税務ニュース2023年10月06日 eスポーツ選手への賞金、源泉の要否は(2023年10月9日号・№998) 居住者・非居住者で異なる取扱い、非居住者は職業運動家に該当
eスポーツとは、一般的にはビデオゲーム等を使った対戦をスポーツ競技として捉えたもので、賞金が支払われる大会も世界各地で開催されているが、日本で大会が行われ賞金が選手に支払われる場合の源泉徴収の取扱いは、現状定かではない。この点について本誌が課税当局に取材したところ、「eスポーツの選手が居住者の場合、職業野球の選手等に代表される所得税法204条1項4号及び施行令320条3項に規定された職業には該当しないが、場合によっては賞金が同法204条1項5号に規定するテレビの出演料や同8号に定める広告宣伝費に該当する可能性はあるため、eスポーツだから源泉徴収なしとは一概には言えず、個別判断が必要」とのことだ。一方、非居住者に該当する選手に対して賞金が支払われる場合、居住者とは扱いが異なる。一般的に、個人事業主である非居住者が日本国内での活動により得た報酬は源泉徴収が必要となり(所法161①十二)、また、多くの租税条約にはその個人が“芸能人又は運動家”である場合は、条約上も日本での課税を認める条項が存在する。外国法人等による日本国内での人的役務提供事業(所法161①六)に関してではあるが、その事業の対価には「職業運動家」の役務提供事業が含まれており、さらに所得税基本通達161−23では「大会などで競技する囲碁、チェス等の競技者等が含まれる」とされている。この点についても本誌が課税当局に確認したところ、「チェス等の競技者等も含まれていることから、非居住者であるeスポーツ選手は、基本的には職業運動家に該当すると考えて源泉徴収の要否を検討するのであろうが、相手国との租税条約上の規定を個別に検討すべきでもあるため、一概には言えず、個別判断が必要」という回答を得た。
eスポーツの選手が居住者・非居住者いずれの場合も、源泉徴収の要否は最終的にはその報酬の実態を見て個別判断ということにはなるものの、受領者側の“職業”そのものをもって居住者の場合は源泉徴収の対象となるわけではない一方で、非居住者の場合には「職業運動家」に該当し得るため源泉徴収の対象となる可能性が高いと言えよう。
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