税務ニュース2023年12月08日 インボイス登録とリバースチャージ申告(2023年12月11日号・№1006) 国外事業者は登録後も申告不要の反面、国内事業者は思わぬ納税リスク

  • 事業者向け電子通信利用役務の提供のみを行う国外事業者であれば、インボイス登録後も消費税申告は不要である旨、課税当局への取材により確認。
  • 一方、国内課税資産の譲渡等がない国内事業者であっても、インボイス登録後にリバースチャージの対象となる特定課税仕入れが発生すれば申告納税が必要。

 電子通信利用役務の提供の内外判定は、役務の提供を受ける側の所在地によるため、提供者が国外事業者であっても受け手が国内であれば課税対象となる(消法4③三)。このうち、事業者向け以外、つまり一般的には消費者向け電子通信利用役務の提供については提供した国外事業者が消費税の申告納税を行うが、事業者向け電子通信利用役務の提供についてはリバースチャージが適用される。
 インボイス制度開始後、消費者向け電子通信利用役務の提供の対価を支払った側での仕入税額控除の可否は、提供側の国外事業者がインボイス制度に登録しているかどうかで判定されるが、未登録国外事業者への支払いは免税事業者等からの仕入れに係る経過措置の対象外とされる(平成30年改正消令附則24)。一方、リバースチャージ対象である事業者向け電子通信利用役務の提供については、国外事業者のインボイス登録の有無は問わないと解されているが、事業者向けの提供のみを行う国外事業者であれば申告対象取引がないので、インボイス登録をしても申告書の提出は不要ではないかという意見が税理士等の中にある。そこでこの点について本誌が課税当局に取材したところ、「事業者向け電子通信利用役務の提供のみを行う国外事業者であれば、インボイス登録を受けている場合でも申告しなくてよい」ことが確認された。
 しかし、国内事業者でリバースチャージの対象となる特定課税仕入れはあるが国内における課税資産の譲渡等に該当する取引は全くない者、例えば株や暗号資産取引のみを行う法人が、インボイス登録をしてしまうと、リバースチャージ対象分の消費税について、申告納税義務が発生してしまうことも、課税当局への取材で確認されている。これは、課税資産の譲渡等がないためその法人の課税売上割合がゼロとなる場合、課税売上割合が95%以上である場合等にリバースチャージを適用除外とする経過措置が適用されないことに加え、特定課税仕入れがある場合は申告書の提出が必要とされる結果(消法45①)、リバースチャージ分の消費税について納税が発生するという仕組みとなっているので留意したい。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索