会計ニュース2023年08月25日 スピンオフ会計、令和5年4月から適用(2023年8月28日号・№992) ASBJ、改正自己株式等適用指針の公表日から適用も経過措置あり

  • 企業会計基準委員会が検討しているパーシャルスピンオフの会計処理を定めた改正自己株式等適用指針等の適用時期は、公表日以後とする方針。
  • ただし、経過措置として、令和5年4月1日から公表日までの間に実施された取引についても適用することを妨げず。

 企業会計基準委員会(ASBJ)は、令和5年度税制改正でパーシャルスピンオフ税制が創設されたことを踏まえ、現在、パーシャルスピンオフの会計処理について検討を行っている。会計処理の方向性としては、個別財務諸表上、保有する完全子会社株式の一部を株式数に応じて比例的に配当(按分型の配当)し子会社株式に該当しなくなった場合には、配当の効力発生日における配当財産の適正な帳簿価額をもってその他資本剰余金又はその他利益剰余金(繰越利益剰余金)を減額する取扱いを定める方向だ(本誌988号4頁参照)。現行のスピンオフと同様の取扱いとなる。
 令和5年度税制改正で措置されたパーシャルスピンオフ税制は、スピンオフ実施法人に一部持分を残す(発行済株式総数の20%未満)スピンオフについて、一定の要件を満たせば課税の対象外とするもの。令和6年3月31日までの1年限りの時限措置として導入されている(現時点で適用期限が延長されるかどうかは定かではない)。
 今回の基準開発については、パーシャルスピンオフ税制が時限措置であることを踏まえ、早期に基準開発を完了させることが開発ニーズとして聞かれている。また、企業会計基準委員会が開発する会計基準等については、周知期間の観点から適用するまでには一定程度の期間を設けるが、今回の基準開発の範囲は、保有する完全子会社株式の一部を株式数に応じて比例的に配当(按分型の配当)し、子会社株式に該当しないケースに限定しており、これに該当する取引を行う企業数は必ずしも多くないと指摘。このような中で、取引を行う企業は会計上の取扱いを十分に検討した上でスキームを構築すると考えられることから、周知期間の観点で時間的な余裕を設ける必要性は乏しいと考えられるため、適用時期については、改正自己株式等適用指針等の公表日以後とされる方向となっている。
 ただし、パーシャルスピンオフ税制が時限措置である中で最終基準の公表時期が現時点では見通せないことを踏まえると、令和5年4月1日から基準公表日までの間に実行された取引についても、経過措置として、改正自己株式等適用指針等の適用を妨げないこととしている。

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