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税務ニュース2021年04月02日 価額弁償金の課税価格算定で全部取消し(2021年4月5日号・№877) 審判所、価額弁償金の申告額の協議はなく財産も特定されていると認定

  • 取得財産に算入する遺留分減殺請求に基づく価額弁償金の課税価額の算定方法が争われた裁決。審判所は原処分の全部を取消し(令和2年8月11日裁決)。

 本件は、請求人が遺留分減殺請求を行った際に、現物返還の代わりに価額弁償金が支払われたとき、相続税の取得財産における課税価額の算定方法が争われた事案である。本件の概要は以下の通りだ。請求人の母(被相続人)が、一切の財産を兄に相続させる遺言をしていたため、請求人(妹)が兄に対して遺留分減殺請求に係る訴訟を提起したところ、和解が成立。請求人は一部の不動産と価額弁償金3億3,000万円を相続し、相続税の申告をした。後に、遺留分減殺請求に基づく価額弁償金について、相続税法基本通達11の2−10(2)の適用漏れがあったことを理由として更正の請求をしたところ、原処分庁が取得財産の価額に算入する金額は申告された受領金額そのものであるとして不動産誤りのみを認める更正処分をしたため、当該処分の取消しを求めたものである。
 代償財産の価額は、代償分割の対象財産を現物で取得した者が他の共同相続人又は包括受遺者に対して負担した債務の額の相続開始の時における金額によるものとされており(相続税法基本通達11の2− 10(1))、相続人の間で合意がない場合は、代償債務の額が①代償分割の対象財産が特定され、②当該財産の代償分割の時における通常の取引価額を基として決定されている場合に適用される(同通達(2))としている。
 審判所は、本件においては訴訟中から申告までの間に直接やり取りをしていたのは請求人及び兄の訴訟代理人同士であり、本件価額弁償金の申告額を具体的に協議した事実は認められず、他に申告額についての具体的な協議をした事実も認められないことからすれば、本件通達(1)には該当しないと判断。そして、本件価額弁償金の金額は、兄が各相続財産の取得することの代償として支払うものであるから、対象財産は特定されていると認定した。また、審判所は、本件価額弁償金が和解時の通常の取引価額を基に決定されたか否かについては、双方の主張が対立した後に合意された場合はその合意価額を通常の取引価額とみることに一般的な合理性があると判断し、本件もその合理性を否定すべき事情はないと指摘。本件価額弁償金の対象財産の評価額は、和解時における通常の取引価額であるとして、本件通達(2)に定める方法により相続税の取得財産における課税価額を計算すべきと判断し、原処分庁の更正処分の全部を取り消した。

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