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解説記事2023年11月06日 未公開裁決事例紹介 医療機器が特定機械装置に該当するか否かを巡る裁決(2023年11月6日号・№1002)

未公開裁決事例紹介
医療機器が特定機械装置に該当するか否かを巡る裁決
固有機能で独立して使用、機械及び装置に該当せず


〇各医療機器が中小企業投資促進税制の適用対象となる特定機械装置等に該当するか争われた裁決。国税不服審判所は、「機械及び装置」(措法10条の3①)はある業用設備に属する複数の機械及び装置が設備を形成して、その設備の一部としてその働きをなすものをいうと解するのが相当であるとした上で、本件各医療機器は、基本的にはそれ自体で固有の機能を果たし独立して使用されるものであることなどから、「機械及び装置」に該当せず、特定機械装置等にも該当しないと判断した(関裁(所)令4第32号、棄却)。

主  文

 審査請求をいずれも棄却する。

基礎事実等

(1)事案の概要
 本件は、眼科医院を営む審査請求人(以下「請求人」という。)が、その事業の用に供するため取得した各医療機器について、租税特別措置法第10条の3《中小事業者が機械等を取得した場合の特別償却又は所得税額の特別控除》第1項に規定する特定機械装置等に該当するとして、同条第3項の規定を適用して確定申告をしたところ、原処分庁が、当該各医療機器は特定機械装置等に該当せず、当該規定を適用することができないなどとして、所得税等の更正処分等を行ったのに対し、請求人が原処分の一部の取消しを求めた事案である。
(2)関係法令(略)
(3)基礎事実

 当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
イ 請求人について
 (イ)請求人は、眼科医院(以下「本件医院」という。)を営む個人事業者である。なお、請求人及び請求人が営む事業は、措置法第10条の3第1項に規定する中小事業者及び指定事業にそれぞれ該当する。
 (ロ)請求人は、平成12年7月24日、所得税の青色申告承認申請書を原処分庁に提出し、平成12年分以後の所得税について青色申告の承認を受けている。
ロ 各医療機器の取得について
 (イ)請求人は、平成31年4月16日、次の医療機器について、××××××××を貸主とする所得税法第67条の2《リース取引に係る所得の金額の計算》第3項に規定するリース取引に係る契約(以下「リース契約」という。)を締結し、同日、これらの引渡しを受け、事業の用に供した。
  A ××××波面収差解析装置(以下「本件医療機器1」という。)
  B 眼科用手術顕微鏡 ××××(以下「本件医療機器2」という。)
 (ロ)請求人は、令和元年12月24日、硝子体手術装置××××××××(以下「本件医療機器3」という。)について、××××××××を貸主とするリース契約を締結し、同日、引渡しを受け、事業の用に供した。
 (ハ)請求人は、令和元年12月24日に、××××××××から3次元眼底像撮影装置(以下「本件医療機器4」という。)を購入し、同日、引渡しを受け、事業の用に供した。
 (ニ)請求人は、令和2年1月10日、次の医療機器について、××××××××を貸主とするリース契約を締結し、同日、これらの引渡しを受け、事業の用に供した。
  A 超広角走査レーザー ××××(以下「本件医療機器5」という。)
  B ××システム出力コンソール(以下「本件医療機器6」という。)
 (ホ)本件医療機器1から本件医療機器6まで(以下、これらを併せて「本件各医療機器」という。)は、いずれも医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(以下「薬機法」という。)第2条《定義》第4項に規定する医療機器であり、これらの取得価額は、いずれも160万円以上であった。
(4)審査請求に至る経線
イ 請求人は、令和元年分及び令和2年分(以下、これらを併せて「本件各年分」という。)の所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」という。)について、各確定申告書に別表1の「確定申告」欄のとおり記載して、法定申告期限までにそれぞれ申告した(以下、請求人が提出した本件各年分の所得税等に係る各確定申告書を併せて「本件各申告書」という。)。
  なお、請求人は、本件各医療機器について、本件各申告書に措置法第10条の3の特例の適用を受ける旨を記載するとともに、「中小事業者が機械等を取得した場合の所得税額の特別控除に関する明細書」に別表2のとおり記載し、これを本件各申告書に添付して原処分庁に提出した。
ロ 原処分庁は、令和4年2月10日付で、本件各年分の所得税等について、本件各医療機器は措置法第10条の3第1項第1号に規定する「機械及び装置」に該当しないから、同項に規定する特定機械装置等に該当せず、同条第3項に規定する特別控除の適用はないなどとして、別表1の「更正処分等」欄のとおり、各更正処分(以下「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税の各賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」という。)をした。
  なお、措置法第10条の3第3項に規定する特別控除の適用に係るその他の要件が充足されていることについては、当事者間に争いはない。
ハ 請求人は、上記ロの各処分に不服があるとして、令和4年4月15日に審査請求をした。

争点および主張

 本件各医療機器は、特定機械装置等に該当するか否か。(争点に対する主張はのとおり)

【表】争点に対する主張

原処分庁 請求人
 以下のことから、本件各医療機器はいずれも特定機械装置等に該当しない。
(1)所得税法及び措置法の関連法規である耐用年数省令は、減価償却資産の耐用年数についての画一的処理を図るために定められたものであり、ある減価償却資産が「機械及び装置」又は「器具及び備品」のいずれに該当するかを判断するに当たっては、耐用年数省令別表第一及び別表第二に個別具体的に掲げられている「機械及び装置」又は「器具及び備品」のいずれに該当するかを検討するのが相当である。そして、耐用年数省令別表第二の「機械及び装置」は、ある業用設備に属する複数の機械及び装置が、設備を形成して、その設備の一部としてその働きをなすものをいうと解される。また、「機械及び装置」は、最初から最後の工程に至るまで有機的に牽連結合して活動し、資産の内容について、細目ごとの区分が必ずしも明瞭でなく、中には資産の細分が不可能に等しいこともあることからすると、本件各医療機器は、その使用目的、効果及び使用方法等に照らせば、単体で個別に作動するものと認められ、本件各医療機器を含む本件医院の各医療機器が、有機一体的に結合する眼科用の標準設備(モデルプラント)であるとは認められない。
  したがって、本件各医療機器は耐用年数省令別表第二の「機械及び装置」に該当しない。
(2)耐用年数省令別表第一の「医療機器」は、医療の用に供される減価償却資産が網羅されており、耐用年数省令別表第一の「医療機器」の意義について、薬機法上の「医療機器」と異なる解釈をすべき事情は特段認められないから、医療機器が薬機法上の医療機器と認められる場合には、耐用年数省令別表第一の「器具及び備品」の「医療機器」に区分されるものと解するのが相当である。そうすると、本件各医療機器は薬機法上の医療機器と認められることから、いずれも耐用年数省令別表第一の「器具及び備品」の「医療機器」に区分されるものと解するのが相当である。

 以下のことから、本件各医療機器はいずれも特定機械装置等に該当する。
(1)所得税の計算においては、取得した資産の構造・用途により耐用年数省令を適用してその資産の種類を判定しなければならない。そして、耐用年数省令別表第二の「機械及び装置」の業用区分に属する資産は有機一体的に結合して活動する必要があるところ、本件医院は、眼科医療の全てを行うために、あらゆる眼科用の検査、診療及び手術に関する機器を取り揃え、どのような眼疾患に対しても治療ができる体制を整えており、複数の機器を使用して検査を行い、詳細なデータを用いて方針を決定することで満足度の高い治療を実現している。このように、本件各医療機器を含む本件医院の医療機器の全ては単独で動いているのではなく、本件医院で手術を行い最後まで治療を終わらせることで患者に満足のいく見え方を提供するという目的のために全てが相互的に関連しており、有機一体的に結合している。
  したがって、本件各医療機器を含む本件医院の医療機器の結合(いわゆるモデルプラント)こそ、有機一体的に結合された医療サービス業用設備といえるから、本件各医療機器は耐用年数省令別表第二の「機械及び装置」に該当する。


(2)薬機法と所得税法又は耐用年数省令は、法律の目的、成立過程、変遷等が異なるものである。
  また、措置法第12条の2《医療用機器等の特別償却》第1項の規定で「医療用の機械及び装置並びに器具及び備品」という文言を用いており、その内容が租税特別措置法施行令第6条の4《医療用機器等の特別償却》及び個別通達「租税特別措置法第12条の3第2項及び第45条の2第3項の規定による特別償却の対象となる医療用機械等の範囲について」で述べられていることは、措置法等では、医療用機器の中に「機械及び装置」に該当するものがあるということを証明しているから、薬機法上の「医療機器」と耐用年数省令別表第一に規定する「医療機器」が同義であるとする原処分庁の主張は誤りである。
  そして、本件各医療機器はその性能においてメスやコッペン等の道具とは異なる点から、耐用年数省令別表第一の「器具及び備品」には該当せず、措置法第10条の3第1項第1号に規定する「機械及び装置」に該当する。

審判所の判断

(1)法令解釈
 措置法第10条の3第1項第1号に規定する「機械及び装置」の意義については、同法やその他関連法規において、これを明確に定義付けた規定はないところ、法的安定性の観点から、関連法規との整合性が図られるような解釈をする必要がある。なお、「機械及び装置」という用語は、所得税法、措置法やその他関連法規において、「機械」及び「装置」としてそれぞれが別個に規定されるのではなく、一組のまとまりとして規定されていることからすれば、措置法第10条の3第1項第1号にいう「機械及び装置」については、「機械及び装置」を一体のものとして扱うのが相当である。
 また、措置法第2条第1項第6号は、同法第10条の3を含む第2章における「減価償却資産」の意義について、所得税法第2条第1項第19号に規定する減価償却資産をいう旨規定していること、同号及びこれを受けた所得税法施行令第6条第3号は、「機械及び装置」を掲げていること、減価償却資産の耐用年数を定める耐用年数省令も「機械及び装置」の用語を用いて別表を掲げていることに照らせば、ある減価償却資産が措置法第10条の3第1項第1号の「機械及び装置」に該当するかを判断するに当たっては、それが、耐用年数省令別表第二において設備の種類ごとに55に区分され、その一部については更に細目が設けられ、個別具体的に掲げられた「機械及び装置」に該当するか否かを検討するのが相当である。
 そして、耐用年数省令は、別表第一で種々の事業に共通する機械及び装置以外の有形減価償却資産を特掲し、個別資産ごとに耐用年数を定めているのに対し、別表第二は機械及び装置について「設備の種類」に掲げる業用設備ごとにその業用設備全体に適用する耐用年数として、その設備全体の平均的な耐用年数を定めていることからすると、別表第一に掲げる減価償却資産は、それ自体で固有の機能を果たし独立して使用されるものをいい、別表第二に掲げる「機械及び装置」は、ある業用設備に属する複数の機械及び装置が設備を形成して、その設備の一部としてその働きをなすものをいうと解するのが相当である。
(2)認定事実
 請求人提出資料、原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
イ 本件医院について
 本件医院は、治療に特化した医院であり、手術に従事する医師は請求人のみである。また、本件医院では、あらかじめ手術ごとに行うべき検査を指示書で定め、それに従って全ての患者に同じ検査を行い、その結果を用いて請求人が治療の方針を決定する。
ロ 本件各医療機器について
 (イ)本件各医療機器の用途について
  A 本件医療機器1は、手術前及び手術中に眼の屈折力の測定と解析を行うために使用される機器であり、アベロメータ、サージカルカート、×××デジタルマーカー及びリンクシステム等で構成され、手術前及び手術中に測定及び解析したデータを本件医療機器2に反映させる。計測したデータは電子カルテでも見ることができる。
  B 本件医療機器2は、手術時に使用される顕微鏡である。
  C 本件医療機器3は、患者の白内障手術及び硝子体手術のために使用される手術用機器である。
  D 本件医療機器4は、患者の眼球及びその附属器を観察、撮影及び記録し、電子画像情報を診断のために提供する検査機器であり、撮影したデータは、電子カルテに連動する。
  E 本件医療機器5は、観察、撮影及び電子画像情報を提供するレーザ走査型眼底検査機器であり、撮影したデータは、電子カルテに連動する。
  F 本件医療機器6は、白内障手術において円形の切開窓を形成する前嚢切開術に使用される手術用機器である。
 (ロ)本件各医療機器の設置場所等について
  A 本件医療機器1のうち、サージカルカートは手術室に設置されており、可動式である。アベロメータは本件医療機器2に連結して使用されているが、手術の内容によっては外されることもある。
  ×××デジタルマーカーに係る検査器は、検査室に設置されており、テーブルの上に置かれている。
  B 本件医療機器2は、手術室に設置されており、可動式のフロアスタンドに取り付けられている。
  C 本件医療機器3は、手術室に設置されており、キャスター付きで可動式である。
  D 本件医療機器4は、検査室に設置されており、可動式の台に置かれている。
  E 本件医療機器5は、検査室に設置されており、高さが調節可能なテーブルに置かれている。
  F 本件医療機器6は、手術室に設置されており、可動式の台に置かれている。
 (ハ)本件各医療機器の操作担当者について
   本件医療機器1から本件医療機器3まで及び本件医療機器6については、手術の際に患部に直接触れる施術に係る操作は請求人が行い、その他の操作は本件医院の臨床検査技師又は視能訓練士が行う。また、本件医療機器4及び本件医療機器5については、検査の際に臨床検査技師又は視能訓練士が操作する。
 (ニ)本件各医療機器の使用について
  A 本件医院で白内障手術を行う際は、手術前の外来検査で、本件医療機器1のうち×××デジタルマーカーに係る検査器、本作医療機器4及び本件医療機器5を使用し、手術では本件医療機器1及び本件医療機器2と本件医療機器3又は超音波白内障手術装置を使用する。過熟白内障の場合は本件医療機器6も使用する。
  B 本件医院で硝子体手術を行う際は、手術前の外来検査で、本件医療機器4及び本件医療機器5を使用し、手術では本件医療機器1から本件医療機器3までを使用する。
  C 本件医院には本件医療機器4のほかに眼底像撮影装置が1台あり、患者によって使い分けている。
(3)検討
 上記(1)のとおり、本件各医療機器が特定機械装置等に該当するか否かは、本件各医療機器が耐用年数省令別表第二に掲げる「機械及び装置」に誠当するか否かにより判断すべきところ、本件各医療機器が同表の番号1から54までに該当しないことについて当事者間に争いはないから、同表の番号55「前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」に該当するか否かについて検討する。
 上記(2)ロ(イ)A及びBのとおり、本件医療機器1は、手術前及び手術中に眼の屈折力の測定と解析を行い、本件医療機器2にその結果を反映させるものであり、本件医療機器2は手術時に使用される顕微鏡であるところ、上記(2)ロ(ロ)A及びBのとおり、本件医療機器2は、可動式のフロアスタンドに取り付けられており、本件医療機器1はその一部であるアベロメータを本件医療機器2に連結して使用されるが、これを使用しない手術の時は外されることもある。そうすると、本件医療機器1は測定及び解析の機能を、本件医療機器2は手術用の顕微鏡としての機能を、いずれもそれ自体で果たすものであり、これらは一体として使用されることもあるが、その機能は独立して使用されるものであると認められる。
 また、上記(2)ロ(イ)C及びF並びに(ロ)C及びFのとおり、本件医療機器3は、白内障手術及び硝子体手術のために使用される可動式の手術用機器であり、本件医療機器6は、白内障手術において切開窓を形成する際に使用される可動式の手術用機器であるところ、これらは、いずれも手術用の機器としての機能をそれ自体で果たすものであり、患者の症状に合わせて手術時にそれぞれ独立して使用されるものであると認められる。
 さらに、上記(2)ロ(イ)D及びEのとおり、本件医療機器4及び本件医療機器5は、いずれも検査用の機器であり、患者の眼球を観察し、撮影したデータを電子カルテに連動させるものであるから、本件医療機器4及び本件医療機器5は、いずれも検査用の機器としての機能をそれ自体で果たし独立して使用されるものであると認められる。
 以上によれば、本件各医療機器は、基本的にはそれ自体で固有の機能を果たし独立して使用されるものであって、一つの設備を形成し、その設備の一部としての働きをなすものではないから、耐用年数省令別表第二の番号55「前掲の機械及び装置以外のもの並びに前掲の区分によらないもの」に該当しない。
 したがって、本件各医療機器は措置法第10条の3第1項第1号にいう「機械及び装置」に該当しないから、特定機械装置等には該当しない。
(4)請求人の主張について
イ 請求人は、上記のとおり、本件各医療機器を含む本件医院の医療機器の全ては単独で動いているのではなく、本件医院で手術を行い最後まで治療を終わらせることで患者に満足のいく見え方を提供するという目的のために全てが相互的に関連しており、有機一体的に結合している旨主張する。
  しかしながら、上記(2)ロ(ニ)からすると、患者の症状により手術のために使用する医療機器は異なることが認められることから、本件医院の医療機器の全てが相互的に関連しているとはいえない。また、上記(2)の各事実からすれば、本件医院では、本件医療機器4及び本件医療機器5を含む検査用の機器を使用して行った検査の結果を用いて、請求人が方針を決定した上で、本件医療機器2を、患者によってはこれに本件医療機器1を連結させて使用し、本件医療機器3及び本件医療機器6を含む手術用の機器を用いて手術を行っていることが認められ、本件各医療機器を含む本件医院の各医療機器は、請求人を介してのみ相互的に関連するものというべきであるから、これらが有機一体的に結合しているとはいえない。そして、本件各医療機器を含む本件医院の各医療機器は、請求人が各検査結果を用いて判断し、治療をするという過程において大きな役割を果たしているが、患者に満足のいく見え方を提供するという請求人の目的を達成できるか否かは、最終的には請求人自身の判断及び技術によるものというべきである。
  したがって、請求人の主張には理由がない。
ロ 請求人は、上記のとおり、薬機法と所得税法又は耐用年数省令は、法律の目的、成立過程、変遷等が異なるものであり、また、措置法第12条の2第1項の規定に「医療用の機械及び装置並びに器具及び備品」という文言があることなどからすると、医療用機器の中には「機械及び装置」に該当するものがあるから、薬機法上の「医療機器」と耐用年数省令別表第一に規定する「医療機器」が同義であるとする原処分庁の主張は誤りであり、本件各医療機器はその性能においてメス等の道具とは異なるから、措置法第10条の3第1項第1号に規定する「機械及び装置」に該当する旨主張する。
  この点、請求人主張のとおり、本件各医療機器が薬機法上の「医療機器」に該当するか否かは、本件における判断を左右する要素ではない。
  しかしながら、ある減価償却資産が措置法第10条の3第1項第1号及び耐用年数省令別表第二に掲げる「機械及び装置」に該当するか否かの判断基準は上記(1)のとおりであり、本件各医療機器は、その性能にかかわらず、上記(3)のとおり措置法第10条の3第1項第1号に規定する「機械及び装置」に該当しない。
  したがって、請求人の主張には理由がない。
(5)本件各更正処分の適法性について
 以上のとおり、本件各医療機器は「特定機械装置等」に該当しないから、措置法第10条の3第3項に規定する特別控除の適用はないこととなる。これに基づき請求人の本件各年分の総所得金額、所得税額の特別控除額及び納付すべき税額等を計算すると、いずれも本件各更正処分の額と同額となる。
 また、本件各更正処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。
 したがって、本件各更正処分はいずれも適法である。
(6)本件各賦課決定処分の適法性について
 上記(5)のとおり、本件各更正処分はいずれも適法であり、本件各更正処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が本件各更正処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、国税通則法第65条《過少申告加算税》第4項第1号に規定する正当な理由があるとは認められないから、同条第1項の規定に基づいてされた本件各賦課決定処分はいずれも適法である。
(7)結論
 よって、審査請求は理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり裁決する。

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