係る仕入れに係る消費税額の控除制限は適用されないこととされた(措法86の6①、措令46の4)。
(注1)IR整備法第28条第2項において、認定設置運営事業者はカジノ業務、カジノ区画内関連業務、その他の施設ごとの業務等に係る経理を区分して整理することとされている。
(注2)上記の「カジノ業務収入」とは、その課税期間における資産の譲渡等の対価以外の収入(いわゆる不課税収入)のうちIR整備法の規定によりカジノ業務に係るものとして経理されるべきものをいう。
② カジノ業務と非カジノ業務との間で資産を転用した場合の仕入れに係る消費税額の調整
  上記①の措置に併せて、カジノ業務と非カジノ業務との間で資産を転用した場合の仕入れに係る消費税額の調整措置として、認定設置運営事業者が、調整対象固定資産に係る課税仕入れ等の税額につき非カジノ業務の用に供するものとして仕入税額控除制度の適用を受けた場合において、当該調整対象固定資産を当該課税仕入れ等の日から3年以内にカジノ業務の用にのみ供したときは、当該カジノ業務の用にのみ供した日に応じた次の消費税額をカジノ業務の用にのみ供した日の属する課税期間における仕入れに係る消費税額から控除し、当該控除をした後の金額を当該課税期間における仕入れに係る消費税額とみなすこととされた(措法86の6②)。
 イ 課税仕入れ等の日から1年を経過する日までの期間……調整対象税額に相当する消費税額
 ロ 上記イの期間の末日の翌日から1年を経過する日までの期間……調整対象税額の2/3に相当する消費税額
 ハ 上記ロの期間の末日の翌日から1年を経過する日までの期間……調整対象税額の1/3に相当する消費税額
 (注)上記の「調整対象税額」とは、非カジノ業務からカジノ業務へ転用する調整対象固定資産に係る課税仕入れ等の税額(仕入控除税額)をいう。
  また、認定設置運営事業者が、調整対象固定資産に係る課税仕入れ等の税額につきカジノ業務の用に供するものとして仕入税額控除制度の適用を受けなかった場合において、当該調整対象固定資産を当該課税仕入れ等の日から3年以内に非カジノ業務の用にのみ供したときは、当該非カジノ業務の用にのみ供した日に応じた次の消費税額を非カジノ業務の用にのみ供した日の属する課税期間における仕入れに係る消費税額に加算し、当該加算をした後の金額を当該課税期間における仕入れに係る消費税額とみなすこととされた(措法86の6④)。
 イ 課税仕入れ等の日から1年を経過する日までの期間……調整対象税額に相当する消費税額
 ロ 上記イの期間の末日の翌日から1年を経過する日までの期間……調整対象税額の2/3に相当する消費税額
 ハ 上記ロの期間の末日の翌日から1年を経過する日までの期間……調整対象税額の1/3に相当する消費税額
 (注)上記の「調整対象税額」とは、調整対象固定資産についてカジノ業務から非カジノ業務へ転用した日において仕入れ等を行ったとした場合の課税仕入れ等の税額、すなわち、転用した日の属する課税期間の課税売上割合等を用いて計算した場合の仕入控除税額をいう。
(2)適用関係
 上記の改正は、令和5年4月1日以後に開始する課税期間について適用することとされている(改正法附則53)。

2 輸入に係る帳簿代用書類の電子保存規定の創設
(1)改正の内容

 輸入に係る帳簿代用書類について、関税法においては電磁的記録による保存が認められている(関税法施行令83⑤等)ため、消費税法においても、帳簿代用書類に当該帳簿代用書類に記載すべき事項を記録した電磁的記録を含むものとされた(消規27⑦)。
 なお、これらの電磁的記録の保存方法については、電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則(平成10年大蔵省令第43号)第4条第1項各号に掲げる措置のいずれかを行い、同項に規定する要件に準ずる要件に従って保存することとされ(消規27⑧)、その電磁的記録を出力することにより作成した書面による保存も認められている(消規27⑨)。
(2)適用関係
 上記の改正は、令和5年4月1日以後に特例輸入者が輸入の許可を受ける特例申告貨物の保税地域からの引取りにつき消費税法施行規則第27条第6項の規定を適用する場合について適用される(改正消規附則2)。

3 税関事務管理人制度に係る改正
(1)改正の内容

 関税法の改正に伴い、保税地域からの引取りに係る内国消費税についても、輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律(昭和30年法律第37号。以下「輸徴法」という。)及び輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律施行規則(平成19年財務省令第51号。以下「輸徴規」という。)の改正が行われ、保税地域からの引取りに係る内国消費税に関する事項を処理させるための国税通則法に規定する納税管理人について「引取納税管理人」と定義され(輸徴法21の2①)、引取納税管理人及び税関事務管理人を選任すべき者が、税関長に対して引取納税管理人及び税関事務管理人の届出をしなかったときは、税関長はその者に対し、保税地域からの引取りに係る内国消費税に関する事項のうち引取納税管理人に処理させる必要があると認められるもの(以下「特定事項」という。)を明示して、60日を超えない範囲内においてその準備に通常要する日数を勘案して指定する日までに、引取納税管理人の届出をすべきことを書面で求めることができ、かつ、国内便宜者に対し、引取納税管理人となることを書面で求めることができることとされた(輸徴法21の2②)。
(注)上記の特定事項とは次の事項をいう(輸徴規5)。
① 内国消費税に関する調査において税関長等が引取納税管理人を定めなければならない者に対して発する書類を受領し、及び当該者に対して当該書類を送付すること
② 内国消費税に関する調査において引取納税管理人を定めなければならない者が税関長等に対して提出する書類を受領し、及び当該税関長等に対して当該書類を提出すること
 また、税関長は、上記の者が一定の期間内に税関事務管理人の届出及び引取納税管理人の届出をしなかった場合において、上記の引取納税管理人となることを求めた者を特定税関事務管理人として指定するときは、その特定税関事務管理人を、特定引取納税管理人(特定事項を処理させる引取納税管理人をいう。)として指定することができることとされた(輸徴法21の2③)。
(2)適用関係
 上記の改正は、令和5年10月1日から施行される(関税定率法等の一部を改正する法律(令和5年法律第6号)附則1一)。

4 一定の認可外保育施設の利用料に係る非課税措置
(1)改正の内容

 「消費税法施行令第14条の3第1号の規定に基づき厚生労働大臣が指定する保育所を経営する事業に類する事業として行われる資産の譲渡等」(平成17年厚生労働省告示第128号)が改正され、その利用料等が非課税となる施設の範囲に国家戦略特別区域制度の特例(国家戦略特別区域内に所在する認可外保育施設であって、当該施設を利用する児童の全て又は多くが外国人であるものについては、外国の保育士資格を有する者を十分な数配置していること等の諸条件を満たす場合には、それをもって上記の「保育に従事する者の概ね3分の1以上に相当する数の者が日本の保育士資格を有する者であること」という基準を満たすものと取り扱って差し支えないこととする特例)が適用される施設が追加された。
 また、あわせて以下の規定の整備も行われた。
・令和5年4月にこども家庭庁が設置されたことに伴う、所管大臣を厚生労働大臣から内閣総理大臣とする等の規定の整備
・指導監督基準が改正されたことに伴う、児童の施設外での活動、取組み等のための移動等のために自動車を運行するときは点呼等による児童の所在確認を行うことを義務付ける規定及び安全に関する事項についての計画を各施設において策定することを義務付ける規定の整備
(2)適用関係
 上記の改正は、いずれも令和5年4月1日から適用されている(令和5年厚生労働省告示第151号)。

5 身体障害者用物品の指定
(1)改正の内容

 消費税においては、身体障害者の使用に供するための特殊な性状、構造又は機能を有する一定の身体障害者用物品の譲渡、貸付け等が非課税とされているが(消法別表1十)、今般の改正では、こども家庭庁の創設に伴う規定の整備等を行うとともに、既に非課税物品に指定されている物品で個別製品名が掲げられているものについて、バージョンアップ等に伴う所要の改正が行われた。
(2)適用関係
 上記の改正は、令和5年4月1日から適用されている(令和5年厚生労働省告示第141号)。

酒税関係の改正

1 承認酒類製造者に対する酒税の税率の特例措置の創設
(1)改正の内容

 「清酒等に係る酒税の税率の特例措置」、「ビールに係る酒税の税率の特例措置」、「被災酒類製造者が移出する清酒等に係る酒税の税率の特例措置」を廃止し、激変緩和のための経過措置を含め、以下の新たな酒税の軽減措置を講ずることとされた。
① 適用対象者
  酒税の保全のために酒類業の健全な発達に資する取組みを適正かつ確実に行うことができると認められるものとして、酒類の製造場(以下「製造場」という。)の所在地を所轄する税務署長(以下「所轄税務署長」という。)の承認を受けた酒類製造者(以下「承認酒類製造者」という。)で、前年度の酒類の課税移出数量(以下「前年度課税移出数量」という。)が3,000㎘以下である者
  ただし、次に掲げる者に該当する場合には、承認の取消しに関係なく、該当することとなったときから本特例の軽減措置は適用されない(措法87③)。
 イ その年度の前年度の末日において常時使用する従業員の数が300人を超える個人
 ロ その年度の前年度の末日において資本金の額又は出資金の額が3億円を超え、かつ、常時使用する従業員の数が300人を超える法人(以下「特定大法人」という。)
 ハ その年度の前年度の末日において特定大法人との間に当該特定大法人による完全支配関係がある法人
 ニ その年度の前年度の末日において、法人との間に完全支配関係がある全ての特定大法人が有する株式及び出資の全部を当該全ての特定大法人のうちいずれか一の特定大法人が有するものとみなした場合において当該いずれか一の特定大法人と当該法人との間に当該いずれか一の特定大法人による完全支配関係があることとなるときの当該法人
 ホ 酒類の製造免許を受けていない者
 ヘ 試験のための酒類の製造免許のみを受けている者
 ト その年度の前年度の末日以前2年内において酒税の滞納処分を受けた者
 チ 酒類の製造免許の取消事由(酒法10三~五、七~八)に該当する者
 リ 公正取引基準等の命令(酒類業組合法84②、86の4)に違反した者
② 適用対象酒類
  軽減措置の適用対象となる酒類は全品目の酒類であるが、承認酒類製造者が受けている製造免許と同一の品目の酒類(当該酒類をその移入した製造場から更に移出した場合に酒税法第30条第3項(再移出控除)の適用を受けるものを除く。)に限ることとされた。
③ 適用期間
  この軽減措置は、令和6年4月1日から令和11年3月31日までの間に製造場から移出される酒類について適用される。
④ 軽減割合等
  本特例による軽減割合は製造規模が大きくなるほど逓減する仕組みとされた。また、その製造規模については、その年度の初日からその移出をしたときまでに承認酒類製造者が製造場から移出する本特例の軽減対象となる酒類に係る本則税率により計算した場合の金額の累計額(以下「当年度酒税累計額」という。)を基準とすることとされた。具体的には、本特例の適用を受ける酒類に対する酒税の税率は、当年度酒税累計額が次のいずれの場合に該当するかに応じて、それぞれ次の税率とされている。
 イ 当年度酒税累計額が5,000万円以下の場合 本則税率の100分の80(軽減割合:100分の20)
 ロ 当年度酒税累計額が5,000万円を超え8,000万円以下の場合 本則税率の100分の90(軽減割合:100分の10)
 ハ 当年度酒税累計額が8,000万円を超え1億円以下の場合 本則税率の100分の95(軽減割合:100分の5)
 ただし、前年度の一の品目の酒類の課税移出数量(以下「特定品目前年度課税移出数量」という。)が次に掲げる数量の場合の本特例による軽減割合は、それぞれ次に定める割合を上記の軽減割合に乗じて得た割合とされた(措法87②)。
 イ 特定品目前年度課税移出数量が400㎘を超え1,000㎘以下の場合 100分の75
 ロ 特定品目前年度課税移出数量が1,000㎘を超え1,300㎘以下の場合 100分の50
 ハ 特定品目前年度課税移出数量が1,300㎘超の場合 100分の25

⑤ 承認酒類製造者の承認手続
  承認酒類製造者の承認を受けるためには、その申請書に事業計画書を添付して、所轄税務署長に申請する必要がある。
  当該所轄税務署長は、当該申請があった場合には当該申請があった日の翌日から起算して3月以内に、承認をし、又は次の場合には却下をすることとされている(措法87⑥)。
 イ 申請書又は事業計画書に不備又は不実の記載があると認められる場合その他これらに類する場合
 ロ 承認を取り消された日から1年を経過するまでの者である場合
 ハ 申請前2年内において酒税の滞納処分を受けた者である場合
 ニ 酒類の製造免許の取消事由(酒法10三~五、七~八)に該当する者である場合
 ホ 公正取引基準等の命令(酒類業組合法84②、86の4)に違反した者である場合
⑥ 実績報告書の提出
  年度ごとに、承認酒類製造者が事業計画書に記載した目標の達成状況等を記載した書面(以下「実績報告書」という。)をその年度の翌年度の5月31日までに所轄税務署長に提出しない場合には、その年度について本特例の軽減措置を適用しないこととされた。ただし、期限までに提出がなかったことについて当該所轄税務署長がやむを得ない事情があると認める場合には、期限後に実績報告書を提出することにより本特例を適用することとされている(措法87⑦)。
⑦ 承認の取消し等
  承認酒類製造者が次のいずれかに該当する場合には、上記⑤の承認をした税務署長は、それぞれ次に定める日に遡って、その承認を取り消すことができることとされている(措法87⑧)。
 イ 実績報告書に偽りの記載をして提出した場合 実績報告書に係る年度の初日
 ロ 事業計画書の記載に従って取組みが行われていないと認められる場合 事業計画書の記載に従って取組みが行われていないと認められる期間の初日
 ハ 酒税の滞納処分を受けた場合 当該滞納処分を受けた日
 ニ 酒類の製造免許の取消事由(酒法10三~五、七~八)に該当する者である場合 これらの場合に該当することとなった日
 ホ 公正取引基準等の命令(酒類業組合法84②、86の4)に違反した者である場合 これらの場合に該当することとなった日
 ヘ 申請書又は事業計画書に不備又は不実の記載があると認められる場合その他これらに類する場合 これらの場合に該当することとなった日
  また、承認酒類製造者が、その承認を受けていることをやめようとする場合には、その旨の届出書を所轄税務署長に提出することで、その承認を受けていることをやめることができることとされている(措令46の7の2⑥)。酒類製造業の全部を譲渡し、又は廃止した場合にはその譲渡し、又は廃止した日の翌日以後承認の効力は失われることとされている(措令46の7の2⑦)。
⑧ 経過措置
  「清酒等に係る酒税の税率の特例措置」、「ビールに係る酒税の税率の特例措置」、「被災酒類製造者が移出する清酒等に係る酒税の税率の特例措置」(以下「旧特例措置」という。)は、令和5年3月31日の適用期限を以って廃止されたが、本特例の軽減措置は令和6年4月1日から適用されるため、承認酒類製造者の承認を受けるための準備期間に当たる令和5年4月1日から令和6年3月31日までの間は、激変緩和のための措置として旧特例措置を適用することとされた(改正法附則54②、55②、63②)。
  また、令和6年4月1日からは、本特例の軽減措置が適用されるが、旧特例措置とは適用対象者や軽減額等が異なるため、次の一定の要件のもと旧特例措置を適用できることとされた。なお、軽減割合については、令和9年4月1日から令和10年3月31日までの間は旧特例措置による軽減割合の90%、同年4月1日から令和11年3月31日までの間は旧特例措置による軽減割合の80%とされた(改正法附則54③、55③、63③)。
 イ 承認酒類製造者であること
 ロ その年度の前年度の末日以前2年内において酒税の滞納処分を受けていないこと
 ハ 酒類の製造免許の取消事由(酒法10三~五、七~八)に該当する者でないこと
 ニ 公正取引基準等の命令(酒類業組合法84②、86の4)に違反した者に該当していないこと
 ホ 実績報告書を提出すること(改正法附則54⑨、55⑥、63⑦)
 ヘ 令和6年3月31日までに旧特例措置を適用する旨の届出書を所轄税務署長に提出すること

2 輸出酒類販売場制度における即時徴収の見直し
(1)改正の内容

 酒類製造者が輸出酒類販売場(消費税の輸出物品販売場の許可を受けた酒類の製造場であること等の要件に該当する販売場として、当該酒類の製造場の所在地を所轄する税務署長の許可を受けた酒類の販売場をいう。以下同じ。)において訪日外国人旅行者等に対して一定の手続により酒類を販売した場合には、当該酒類に係る酒税を免税とする制度(いわゆる「酒蔵ツーリズム免税制度」)について、消費税法における輸出物品販売場制度に係る見直しと同様の見直しが行われた。
(注)消費税法における輸出物品販売場制度に係る見直しについては、前掲「消費税法等の改正」の「外国人旅行者向け消費税免税制度(輸出物品販売場制度)の見直し」を参照のこと。
 具体的には、税務署長の承認を受けないで国内において当該免税酒類の譲渡等がされたときは、当該免税酒類を譲り受けた者に対して当該免税酒類を譲り渡した者と連帯してその免除された酒税を納付する義務を課すこととされた。この場合に、当該免税酒類を譲り渡した者が判明しているか否かにかかわらず、税務署長は当該免税酒類を譲り受けた者に対しても即時徴収を行うことができることとされた(措法87の6⑥)。
(2)適用関係
 上記の改正は、令和5年5月1日以後に輸出酒類販売場を経営する酒類製造者が免税購入対象者に対して販売する酒類の移出に係る譲渡等について適用し、同日前に行われた酒類の移出に係る譲渡等については、なお従前の例によることとされている(改正法附則1一ロ、57)。

たばこ税関係の改正

1 入国者が輸入する紙巻たばこのたばこ税の税率の特例措置の改正
 入国者が携帯又は別送して輸入する紙巻たばこのうち免税となる数量を超えて商業量に達するまでの数量については、たばこ税及びたばこ特別税を合わせて、1,000本につき15,000円の税額とする本特例について、令和6年3月31日まで1年延長することとされた(措法88の2①)。

揮発油税及び地方揮発油税関係の改正

1 バイオエタノール等揮発油に係る課税標準の特例措置の延長
 バイオエタノール等又はカーボンリサイクルエタノール等を混和して製造された揮発油(以下「バイオエタノール等揮発油」という。)をその製造場から移出する場合、バイオエタノール等揮発油の数量からその製造に使用されたバイオエタノール等に含まれるエタノールの数量に相当する数量を控除し、その控除後の数量を当該製造場から移出した揮発油の数量とみなし、これに揮発油税及び地方揮発油税を課税する本特例について、その適用期限を5年延長し、令和10年3月31日までの措置とすることとされた(措法88の7)。

石油石炭税関係の改正

1 地球温暖化対策のための石油石炭税の税率の特例に係る軽減・還付措置の延長
 「特定の用途に供する石炭に係る石油石炭税の軽減措置」及び「特定の石油製品等を特定の運送、農林漁業又は発電の用に供した場合の石油石炭税の還付措置」について、その適用期限を3年延長し、令和8年3月31日までの措置とすることとされた(措法90の3の3、90の3の4)。改正後のそれぞれの特例の概要は以下のとおり。
① 特定の用途に供する石炭に係る石油石炭税の軽減措置
  苛性ソーダの製造業を営む者が自ら発電(苛性ソーダの製造に使用する電気に係るものに限る。)の用に供する石炭及び塩製造業者が自ら発電(イオン交換膜法による塩の製造に使用する電気に係るものに限る。)の用に供する石炭について、令和8年3月31日までに保税地域から引き取られるものについては、その引取りに係る石油石炭税の税額は、「地球温暖化対策のための石油石炭税の税率の特例」の規定にかかわらず、本則税率(1t当たり700円)により計算した金額とする(措法90の3の3)。
② 特定の石油製品等を特定の運送、農林漁業又は発電の用に供した場合の石油石炭税の還付措置
  次表に掲げる者が課税済みの原油又は粗油から国内において製造された特定用途石油製品等(次表に掲げる石油製品等をいう。)を令和8年3月31日までに次表に掲げる用途に供した場合には、これらの用途に供した特定用途石油製品等につき、「地球温暖化対策のための石油石炭税の税率の特例」による税率により計算した石油石炭税額と本則税率により計算した石油石炭税額との差額に相当する金額をその特定用途石油製品等の製造者、その特定用途石油製品等を採取場から移出した採取者又はその特定用途石油製品を保税地域から引き取った者に還付する(措法90の3の4)。

2 輸入農林漁業用A重油に係る石油石炭税の免税措置の延長
 農林漁業の用に供される一定の重油及び粗油(以下「農林漁業用A重油」という。)について、「地球温暖化対策のための石油石炭税の税率の特例」により上乗せされる税率部分を含めた石油石炭税が免税される措置について、その適用期限を5年延長し、令和10年3月31日までの措置とすることとされた(措法90の4)。

3 国産農林漁業用A重油に係る石油石炭税の還付措置の延長
 課税済みの原油等から国内において製造された農林漁業用A重油について、「地球温暖化対策のための石油石炭税の税率の特例」により上乗せされる税率部分を含めた石油石炭税を還付する措置について、その適用期限を5年延長し、令和10年3月31日までの措置とすることとされた(措法90の6)。

4 非製品ガスに係る石油石炭税の還付措置の延長
 石油精製業者が、製造場(その製造場の所在地を所轄する税務署長の承認を受けた製造場に限る。)において課税済みの原料から品質・性状が安定しないこと等から製品として販売できないガスである非製品ガスを製造した場合には、非製品ガスの数量に1㎘当たり2,800円に相当する金額を乗じて得た金額を非製品ガスを製造した石油精製業者に還付する措置について、その適用期限を5年延長し、令和10年3月31日までの措置とすることとされた(措法90の6の3)。

航空機燃料税関係の改正

1 航空機燃料税の税率の特例措置の延長等
 航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率を航空機燃料1㎘当たり13,000円(本則26,000円)に軽減する措置について、その適用期限を5年間延長し、令和10年3月31日までの措置とすることとされ、その税率は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けた税率引下げ前の税率水準である航空機燃料1㎘当たり18,000円とすることとされた。ただし、航空需要の回復状況を踏まえ、激変緩和措置として令和7年3月31日までの2年間は現行水準(航空機燃料1㎘当たり13,000円)に据え置き、その後、段階的に税率を引き上げることとされ、具体的には次の期間に応じ、それぞれ次の税率とされた(措法90の8、改正法附則58②)。
① 令和5年4月1日から令和7年3月31日までの間 航空機燃料1㎘当たり13,000円
② 令和7年4月1日から令和9年3月31日までの間 航空機燃料1㎘当たり15,000円
③ 令和9年4月1日から令和10年3月31日までの間 航空機燃料1㎘当たり18,000円

2 沖縄路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率の特例措置の延長等
 沖縄路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る税率を1の措置による軽減後の税率の2分の1とする措置について、1の改正により航空機燃料税の税率が1㎘当たり18,000円とされたことに伴い、1㎘当たり9,000円(改正前:6,500円)とすることとされ、その適用期限を5年延長し、令和10年3月31日までの措置とすることとされた。ただし、1の改正と同様に、激変緩和措置として令和7年3月31日までの2年間は現行水準(航空機燃料1㎘当たり6,500円)に据え置き、その後、段階的に税率を引き上げることとされ、具体的には次の期間に応じ、それぞれ次の税率とされた(措法90の8の2、改正法附則58③)
① 令和5年4月1日から令和7年3月31日までの間 航空機燃料1㎘当たり6,500円
② 令和7年4月1日から令和9年3月31日までの間 航空機燃料1㎘当たり7,500円
③ 令和9年4月1日から令和10年3月31日までの間 航空機燃料1㎘当たり9,000円

3 特定離島路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る航空機燃料税の税率の特例措置の延長等
 特定離島路線航空機に積み込まれる航空機燃料に係る税率を1の措置による軽減後の税率の3分の4とする措置について、1の改正により航空機燃料税の税率が1㎘当たり18,000円とされたことに伴い、1㎘当たり13,500円(改正前:9,750円)とすることとされ、その適用期限を5年延長し、令和10年3月31日までの措置とすることとされた。ただし、1の改正と同様に、激変緩和措置として令和7年3月31日までの2年間は現行水準(航空機燃料1㎘当たり9,750円)に据え置き、その後、段階的に税率を引き上げることとされ、具体的には次の期間に応じ、それぞれ次の税率とされた(措法90の9、改正法附則58④)
① 令和5年4月1日から令和7年3月31日までの間 航空機燃料1㎘当たり9,750円
② 令和7年4月1日から令和9年3月31日までの間 航空機燃料1㎘当たり11,250円
③ 令和9年4月1日から令和10年3月31日までの間 航空機燃料1㎘当たり13,500円

自動車重量税関係の改正

1 自動車重量税の免税等の特例措置(いわゆる「エコカー減税」)の延長等
(1)改正の内容

 排出ガス性能及び燃費性能の優れた環境負荷の小さい検査自動車のうち、新車に係る新規検査(予備検査を含む。以下同じ。)を受けたものについて、その納付すべき自動車重量税を免税、75%軽減、50%軽減又は25%軽減とする措置について、新型コロナウイルス感染症等を背景とした半導体不足等の状況を踏まえ、現行制度を令和5年12月末まで据え置くこととされ、据置期間経過後は、2035年までに乗用車の新車販売に占める電動車の割合を100%とすることを目指す政府目標と整合的な形とする観点から、燃費基準の達成度を段階的に引き上げる等、対象となる自動車の範囲を見直した上で、据置期間を含めその適用期限を3年延長することとされた。
 具体的には、次の①のとおり適用期限を延長し、②から④までのとおりその対象となる自動車の要件を見直すこととされた。
① 令和8年4月30日までその適用期限を3年延長することとされた(措法90の12①~④)。
② 乗用自動車
 イ 平成30年排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物の排出量が少ないガソリン自動車若しくは石油ガス自動車又は平成30年排出ガス規制に適合するディーゼル自動車のうち、令和2年度燃費基準を達成しているものであって、令和12年度燃費基準を達成している(令和7年4月30日までの間は、令和12年度燃費基準に対する達成の程度が90%以上である)ものは免税対象車(措法90の12①四イ五六イ、措規40の4⑦⑬⑮)、令和12年度燃費基準に対する達成の程度が90%(令和7年4月30日までの間は、80%)以上であるものは50%軽減対象車(措法90の12③一イ二三イ、措規40の4)、令和12年度燃費基準に対する達成の程度が80%(令和7年4月30日までの間は、70%)以上であるものは25%軽減対象車(措法90の12④一イ二三イ、措規40の4)とすることとされた。
 ロ 新車に係る新規検査後に受ける最初の継続検査等の際に納付すべき自動車重量税を免除する措置の対象となる自動車は、上記イの免税対象車のうち、次の(イ)及び(ロ)のものとすることとされた(措法90の12⑤)。
 (イ)令和6年1月1日から令和7年4月30日までの間に上記イの免税対象車に該当することにより免税の規定が適用された自動車 令和12年度燃費基準に対する達成の程度が120%以上であるもの
 (ロ)令和7年5月1日から令和8年4月30日までの間に上記イの免税対象車に該当することにより免税の規定が適用された自動車 令和12年度燃費基準に対する達成の程度が125%以上であるもの
③ トラック(車両総重量が3.5t以下のガソリン自動車及び車両総重量が2.5tを超え3.5t以下のディーゼル自動車に限る。)
 イ 平成30年排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物の排出量が少ないガソリン自動車又は平成30年排出ガス規制に適合するディーゼル自動車のうち、令和4年度燃費基準を達成しているもの(車両総重量が2.5t以下のガソリン自動車にあっては、令和4年度燃費基準に対する達成の程度が105%以上であるもの)は免税対象車とすることとされた(措法90の12①四ニ六ハ、措規40の4⑫⑱)。
 ロ 次の(イ)又は(ロ)に掲げるガソリン自動車又はディーゼル自動車は75%軽減対象車とすることとされた(措法90の12②一ハニ二ロ、措規40の4)。
 (イ)平成30年排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物の排出量が少ないガソリン自動車又は平成30年排出ガス規制に適合するディーゼル自動車のうち、令和4年度燃費基準に対する達成の程度が95%以上であるもの(車両総重量が2.5t以下のガソリン自動車にあっては、令和4年度燃費基準を達成しているもの)
 (ロ)車両総重量が2.5tを超え3.5t以下のガソリン自動車であって、平成30年排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より25%以上窒素酸化物の排出量が少ないもののうち、令和4年度燃費基準を達成しているもの
 ハ 次の(イ)又は(ロ)に掲げるガソリン自動車又はディーゼル自動車は50%軽減対象車とすることとされた(措法90の12③一ハニ三ロ、措規40の4)。
 (イ)平成30年排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物の排出量が少ないガソリン自動車又は平成30年排出ガス規制に適合するディーゼル自動車のうち、令和4年度燃費基準に対する達成の程度が90%(車両総重量が2.5t以下のガソリン自動車にあっては、95%)以上であるもの
 (ロ)車両総重量が2.5tを超え3.5t以下のガソリン自動車であって、平成30年排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より25%以上窒素酸化物の排出量が少ないもののうち、令和4年度燃費基準に対する達成の程度が95%以上であるもの
 ニ 次の(イ)又は(ロ)に掲げるガソリン自動車は25%軽減対象車とすることとされた(措法90の12④一ロハ、措規40の4)。
 (イ)車両総重量が2.5t以下の自動車のうち、平成30年排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より50%以上窒素酸化物の排出量が少ないものであって、令和4年度燃費基準に対する達成の程度が90%以上であるもの
 (ロ)車両総重量が2.5tを超え3.5t以下の自動車であって、平成30年排出ガス規制に適合し、かつ、平成30年排出ガス基準値より25%以上窒素酸化物の排出量が少ないもののうち、令和4年度燃費基準に対する達成の程度が90%以上であるもの
④ バス・トラック(車両総重量が3.5tを超えるディーゼル自動車に限る。)
 イ 平成28年排出ガス規制に適合する自動車のうち、令和7年度燃費基準を達成しているもの(令和7年4月30日までの間は、平成27年度燃費基準に対する達成の程度が115%以上であるもの)は、免税対象車とすることとされた(措法90の12①六ニ、措規40の4⑲)。
 ロ 平成28年排出ガス規制に適合する自動車のうち、令和7年度燃費基準に対する達成の程度が95%以上であるもの(令和7年4月30日までの間は、平成27年度燃費基準に対する達成の程度が110%以上であるもの)は、50%軽減対象車とすることとされた(措法90の12③三ハ、措規40の4)。
 ハ 平成28年排出ガス規制に適合する自動車のうち、平成27年度燃費基準に対する達成の程度が105%以上であるものは、令和6年1月1日から令和7年4月30日までの間、25%軽減対象車とすることとされた(措法90の12④三ロ、措規40の4)。
(注1)上記の「免税対象車」とは、新車に係る新規検査の際に納付すべき自動車重量税を免除する自動車をいい、「75%軽減対象車」とは、新車に係る新規検査の際に納付すべき自動車重量税の税率を75%軽減する自動車をいい、「50%軽減対象車」とは、新車に係る新規検査の際に納付すべき自動車重量税の税率を50%軽減する自動車をいい、「25%軽減対象車」とは、新車に係る新規検査の際に納付すべき自動車重量税の税率を25%軽減する自動車をいう。
(注2)今般の改正によりエコカー減税の対象外となるガソリン自動車、石油ガス自動車又はディーゼル自動車であって、乗用自動車のうち、令和12年度燃費基準に対する達成の程度が75%以上であり、かつ、令和2年度燃費基準を達成しているものは、令和7年5月1日から令和8年4月30日までの間に自動車検査証の交付等を受ける場合には、当該自動車検査証の交付等の際に納付すべき自動車重量税の税率について、自動車重量税法第7条に規定する本則税率を適用することとする経過措置が講じられている(改正法附則59②、改正措規附則12②)。
(2)適用関係
 上記①の改正は、令和5年5月1日から施行され、上記②から④までの改正は、令和6年1月1日以後に自動車検査証の交付を受ける自動車について適用される(改正法附則1一・三)。

2 自動車重量税の納付の事実の確認等の特例措置の見直し
(1)改正の内容

 自動車重量税の法定納期限後において納付すべき自動車重量税の額の全部又は一部が納付されていない事実が発覚した場合において、当該事実が生じた原因が、自動車メーカー等が偽りその他不正の手段により国土交通大臣の認定等を受けたことを事由として国土交通大臣が当該認定等を取り消したことによるものであるときは、当該自動車メーカー等を当該納付不足額に係る自動車重量税の納税義務者とみなして、当該納付不足額にその10%に相当する金額を加算した額を当該自動車メーカー等から徴収する措置について、一層の再発抑止を図る観点から、次の見直しを行うこととされた。
① 自動車メーカー等が偽りその他不正の手段により国土交通大臣の認定等を受けたことを事由として国土交通大臣がその認定等を取り消したことにより自動車重量税の納付不足額が生じた場合に当該自動車メーカー等に対して課する当該納付不足額に係る加算割合について、35%(改正前:10%)に引き上げることとされた(措法90の12の2④)
② 自動車メーカー等が偽りその他不正の手段により国土交通大臣の認定等を受けたことを事由として国土交通大臣がその認定等を取り消したことにより自動車重量税の納付不足額が生じた場合に当該自動車メーカー等が納付する自動車重量税の額について、法人税法上、損金の額に算入しないこととされた(措法90の12の2⑦)。
(2)適用関係
① 上記①の改正は、令和6年1月1日以後に法定納期限が到来する自動車重量税について適用し、同日前に法定納期限が到来した自動車重量税については従前どおりとされた(改正法附則59③)。
② 上記②の改正は、令和6年1月1日以後に法定納期限が到来する自動車重量税について適用される(改正法附則59④)。

3 車両安定性制御装置等を装備した貨物自動車等に係る自動車重量税率の特例措置の見直し
(1)改正の内容

 車両安定性制御装置等、一定の装備を備えた車両の自動車重量税を軽減する措置について、歩行者検知機能を有する衝突被害軽減ブレーキを対象装置に追加する等の見直しを行い、具体的には装備に応じ以下のとおり軽減することとされた。
① 車両総重量が8tを超えるトラック(トレーラーを除く。②において同じ。)のうち、側方衝突警報装置及び歩行者検知機能を有する衝突被害軽減ブレーキを装備したもの(自動車検査証においてこれらの装置を装備した車両であることが明らかにされている自動車に限る。)について、令和5年5月1日から令和6年4月30日までの間に新車に係る新規検査を受ける場合には、当該新規検査の際に納付すべき自動車重量税の税率を50%軽減することとされた(措法90の14①、措規40の7①~③)。
② バス等又は車両総重量が3.5tを超えるトラックのうち、歩行者検知機能を有する衝突被害軽減ブレーキを装備したもの(①の適用のあるものを除き、自動車検査証において歩行者検知機能を有する衝突被害軽減ブレーキを装備した車両であることが明らかにされている自動車に限る。)について、令和5年5月1日から令和8年4月30日までの間に新車に係る新規検査を受ける場合には、当該新規検査の際に納付すべき自動車重量税の税率を25%軽減することとされた(措法90の14③、措規40の7⑤⑥)。
(2)適用関係
 上記の改正は、令和5年5月1日以後に自動車検査証の交付を受ける自動車について適用される(改正法附則1一)。

印紙税関係の改正

1 独立行政法人中小企業基盤整備機構が作成する非課税文書の見直し
(1)改正の内容

 中小企業から中堅企業への成長途上にある企業群に、支援施策の対象を拡大するため、産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律(令和3年法律第70号)により中小機構法の一部が改正され、中小機構は経営の革新を行う事業者及び事業者の経営の革新を支援する事業を行う者に対し、その事業を行うのに必要な助成を行うことができることとされた(中小機構法15②三。令和3年6月17日施行)。
 現行、非課税とされている中小機構の他の業務との関係を踏まえ、中小機構が作成する中小機構法第15条第2項第3号に掲げる業務に関する文書を非課税文書とすることとされた(印法別表第3)。
(2)適用関係
 上記の改正は、令和5年4月1日以後に中小機構が作成する中小機構法第15条第2項第3号に掲げる業務に関する文書について適用し、同日前に中小機構が作成した当該業務に関する文書に係る印紙税については、従前どおりとされた(改正法附則22)。

2 新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置によりその経営に影響を受けた事業者に対して行う特別貸付けに係る消費貸借契約書の印紙税の非課税措置の延長
 公的貸付機関等又は金融機関が特定事業者(新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置によりその経営に影響を受けた事業者をいう。)に対して新型コロナウイルス感染症等によりその経営に影響を受けたことを条件として他の金銭の貸付けの条件に比し特別に有利な条件で行う特別貸付けに係る消費貸借契約書のうち、特例の期限までに作成されるものについては印紙税を課さない措置については、その適用期限を1年延長し、令和6年3月31日までの措置とすることとされた(新型コロナ税特令8③)。

その他間接税等関係の改正

1 特例輸入者の帳簿代用書類の保存方法の見直し
(1)改正の内容

 下記①から③の事項の全部又は一部が記載された関税法施行令第4条の12第2項の書類又は輸入の許可書(以下「輸入許可書等」という。)を整理して保存することで一定の事項の記帳を省略する際の当該輸入許可書等について、当該輸入許可書等に記載すべき事項を記録した電磁的記録を整理して保存することで一定の事項の帳簿への記載を省略することを可能とすることとされた(酒令52⑤、た令17⑥、揮令17⑥、石ガ令21⑤、石石令20⑨)。
① その引取りに係る酒類等の区分及び種別
② 区分及び種別ごとの数量
③ 当該輸入の許可の年月日及びその許可書の番号
(2)適用関係
 上記の改正は、令和5年4月1日以後に輸入の許可を受ける酒類等につき酒税法施行令第52条第4項ただし書等の規定を適用する場合について適用される(改正酒令附則②、改正た令附則③、改正揮令附則②、改正石ガ令附則②、改正石石令附則③)。

2 課税済みの輸入製造たばこの輸出に関する明細を記載した書類の記載方法の見直し
(1)改正の内容

 輸出のため外国航路に就航する船舶等に積み込まれたことを輸出港の所轄税関長が証明した書類、当該事実を輸出の許可をした税関長が証明した書類又は当該酒類等が外国に陸揚げされたことを証明する書類等(以下「輸出証明書」という。)に基づき添付書類に輸出に関する明細を記載する際の当該輸出証明書について、その輸出証明書に記載すべき事項を記録した電磁的記録に基づき当該添付書類に当該輸出の明細を記載することを可能とすることとされた(た令8③)。
(2)適用関係
 上記の改正は、令和5年4月1日以後に特定販売業者が輸出した製造たばこに係る書類について適用することとされている(改正た令附則②)。

3 石油石炭税における月別申告の特例の承認申請書の記載方法の見直し
(1)改正の内容

 原油等が、関税法第67条の規定による輸入の許可を受けたものであることを証する書類又は同法第73条第1項の規定による輸入の許可前における引取りの承認を受けたものであることを証する書類(以下「輸入許可書等」という。)に基づき申請書に記載する際の当該輸入許可書等について、その輸入許可書等に記載すべき事項を記録した電磁的記録に基づき申請書に記載することを可能とすることとされた(石石令16③)。
(2)適用関係
 上記の改正は、令和5年4月1日以後に提出する申請書への記載について適用される(改正石石令附則②)。

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