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解説記事2023年09月25日 SCOPE 東京局がJ-CAP制度を開始へ、個別照会や事前照会との違いは(2023年9月25日号・№996)

対象は東京局管内の特官所掌法人約300社
東京局がJ-CAP制度を開始へ、個別照会や事前照会との違いは


 東京国税局は、令和5年10月から税務CGの一環として管内の調査部特官所掌法人約300社を対象としたJ-CAP制度を開始する。同制度は国税の解釈などに対する事前相談のこと。原則として、45開庁日以内に口頭で回答が行われる。また、文書回答手続による事前照会とは異なり、照会事案はホームページに公表されない点に特徴がある。なお、対象となる税目は法人税、消費税及び地方消費税に限られている。

原則45開庁日以内での口頭回答、ホームページへの公表もなし

 東京国税局は令和5年10月からJ-CAP制度を開始する。同制度は東京国税局管内の特別国税調査官が所掌するおよそ300社(資本金額がおおむね40億円以上)を対象とした「新規性の高い形態の取引等に関する個別確認プログラム」とされる事前相談のこと。実際に行われた取引又は将来行う予定の取引で国税(法人税、消費税及び地方消費税)の解釈・適用に関するものが対象となる(参照)。

 ただし、申告期限前の申出であることが必要だ。相談内容としては、日本と馴染みのない新興国・途上国へ進出、技術革新等により生まれた新規事業への参入などといった新規性の高い形態の取引に関する税務上の取扱いが想定されている。一方、実地確認や取引関係者等による事実関係の認定を必要とするものや、個々の財産の評価や取引等価額の算定、タックスプランニングなどに関するものは対象外となる。
前提条件を付すなどして可能な限り回答
 J-CAP制度の大きな特徴の1つといえるのが回答までの期間だ。現行の個別照会では特に決まりはないが、J-CAP制度は原則として申出から45開庁日以内(回答に必要な資料が提出され、申出として受付けをした時点から起算)に口頭で回答することとしている。東京国税局によれば、可能な限り「回答できない」とはせず、前提条件を付すなどして一定の回答を行うとしている。
仕組みは事前照会とほぼ同じ
 対象税目が法人税、消費税及び地方消費税と限られてはいるが、申告期限前に申出が必要である点や、事実認定が伴わない照会であることなどは現行の文書回答手続による事前照会(事前照会制度)の仕組みとほぼ同じだ。
 ただ、事前照会制度については、「照会文書が受付窓口に到達した日から原則3か月以内の極力早期に行うよう努める」とされているが、前述の通りJ-CAP制度は、口頭ではあるものの一定期間内に回答があるという点で大きく異なる。企業が税務リスクを判断する上でメリットといえよう。
 また、現行の個別照会と同じく、国税庁ホームページへの公表はない。この点、回答が公表されることが手続きの大きなネックとされている事前照会制度とは大きく異なっている。
組織再編税制等の照会は従来通り
 なお、組織再編税制や移転価格税制など、調査部ではない他の部署で手続を行うものはJ-CAP制度ではなく、従来のとおりのままであり、受付窓口等が異なることになる。

J-CAP制度を利用した企業の税務CGへの評価に反映

 国税庁は、全国約500社の調査部特官所掌法人を対象に税務に関するコーポレートガバナンス(税務CG)の充実に向けた取組みを行っている。
 税務CGとは、税務について経営責任者等が自ら適正申告の確保に積極的に関与し、必要な内部体制を整備すること。税務当局では、税務調査の機会に税務CGの状況を確認・判定し、「良好」「おおむね良好」「改善が必要」の3段階で評価を行っているが、東京局では、今後、J-CAP制度を利用した場合には、その申出の内容等を踏まえ、利用した企業の税務CGへの評価へ反映していくとしている。
 なお、今回の東京局によるJ-CAP制度はあくまでも試行であり、全国的に制度が拡大していくかは現時点では未知数だ。今後の東京局の取組み結果が注目される。

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