会計ニュース2023年12月01日 VCファンドの非上場株式に時価評価も(2023年12月4日号・№1005) 上場企業保有のVCファンドの出資持分の会計処理を新規テーマに
財務会計基準機構(FASF)の企業会計基準諮問会議(会計基準の検討テーマなどを審議する機関)は11月29日、上場企業等が保有するVCファンドの出資持分に係る会計上の取扱いを企業会計基準委員会(ASBJ)の新規テーマとして提言した。
近年では、ファンド(主にVCファンド)に非上場株式を組み入れた金融商品が増加しているが、現状これらの金融商品に関して、上場企業等が保有するファンドについては、非上場株式に係る国内会計基準に沿って、取得原価に減損等を勘案して評価することとなっており、VCファンドの公正価値評価の普及を妨げる要因になっているとの指摘がある。また、政府の新しい資本主義実現会議が令和4年11月28日に取りまとめた「スタートアップ育成5か年計画」では、日本においても公正価値評価を導入し、海外投資家の呼び込みを進める旨が明記されている。このような状況を踏まえ、日本ベンチャーキャピタル協会は、①上場企業等のVCファンドへの投資(投資全体)について、時価をもって貸借対照表価額とすること、②上場企業等が投資するVCファンドの構成資産である市場価格のない株式について、時価で評価することを検討することを求めており、企業会計基準諮問会議では、企業会計基準委員会の新たなテーマとするかどうか、金融商品専門委員会にテーマ評価の依頼を行っていたものである(本誌986号参照)。
テーマ評価を行っていた金融商品専門委員会は、VCファンドに限定せず市場価格のない株式について時価評価(評価差額は純損益)するオプションを認めるアプローチについては、新規テーマとして取り上げる要件を満たしていると評価しており、これを受けた企業会計基準諮問会議は、企業会計基準委員会に対して、新規テーマとすするよう提言している。なお、基準開発に当たっては、①市場価格のない株式が市場価格のない株式以外の株式になった場合の取扱い、②オプションの適用単位、③注記のあり方、④経過措置についても検討すべきとしている。
ただし、企業会計基準諮問会議の委員からは、一定の時間枠で対応してほしいとの要望が聞かれたことから、今回はVCファンドの出資持分に係る会計上の取扱いを中心に基準開発が行われることになる。
当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-
-
団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -
Copyright (C) 2019
SHINNIPPON-HOKI PUBLISHING CO.,LTD.