税務ニュース2023年10月06日 R6改正・事業承継税制の見直しは(2023年10月9日号・№998) 特例の延長・恒久化要望も、特例承継計画の提出期限延長に留まる可能性
ジャニーズ問題でも注目を集めている事業承継税制だが、既報のとおり、経産省の令和6年度税制改正要望や、各団体からの提言・意見にも盛り込まれており、同年度改正の論点の一つとなりそうだ。
周知のとおり、事業承継税制とは、中小企業の事業承継における相続税・贈与税の納税猶予・免除制度だが、法人版事業承継税制については、平成30年度改正で10年間限定の特例措置が創設され、猶予対象株式数の上限(3分の2)を撤廃するとともに、猶予割合を贈与税・相続税いずれも100とするなど、拡充が図られた。その際に個人版事業承継税制も新設されたが、特例承継計画の提出件数の伸び悩みが指摘される中、特例措置を受けるための特例承継計画及び個人事業承継計画の提出期限(令和6年3月末)と、特例措置の期限(令和9年12月末)が目前に迫っている。
全法連(全国法人会総連合)が9月19日に公表した提言では、特例承継計画の提出期限等の延長を求めるとともに、猶予制度ではなく免除制度に改めることを求めている。現行制度は、後継者が事業を継続し、次の代に事業承継した段階で納税義務が「免除」され、それまでは「納税猶予」を与えられているにすぎないためだ。また、事業継続に資する相続については、事業従事を条件として他の一般資産と切り離し、非上場株式を含めて事業用資産への課税を軽減あるいは免除するなど、欧州並みの本格的な事業承継税制が必要としている。
また、日本商工会議所が9月21日に公表した「令和6年度税制改正に関する意見」では、特例承継計画の提出期限を特例措置の期限である令和9年12月末まで延長すべきとした上で、特例措置の期限後の令和10年1月以後、一般措置を少なくとも特例措置並みの内容に拡充、つまり、特例措置の恒久化を求めている。そのほか、第三者承継を後押しするための中小企業事業再編投資損失準備金税制の延長・拡充や、デューデリジェンス費用や仲介手数料の損金算入なども求めている。
経済産業省の税制改正要望では、承継計画の申請期限の延長を行うとともに、円滑な事業承継の実施のために必要な措置について検討するとされている。特例措置自体の延長や恒久化を求める声があることは承知しているものの、10年間という期限付きで導入したという経緯により特例措置自体の延長は不透明なようだ。制度の見直しがどこまで行われるか注目される。
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