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税務ニュース2023年12月01日 機械装置の取得、納入時ではなく完成時(2023年12月4日号・№1005) 東京高裁、法的性質は売買契約ではなく請負契約と判断

  • 技術的困難性のある機械装置の取得時期が争われた事案で、東京高裁は、本件契約の法的性質は請負契約であり、機械装置の納入時ではなく、製品の量産化能力を有する機械装置が完成した時点で所有権が移転するとした地裁判決を支持し、納税者の控訴を棄却(東京高裁令和5年11月9日判決)。

 プラスチック製品の製造等を行うS社(原告・控訴人)は、一審において、当該機械装置(ミューセル成形対応の射出成型機及び制御装置)を発注したM社との契約は売買契約であり、検収が終了し代金の支払請求がされた時点で売買契約が履行されたと主張していた。これに対し東京地裁は、両社が締結した契約の法的性質は請負契約であり、発熱問題対策が終了し、ミューセル成形の方法によりパレット製品を量産できる能力を有する射出成形機及び制御装置が完成すると同時に、M社から原告に目的物の引渡しがされその所有権が移転すると解するのが相当であるとの考えを示し、S社の請求を斥けていた(本誌972号)。
 控訴人は控訴審における補充主張として、射出成形機の製造メーカーであるM社の役割は成形品の量産の可能性がある射出成形機を製造販売することのみであり、金型の形状等によって様々に変わる成形条件を調整して成形品を量産化するのは成形品メーカーである控訴人の役割であるから、当該契約は売買契約であると主張した。
 しかし、この主張に対して東京高裁は、「仮に、一般に行われる射出成形機の製造メーカーと成形品メーカーとの取引において、控訴人が主張するような売買の形態が取られることが多いという実情があったとしても、個別の取引において、当該取引当事者が有する契約の目的等の都合により売買ではなく請負の形態が取られることも妨げられないことは当然であり、当該製品の導入に係る取引に際してどのような契約が締結されたかは、事案に応じた当事者の合理的な意思解釈によって決せられるべき事柄である」と判断。本件においては、控訴人が、製造ラインを増設するという重要な経営判断の中で、それまでに経験のないミューセル成形によるパレット製造を計画し、M社との間で、同社が保有するミューセル成形に対応した試験機の性能をもとに打ち合わせを続けた結果、ミューセル仕様を前提とする射出成形機の基本的性能を確定した上、M社がミューセル成形のために必要な仕様を含めた射出成形機としての単価を計上した見積書を提出し、本件契約の締結に至ったという経緯から、本件契約は売買契約であるとは考え難いとして、S社の主張を斥けた。

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