税務ニュース2023年08月11日 形式的要件不適合でも通達は否定できず(2023年8月14日号・№991) 審判所、「地積規模の大きな宅地」と評価しない事は特別の事情に該当せず
本件は、請求人が相続により取得した土地について、財産評価基本通達により算定した価額で相続税の申告をした後に、不動産鑑定士による鑑定評価額とすべきであるとして更正の請求をしたが、原処分庁が更正をすべき理由がない旨の通知処分を行ったため、その全部の取消しを求めた事案である(なお、本件は審査請求後に請求人が死亡したため、相続人が請求人の地位を承継している)。請求人は、本件土地の基準容積率が360%であることや、本件土地には評価通達20-2(地積規模の大きな宅地の評価)の定めが適用される性質が内在することから、本来、評価通達20-2の定めを適用して評価すべき土地であるにもかかわらず、「指定容積率」という形式的要件で不適合となることは不合理であり、土地の評価に当たり評価通達20-2の定めを適用できないことが特別の事情であるなどと主張した。
審判所は、仮に本件土地が実質的に評価通達20−2に定める地積規模の大きな宅地に該当するにもかかわらず形式的要件で不適合になるとしても、これにより評価通達20-2の定めの合理性が直ちに否定されるものではないと指摘。加えて、請求人の主張は、本件土地に評価通達20-2の定めの適用があるべきとするものだが、そのこと自体は、本件土地の評価に当たって評価通達の定めによるべきではない特別の事情がないことを前提としているものであって、評価通達の定めによるべきではない特別の事情となり得るものとは認められないとの判断を示した。
なお、本件土地の評価に際しては、土止費を控除することが必要であるとして原処分の一部が取り消されている。土止めとは、土砂の流出や崩壊を防止するために構築する擁壁のこと。審判所は、宅地以外の土地を宅地に転用する際に当該土地の状況によっては土止めを必要とする場合があるとした上で、本件土地は接面する道路面より高い位置にあり、また、本件土地から接面する道路に向けて本件土地上の土砂が流出していることからすると、本件土地を宅地に転用する場合に土止めを行うことが通常必要であると認められるとした。
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