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解説記事2023年12月18日 税制改正解説 各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の創設(下)(2023年12月18日号・№1007)

税制改正解説
各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の創設(下)
 山本真太郎

一 各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の創設(承前)

Ⅵ 国際最低課税額

 「国際最低課税額」は、次の順序により算出することとされている。
〇 まず、グループ全体に係る基準税率に満たない部分とされる「グループ国際最低課税額」を算出する。これは、国地域単位で算出された金額の合計額である。
〇 次に、グループ国際最低課税額について、按分ファクター(典型的な例として個別計算所得金額)を用いて国地域の会社等ごとに配分される「会社等別国際最低課税額」を算出する。
〇 最後に、会社等に配分された会社等別国際最低課税額について、内国法人のその会社等に対する持分等を勘案して計算した「帰属割合」を用いて、その内国法人に帰属する「国際最低課税額」を算出する。
(1)グループ国際最低課税額
 グループ国際最低課税額とは、「構成会社等に係るグループ国際最低課税額」と「共同支配会社等に係るグループ国際最低課税額」とを合計した金額をいう(法法82の2①)。
① 構成会社等に係るグループ国際最低課税額
  構成会社等に係るグループ国際最低課税額とは、「構成会社等(無国籍構成会社等を除く。)に係るグループ国際最低課税額」と「無国籍構成会社等に係るグループ国際最低課税額」の合計額をいう(法法82の2②一~三)。
 イ 構成会社等(無国籍構成会社等を除く。)に係るグループ国際最低課税額
   構成会社等(無国籍構成会社等を除く。)に係るグループ国際最低課税額は、基本的に、「当期国別国際最低課税額」、「再計算国別国際最低課税額」及び「未分配所得国際最低課税額」の合計額から自国内最低課税額に係る税の額を控除した残額の合計額とされている。また、国別グループ純所得の金額がない場合には「永久差異調整に係る国別国際最低課税額」も合計することとされている。なお、特定構成会社等(被少数保有構成会社等、被少数保有親構成会社等若しくは被少数保有子構成会社等又は各種投資会社等)がある場合には、特定構成会社等と特定構成会社等以外の構成会社等とに区分し、特定構成会社等を一定のグループに区分して、構成会社等に係るグループ国際最低課税額を計算することとされている。
 (イ)当期国別国際最低課税額
   当期国別国際最低課税額とは、国別グループ純所得の金額から実質ベース所得除外額(一定の給与等の額又は一定の有形資産の帳簿価額の原則5%に相当する金額の合計額をいう。以下同じ。)を控除した残額に基準税率から国別実効税率を控除した割合を乗じて計算した金額をいうこととされている。
 (ロ)再計算国別国際最低課税額
   再計算国別国際最低課税額とは、過去対象会計年度に係る納付すべき対象租税の減少額等の一定の金額がある場合において、その過去対象会計年度に係る再計算当期国別国際最低課税額からその過去対象会計年度に係る当期国別国際最低課税額を控除した残額をいうこととされている。
 (ハ)未分配所得国際最低課税額
   未分配所得国際最低課税額とは、課税分配法における、対象各種投資会社等の利益のうち4対象会計年度以内に分配しきれなかった残額のうち対象株主等の持分に対応する金額の合計額をいうこととされている。
 (ニ)永久差異調整に係る国別国際最低課税額
   永久差異調整に係る国別国際最低課税額とは、国別調整後対象租税額が零を下回る場合のその下回る額から特定国別調整後対象租税額を控除した残額をいうこととされている。
 ロ 無国籍構成会社等に係るグループ国際最低課税額
   無国籍構成会社等に係るグループ国際最低課税額は、構成会社等ごとに計算する点、実質ベース所得除外が適用されない点及び自国内最低課税額に係る税の額を控除しない点を除き、基本的に無国籍構成会社等以外の構成会社等と同様とされている(法法82の2②四~六)。
 ハ 当期国別国際最低課税額に係る適用免除基準
   構成会社等(無国籍構成会社等及び各種投資会社等を除く。)の所在地国における国別の一定の収入金額の3対象会計年度の平均額が1,000万ユーロを本邦通貨表示の金額に換算した金額未満であり、国別の一定の利益・損失の額の3対象会計年度の平均額が100万ユーロを本邦通貨表示の金額に換算した金額未満である場合、「当期国別国際最低課税額」は零とすることとされている。
 ニ 実質ベース所得除外額の特例
   特定多国籍企業グループ等の選択により、実質ベース所得除外額を零とすることができることとされている。
 ホ 永久差異調整に係る国別国際最低課税額又は永久差異調整に係る国際最低課税額に係る特例
   特定多国籍企業グループ等の選択により、永久差異調整に係る国別国際最低課税額又は永久差異調整に係る国際最低課税額を零とし、翌対象会計年度以降の対象会計年度における実効税率の計算において調整後対象租税額から控除することができることとされている。
② 共同支配会社等に係るグループ国際最低課税額
  「共同支配会社等に係るグループ国際最低課税額」については、構成会社等と同様に、共同支配会社等(無国籍共同支配会社等を除く。)と無国籍共同支配会社等のステータスごとに、グループ国際最低課税額が設けられている(法法82の2④)。
③ 移行期間CbCRセーフ・ハーバー
 イ 構成会社等に係る移行期間CbCRセーフ・ハーバー
   令和6年4月1日から令和8年12月31日までの間に開始する対象会計年度(令和10年6月30日までに終了するものに限る。)において、(イ)から(ハ)までの要件のいずれかを満たすときは、構成会社等の所在地国におけるグループ国際最低課税額は、零とすることとされている(改正法附則14①)。
 (イ)デミニマス要件(国別報告事項又はこれに相当する事項として提供された収入金額が1,000万ユーロを本邦通貨表示の金額に換算した金額未満であり、税引前当期利益の額に一定の調整を加えた金額(以下「調整後税引前当期利益の額」という。)が100万ユーロを本邦通貨表示の金額に換算した金額未満であること。)
 (ロ)簡素な実効税率要件(連結等財務諸表に記載された一定の法人税等の額及び法人税等調整額の合計額が国別報告事項又はこれに相当する事項として提供された調整後税引前当期利益の額に占める割合が一定の割合以上であること。)
 (ハ)通常利益要件(国別報告事項又はこれに相当する事項として提供された調整後税引前当期利益の額が実質ベース所得除外額以下であること。)
 ロ 共同支配会社等に係る移行期間CbCRセーフ・ハーバー
   共同支配会社等に係る移行期間CbCRセーフ・ハーバーは、構成会社等に係る移行期間CbCRセーフ・ハーバーと基本的に同様だが、国別報告事項又はこれに相当する事項に代えて連結等財務諸表に記載された金額を用いることとされている(改正法附則14③)。
(2)会社等別国際最低課税額
 会社等別国際最低課税額とは、グループ国際最低課税額のうち、構成会社等又は共同支配会社等の個別計算所得金額等に応じてその構成会社等又はその共同支配会社等に帰属する金額をいうこととされている(法法82の2①、法令155の36)。
(3)国際最低課税額
① 国際最低課税額
  国際最低課税額とは、構成会社等又は共同支配会社等の会社等別国際最低課税額に帰属割合を乗じて計算した金額(その計算した金額のうち他の構成会社等(その構成会社等又はその共同支配会社等に係る国際最低課税額及び外国におけるこれに相当するものを有するものに限る。下記③において同じ。)に帰せられる部分の金額がある場合には、その金額を控除した残額)を合計した金額をいうこととされている(法法82の2①)。
② 帰属割合
  帰属割合とは、原則として、会社等別国際最低課税額が生じている構成会社等又は共同支配会社等の個別計算所得金額のうち内国法人(構成会社等である最終親会社等、一定の中間親会社等又は一定の被部分保有親会社等に限る。下記③において同じ。)が直接又は間接に有するその構成会社等又は共同支配会社等に対する持分に帰せられる金額がその個別計算所得金額に占める割合をいうこととされている(法令155の37②④⑧⑩、法規38の30①~③⑦⑩)。
③ 内国法人に帰せられる会社等別国際最低課税額のうち他の構成会社等に帰せられる部分の金額の控除
  内国法人に帰せられる構成会社等又は共同支配会社等の会社等別国際最低課税額から控除される他の構成会社等に帰せられる部分の金額は、原則として、その会社等別国際最低課税額に、その構成会社等又は共同支配会社等の個別計算所得金額のうちその内国法人が当該他の構成会社等を通じて間接に有するその構成会社等又は共同支配会社等に対する持分に帰せられる金額がその個別計算所得金額に占める割合を乗じて計算することとされている(法令155の37③⑤⑥⑨⑪、法規38の30④~⑥⑧⑨⑩)。

Ⅶ 課税標準

 内国法人に対して課する各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の課税標準は、各対象会計年度の課税標準国際最低課税額とされている(法法82の4①)。この各対象会計年度の課税標準国際最低課税額は、各対象会計年度の国際最低課税額である(法法82の4②)。

Ⅷ 税額の計算

 内国法人に対して課する各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の額は、各対象会計年度の課税標準国際最低課税額に90.7%の税率を乗じて計算した金額である(法法82の5)。
 我が国における所得合算ルールの導入にあたっては、法人税による課税と地方法人税による課税とをあわせて実効税率が基準税率に達するまでの課税を確保する仕組みが採用されている。そのため、現行の税率を基に法人税の税率と地方法人税の税率とが907:93の比率となるよう、それぞれの税率が定められている。
 なお、所得合算ルールは、我が国以外の国又は地域に所在する会社等が獲得する所得を基に課税する仕組みであり、課税対象と地方公共団体の行政サービスとの応益性が観念できないため、地方税である法人住民税・法人事業税による課税は行われない。

Ⅸ 申告及び納付等

1 国際最低課税額に係る確定申告
(1)概要

 特定多国籍企業グループ等に属する内国法人は、各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月以内に、税務署長に対し、次の事項を記載した申告書を提出しなければならないこととされている。ただし、①の金額がない場合は、その申告書を提出することを要しない(法法82の6①、法規38の45)。
① その対象会計年度の課税標準である課税標準国際最低課税額
② ①の課税標準国際最低課税額につき上記に基づいて計算した法人税の額
③ ①及び②に掲げる金額の計算の基礎
④ 特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等である内国法人の名称、納税地及び法人番号並びにその納税地と本店又は主たる事務所の所在地とが異なる場合には、その本店又は主たる事務所の所在地
⑤ 代表者の氏名
⑥ その対象会計年度の開始及び終了の日
⑦ その他参考となるべき事項
(2)提出期限に係る特例
 特定多国籍企業グループ等に属する内国法人が、その対象会計年度について(1)による申告書を最初に提出すべき場合(その対象会計年度開始の日前に開始した対象会計年度において内国法人又はその特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等であった他の内国法人が特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供期限に係る特例(法法150の3⑥)の適用を受けていなかった場合に限る。)には、その対象会計年度終了の日の翌日から1年6月以内に(1)の確定申告書を提出しなければならないこととされている(法法82の6②)。
 すなわち、特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供を最初に行う対象会計年度に係る確定申告書に係る提出期限について、特定多国籍企業グループ等報告事項等に係る提出期限の特例と同様、申告事務負担を考慮した特例が措置されている。
(3)添付書類
 (1)の申告書には、次に掲げるもの(次に掲げるものが電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。(3)において同じ。)で作成され、又は次に掲げるものの作成に代えてその次に掲げるものに記載すべき情報を記録した電磁的記録の作成がされている場合には、これらの電磁的記録に記録された情報の内容を記載した書類)を添付しなければならないこととされている(法法82の6③、法規38の46)。
① その対象会計年度の内国法人の属する特定多国籍企業グループ等の最終親会社等に係る連結等財務諸表
② その対象会計年度の①の特定多国籍企業グループ等に係る共同支配親会社等の連結等財務諸表
③ その対象会計年度前の対象会計年度に係る①又は②の連結等財務諸表に表示すべき事項の修正の内容
④ ①及び②に掲げるものに係る勘定科目内訳明細書
⑤ その他参考となるべき事項を記載した書類

2 電子情報処理組織による申告
(1)制度の概要

 特定法人である内国法人は、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の申告については、国際最低課税額確定申告書又はその申告書に係る修正申告書及び添付書類に記載すべきものとされ、又は記載されている事項を、電子情報処理組織を使用する方法により提供することにより、行わなければならないこととされている(法法82の7)。
(注)「国際最低課税額確定申告書」とは、国際最低課税額に係る確定申告書(法法82の6①)をいい、その申告書に係る期限後申告書を含む(法法2三十一の二)。
(2)対象法人
 特定法人である内国法人が、電子申告の義務化の対象とされている(法法82の7①)。特定法人とは、次の法人をいうこととされている(法法82の7②)。
① 当該対象会計年度開始の時における資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人
② 相互会社
③ 投資法人
④ 特定目的会社
(注)人格のない社団等及び法人課税信託に係る受託法人は、特定法人に該当しないこととされている(法法3、法令14の6⑥)。
(3)対象書類
 次の書類が電子情報処理組織を使用する方法による提供の義務化の対象とされている(法法82の7①)。
① 国際最低課税額確定申告書
② ①の申告書に係る修正申告書
③ 法人税法又は国税通則法第18条第3項若しくは第19条第4項の規定により①及び②の申告書に添付すべきものとされている書類
(4)電子情報処理組織を使用する方法
 電子情報処理組織を使用する方法は、具体的には、次の事項の区分に応じそれぞれ次の方法とされている。
① 上記(3)①及び②の申告書(以下「納税申告書」という。)に記載すべきものとされている事項(以下「申告書記載事項」という。)……電子情報処理組織を使用して、申告書記載事項を入力して送信する方法により提供することとされている(法規38の47②一)。
 (注1)電子情報処理組織とは、国税庁の使用に係る電子計算機とその申告をする内国法人の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう(法法82の7①)。具体的には、e-Taxによる電子申告を行うこととなる。電子計算機には入出力装置を含むこととされており、CPUを搭載しない端末についても対象となる。「内国法人の使用に係る電子計算機」とされている点について、民法の代理関係規定に基づき代理人も当然に含まれることと解されるので、税理士等による電子申告も可能。
 (注2)電子情報処理組織を使用して行う申告書記載事項の提供については、国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令第5条第1項の定めるところによることとされている(法規38の47③)。具体的には、e-Taxソフト又はこれと同様の機能を有するプログラムを用いて、国税庁の使用に係る電子計算機と電気通信回線を通じて通信できる機能を備えた電子計算機から、申告書記載事項並びに識別符号及び暗証符号を入力して、電子署名を行い、電子証明書と併せて送信することにより、行わなければならないこととされている。下記②イ又はロにより電子情報処理組織を使用して行う添付書類記載事項の提供についても同様。
② 上記(3)③の書類に記載すべきものとされ、又は記載されている事項(以下「添付書類記載事項」という。)……イ又はロに掲げる方法のいずれかにより提供することとされている(法規38の47②二)。また、ハに掲げる方法により行うこともできることとされている(法法82の7①ただし書、法規38の47④)。
 イ 電子情報処理組織を使用して、添付書類記載事項を入力して送信する方法
 ロ 添付書類記載事項が記載された書類をスキャナにより読み取る方法その他これに類する方法により作成した電磁的記録を、電子情報処理組織を使用して送信する方法(イに掲げる方法につき国税庁の使用に係る電子計算機において用いることができない場合に限る。)
 (注1)電磁的記録とは、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律第3条第7号に規定する電磁的記録をいい、具体的には、電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。
 (注2)電磁的記録は、添付書類記載事項が記載された書類をスキャナにより読み取る方法その他これに類する方法により、次の要件を満たすように読み取り、又は作成したものに限ることとされている。
  (イ)解像度が25.4mm当たり200ドット以上であること。
  (ロ)赤色、緑色及び青色の階調がそれぞれ256階調以上であること。
 ハ 添付書類記載事項の電磁的記録を記録した光ディスク又は磁気ディスクを提出する方法
 (注)電磁的記録をスキャナにより読み取る方法その他これに類する方法により作成した場合には、その電磁的記録は、上記ロ(注2)(イ)及び(ロ)の要件を満たすように読み取り、又は作成したものに限ることとされている。
(5)事前届出
 電子情報処理組織を使用して申告書記載事項又は添付書類記載事項を提供しようとする場合における届出その他の手続については、国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令第4条第1項から第3項まで、第6項及び第7項の規定の例によることとされている(法規38の47①)。
(6)ファイル形式
 申告書記載事項又は添付書類記載事項を上記(4)①又は②の方法により送信し、又は提出する場合におけるその送信又は提出に関するファイル形式については、国税庁長官が定めることとされている(法規38の47⑤)。
(7)電子申告の効果
 上記(4)の方法により行われた各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の申告については、申告書記載事項が記載された納税申告書により、又はこれに添付書類記載事項が記載された添付書類を添付して行われたものとみなして、次の法令の規定を適用することとされている(法法82の7③、法令156)。
① 法人税法(これに基づく命令、すなわち法人税法施行令及び法人税法施行規則を含む。)
② 国税通則法(第124条を除く。)
③ 地方法人税法
④ その他各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の申告に関する法令
(8)到達時期
 上記(4)①又は②イ若しくはロの方法により行われた各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の申告は、国税庁の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に税務署長に到達したものとみなすこととされている(法法82の7④)。
(9)本人確認等
 内国法人が上記(4)①又は②イ若しくはロの方法により電子情報処理組織を使用して申告書記載事項又は添付書類記載事項を提供する場合には、その内国法人は、国税通則法第124条の規定による名称及び法人番号の記載に代えて、国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令第6条第1項(第4号に係る部分を除く。)の規定の例により、その名称を明らかにしなければならないこととされている(法法82の7⑤、法規38の47⑥)。具体的には、電子署名を行い、その電子署名に係る電子証明書を併せて送信すること又は識別符号及び暗証番号を入力して申告を行うこととされている。
(10)その他
 上記のほか、電子情報処理組織の使用に係る手続に関し必要な事項及び手続の細目については、別に定めるところによることとされている(法規38の47⑦)。国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令第13条と同様。

3 電子情報処理組織による申告が困難である場合の特例
(1)特例の内容

 特定法人である内国法人が、電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であると認められる場合で、かつ、書面による納税申告書の提出をすることができると認められる場合において、書面により納税申告書を提出することについて納税地の所轄税務署長の承認を受けたときは、その税務署長が指定する期間内に行う各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の申告については、書面により行うことができることとされている(法法82の8①)。
(2)特例を受けるための手続等
 上記(1)の承認を受けようとする内国法人は、上記(1)の適用を受けることが必要となった事情、上記(1)の税務署長の指定を受けようとする期間及び次の事項を記載した申請書を、その指定を受けようとする期間の開始の日の15日前までに、納税地の所轄税務署長に提出しなければならないこととされている(法法82の8②、法規38の48①)。
① 申請をする内国法人の名称、納税地及び法人番号
② 代表者の氏名
③ 電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難である事情が生じた日
④ その他参考となるべき事項
 また、上記の申請書には、電気通信回線の故障、災害その他の理由により電子情報処理組織を使用することが困難であることを明らかにする書類を添付することとされている(法法82の8②、法規38の48②)。
 なお、災害等の理由が生じた日が国際最低課税額に係る確定申告書の提出期限の15日前の日以後である場合において、その提出期限がその指定を受けようとする期間内の日であるときは、上記の申請書の提出期限は、その指定を受けようとする期間の開始の日とされている。
 税務署長は、上記の申請書の提出があった場合において、その申請に係る上記(1)の適用を受けることが必要となった事情が相当でないと認めるときは、その申請を却下することができることとされている(法法82の8③)。
 税務署長は、上記の申請書の提出があった場合において、その申請につき承認又は却下の処分をするときは、その申請をした内国法人に対し、書面によりその旨を通知することとされている(法法82の8④)。
 上記の申請書の提出があった場合において、その申請書に記載した上記(1)の税務署長の指定を受けようとする期間の開始の日までに承認又は却下の処分がなかったときは、その日においてその承認があったものと、その記載された期間を上記(1)の期間として上記(1)の税務署長の指定があったものと、それぞれみなすこととされている(法法82の8⑤)。すなわち、みなし承認の制度が設けられている。
(3)承認の取消し
 税務署長は、上記(1)の適用を受けている内国法人につき、電子情報処理組織を使用することが困難でなくなったと認める場合には、上記(1)の承認を取り消すことができることとされている。この場合において、その取消しの処分があったときは、その処分のあった日の翌日以後の期間につき、その処分の効果が生ずるものとされている(法法82の8⑥)。
 税務署長は、上記の取消しの処分をするときは、その処分に係る内国法人に対し、書面によりその旨を通知することとされている(法法82の8⑦)。
(4)取りやめ
 上記(1)の適用を受けている内国法人は、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の申告につき上記(1)の適用を受けることをやめようとするときは、その旨及び次の事項を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならないこととされている。この場合において、その届出書の提出があったときは、その提出があった日の翌日以後の期間については、上記(1)の承認の処分は、その効力を失うものとされている(法法82の8⑧、法規38の48③)。
① 届出をする内国法人の名称、納税地及び法人番号
② 代表者の氏名
③ 上記(1)の承認を受けた日又はその承認があったものとみなされた日
④ 上記(1)の適用をやめようとする理由
⑤ その他参考となるべき事項

4 国際最低課税額に係る確定申告による納付
 国際最低課税額に係る確定申告書を提出した内国法人は、その申告書に記載した上記1(1)②の金額があるときは、当該申告書の提出期限までに、当該金額に相当する法人税を国に納付しなければならないこととされている(法法82の9)。

5 前対象会計年度の法人税額等の更正等に伴う更正の請求の特例
 国税通則法第23条による更正の請求は、法定申告期限から5年以内に限り行うことができることとされているが、決定を受けた事業年度等に係る税額等については、原則、更正の請求をすることができないこととされている。
 そこで、この国税通則法の特例として、国際最低課税額確定申告書に記載すべき課税標準国際最低課税額若しくはその課税標準国際最低課税額につき法令の規定を適用して計算した法人税の額又は地方法人税法第24条の4第1項(特定基準法人税額に係る確定申告)の規定による申告書(その申告書に係る期限後申告書を含む。)に記載すべき課税標準特定法人税額若しくはその課税標準特定法人税額につき法令の規定を適用して計算した地方法人税の額につき、修正申告書を提出し、又は更正若しくは決定を受け、その修正申告書の提出又は更正若しくは決定に伴い、その修正申告書又は更正若しくは決定に係る対象会計年度後の各対象会計年度で決定を受けた対象会計年度に係る課税標準国際最低課税額につき法令の規定を適用して計算した法人税の額(その金額につき修正申告書の提出又は更正があった場合には、その申告又は更正後の金額。5において「申告書記載税額」という。)が過大となる場合には、その修正申告書を提出した日又はその更正若しくは決定の通知を受けた日の翌日から2月以内に限り、税務署長に対し、その申告書記載税額につき更正の請求をすることができることとされている。
 この場合においては、更正請求書には、国税通則法第23条第3項に規定する事項のほか、その修正申告書を提出した日又はその更正若しくは決定の通知を受けた日を記載しなければならない(法法82の10)。

Ⅹ 更正

1 更正の理由付記
 各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の課税標準の更正をする場合には、その更正に係る更正通知書にその更正の理由を付記しなければならないこととされた(法法130②)。
 各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税は国際的協調のもと導入されるものであること及び各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の計算の基礎となるのは基本的には納税義務者ではない他の会社等(構成会社等又は共同支配会社等)の帳簿書類に記載される事項であることから、その更正に当たっては慎重な手続が必要であると考えられるため、上記の改正が行われたものである。
(注)各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の納税義務者は、特定多国籍企業グループ等に属する内国法人であることから、その要件からすれば、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の納税義務者は、各事業年度の所得に対する法人税における青色申告法人に求められる程度の帳簿書類は備えていると考えられる。
  また、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の納税義務者は、特定多国籍企業グループ等に属する内国法人とされているが、その課税標準は基本的にその特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等又は共同支配会社等のうち実効税率が基準税率に満たない国等に所在するもののその満たない部分に相当する金額であることから、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の課税標準の計算に際し、基本的には納税義務者ではない他の会社等(構成会社等又は共同支配会社等)の帳簿書類に記載される事項を用いることとなり、納税義務者の帳簿書類に記載される事項を用いることは相対的に少ないと考えられる。
  このように、青色申告制度の前提となる帳簿書類は備えているものの、その帳簿書類に記載される事項を用いて課税標準の計算を行うことは相対的に少ないと考えられることから、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税は、納税義務者自身の帳簿書類の保存を前提としてそれに基づき調査を行うこととする青色申告制度になじまないと考えられるため、青色申告制度をそのまま適用することはせず、青色申告制度に基づく各措置のうち必要なものを適用することとされた。

2 推計による更正
 各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の課税標準は、推計による更正の対象外とされた(法法131)。
 推計課税は、帳簿書類が全く保存されていないような場合等が想定されているが、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の課税標準の計算は、基本的には納税義務者ではない他の会社等(構成会社等又は共同支配会社等)の帳簿書類に記載される事項を用いることとなり、納税義務者の帳簿書類に記載される事項を用いることは相対的に少ないと考えられることから、上記の改正が行われたものである。

3 帳簿書類に基づく更正
 各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税については、調査に際しその備え付けられた帳簿書類を検査するものとする措置の対象外とされた(法法150の2②)。
(注)上記のほか、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税は、青色申告制度が設けられていないことから、その法人の帳簿書類を調査し、その調査によりその課税標準又は欠損金額の計算に誤りがあると認められる場合に限り課税標準又は欠損金額を更正することができることとする措置(法法130①)の対象外とされている。
 各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の課税標準の計算は基本的には納税義務者ではない他の会社等(構成会社等又は共同支配会社等)の帳簿書類に記載される事項を用いることとなり、納税義務者の帳簿書類に記載される事項を用いることは相対的に少ないと考えられることから、上記の改正が行われたものである。

4 その他
 各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税は、同族会社等の行為又は計算の否認(法法132)及び組織再編成に係る行為又は計算の否認(法法132の2)の対象となる。

Ⅺ 適用関係

 上記の改正は、内国法人の令和6年4月1日以後に開始する対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税について適用することとされている(改正法附則11)。

二 特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供制度の創設

1 特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供
 今般の改正において、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税が創設されたことを踏まえ、その租税債務の正確性を評価するために必要な情報を税務当局に提供することを目的として、特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供制度が創設された。
(参考)本制度は、モデルルール及びその解釈を示したコメンタリーの内容を踏まえ、制度化されている。
(注)本制度における「特定多国籍企業グループ等」などの用語の意義は、上記「各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の創設」における用語の意義と同じ。
 具体的には、特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等である内国法人(その所在地国が我が国でないものを除く。以下同じ。)は、その特定多国籍企業グループ等の各対象会計年度に係る特定多国籍企業グループ等報告事項等を、その各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月以内に、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により、その内国法人の納税地の所轄税務署長に提供しなければならないこととされた(法法150の3①)。また、特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供は、英語により行うこととされている(法規68④)。
(注)国際最低課税額確定申告書の提出を要しないこととされる対象会計年度であっても、特定多国籍企業グループ等報告事項等は提供しなければならない点に留意する必要がある。
 ここで、「特定多国籍企業グループ等報告事項等」とは、次に掲げる事項をいうこととされている(法法150の3①一~三、改正法附則16②、法令212①②、法規68⑤⑥)。
(1)特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等の名称、その構成会社等の所在地国ごとの国別実効税率、その特定多国籍企業グループ等のグループ国際最低課税額その他一定の事項
(2)各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税において次の規定の適用を受けようとする旨
 ① 法人税法第82条の2第6項、第8項又は第9項(国際最低課税額)(これらの規定を同条第10項において準用する場合を含む。)の規定
 ② 法人税法第82条の3第1項(除外会社等に関する特例)の規定
 ③ 所得税法等の一部を改正する法律(令和5年法律第3号)附則第14条第1項又は第3項(国際最低課税額の計算に関する経過措置)の規定
 ④ 法人税法施行令第155条の17第1項(各種投資会社等に係る当期純損益金額の特例)(同条第7項において準用する場合を含む。下記(3)②において同じ。)の規定
 ⑤ 法人税法施行令第155条の20第1項(連結等納税規定の適用がある場合の個別計算所得等の金額の計算の特例)(同条第6項において準用する場合を含む。下記(3)③において同じ。)の規定
 ⑥ 法人税法施行令第155条の23第1項(株式報酬費用額に係る個別計算所得等の金額の計算の特例)(同条第7項において準用する場合を含む。下記(3)④において同じ。)の規定
 ⑦ 法人税法施行令第155条の24第1項(資産等の時価評価損益に係る個別計算所得等の金額の計算の特例)(同条第7項において準用する場合を含む。下記(3)⑤において同じ。)の規定
 ⑧ 法人税法施行令第155条の26第1項(一定のヘッジ処理に係る個別計算所得等の金額の計算の特例)(同条第5項において準用する場合を含む。下記(3)⑥において同じ。)の規定
 ⑨ 法人税法施行令第155条の27第1項(一定の利益の配当に係る個別計算所得等の金額の計算の特例)(同条第5項において準用する場合を含む。下記(3)⑦において同じ。)の規定
 ⑩ 法人税法施行令第155条の28第1項(債務免除等を受けた場合の個別計算所得等の金額の計算の特例)(同条第2項において準用する場合を含む。)の規定
 ⑪ 法人税法施行令第155条の29第1項(資産等の時価評価課税が行われた場合の個別計算所得等の金額の計算の特例)(同条第2項において準用する場合を含む。)の規定
 ⑫ 法人税法施行令第155条の31第1項(各種投資会社等に係る個別計算所得等の金額の計算の特例)(同条第6項において準用する場合を含む。下記(3)⑧において同じ。)の規定
 ⑬ 法人税法施行令第155条の35第4項(調整後対象租税額の計算)の規定
 ⑭ 法人税法施行令第155条の41第1項(不動産の譲渡に係る再計算国別国際最低課税額の特例)の規定
 ⑮ 法人税法施行令第155条の44第4項(無国籍構成会社等に係る再計算国際最低課税額)の規定
 ⑯ 法人税法施行令第155条の48第2項(共同支配会社等に係る再計算国別国際最低課税額)の規定
 ⑰ 法人税法施行令第155条の51第2項(無国籍共同支配会社等に係る再計算国際最低課税額)の規定
 ⑱ 法人税法施行規則第38条の28第4項(調整後対象租税額の計算)の規定
 ⑲ 法人税法施行規則第38条の40第1項(みなし繰延税金資産相当額がある場合における国別調整後対象租税額等の計算の特例)(同条第5項において準用する場合を含む。下記(3)⑨において同じ。)の規定
 ⑳ 法人税法施行規則第38条の41第1項(適格分配時課税制度を有する所在地国に係る国別調整後対象租税額等の計算の特例)(同条第8項において準用する場合を含む。)の規定
(3)各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税において次の規定の適用を受けることをやめようとする旨
 ① 法人税法第82条の3第1項の規定
 ② 法人税法施行令第155条の17第1項の規定
 ③ 法人税法施行令第155条の20第1項の規定
 ④ 法人税法施行令第155条の23第1項の規定
 ⑤ 法人税法施行令第155条の24第1項の規定
 ⑥ 法人税法施行令第155条の26第1項の規定
 ⑦ 法人税法施行令第155条の27第1項の規定
 ⑧ 法人税法施行令第155条の31第1項の規定
 ⑨ 法人税法施行規則第38条の40第1項の規定

2 特定多国籍企業グループ等報告事項等を提供すべき内国法人が複数ある場合の特例
 特定多国籍企業グループ等報告事項等を提供しなければならないこととされる内国法人が複数ある場合において、その特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供対象となる各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月以内に電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により、その内国法人のうちいずれか一の法人がこれらの法人を代表して特定多国籍企業グループ等報告事項等を提供する法人の名称その他の事項をその一の法人の納税地の所轄税務署長に提供したときは、その特定多国籍企業グループ等報告事項等を代表して提供するものとされた法人以外の法人は、その特定多国籍企業グループ等報告事項等を提供することを要しないこととされた(法法150の3②)。
 すなわち、本特例の適用を受けることで、一の特定多国籍企業グループに係る特定多国籍企業グループ等報告事項等については、その提供義務のある内国法人のうちいずれか一の法人のみが提供すれば足りることになる。
(注)「代表して特定多国籍企業グループ等報告事項等を提供する法人の名称その他の事項」とは、特定多国籍企業グループ等報告事項等を代表して提供する法人及び本特例の適用があるとしたならば特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供を要しないこととされる法人の名称、納税地及び法人番号並びに代表者の氏名(法人番号を有しない法人にあっては、名称及び納税地並びに代表者の氏名)をいう(法規68⑦)。

3 特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供義務の免除
 上記1により特定多国籍企業グループ等報告事項等を提供しなければならないこととされる内国法人であっても、特定多国籍企業グループ等の最終親会社等(指定提供会社等を指定した場合には、指定提供会社等。(1)及び(2)並びに4において同じ。)の所在地国の税務当局がその特定多国籍企業グループ等の各対象会計年度に係る特定多国籍企業グループ等報告事項等に相当する情報の提供を我が国に対して行うことができると認められる場合に該当するときは、その特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供を要しないこととされた(法法150の3③)。
(注)「指定提供会社等」とは、特定多国籍企業グループ等の最終親会社等以外のいずれか一の構成会社等で、その特定多国籍企業グループ等の特定多国籍企業グループ等報告事項等に相当する事項をその構成会社等の所在地国の租税に関する法令を執行する当局に提供するものとしてその最終親会社等が指定したものをいう。
 ここで、「最終親会社等の所在地国の税務当局がその特定多国籍企業グループ等の各対象会計年度に係る特定多国籍企業グループ等報告事項等に相当する情報の提供を我が国に対して行うことができると認められる場合」とは、次の(1)及び(2)に掲げる場合のいずれにも該当する場合とされている(法令212③)。
(1)対象となる各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月以内に、特定多国籍企業グループ等の最終親会社等の所在地国の税務当局にその各対象会計年度に係る特定多国籍企業グループ等報告事項等に相当する事項の提供がある場合
(2)財務大臣と特定多国籍企業グループ等の最終親会社等の所在地国の権限ある当局との間の適格当局間合意がある場合
 (注)「適格当局間合意」とは、特定多国籍企業グループ等報告事項等又はこれに相当する情報を相互に提供するための財務大臣と我が国以外の国又は地域の権限ある当局との間の特定多国籍企業グループ等報告事項等又はこれに相当する情報の提供時期、提供方法その他の細目に関する合意で、対象となる各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月を経過する日において現に効力を有するものをいう。
 なお、特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供期限が下記6の特例によって延長される対象会計年度にあっては、(1)の「1年3月以内」及び(2)(注)の「1年3月を経過する日」についても、それぞれ「1年6月以内」及び「1年6月を経過する日」まで延長することとされている(法令212④)。

4 最終親会社等届出事項の提供
 我が国以外の国又は地域において特定多国籍企業グループ等報告事項等に相当する事項を提供する最終親会社等を適切に把握する観点から、上記3により特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供を要しないこととされる内国法人は、特定多国籍企業グループ等のその提供を要しないこととされる各対象会計年度に係る最終親会社等届出事項を、その各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月以内に、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により、その内国法人の納税地の所轄税務署長に提供しなければならないこととされた(法法150の3④)。
(注)「最終親会社等届出事項」とは、特定多国籍企業グループ等の最終親会社等の名称、所在地国、本店若しくは主たる事務所の所在地又はその事業が管理され、かつ、支配されている場所の所在地((注)において「本店等の所在地」という。)及び法人番号並びに代表者の氏名(法人番号を有しない最終親会社等にあっては、名称、所在地国及び本店等の所在地並びに代表者の氏名)をいう(法規68⑧)。

5 最終親会社等届出事項を提供すべき内国法人が複数ある場合の特例
 上記4のとおり、特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供を要しないこととされる内国法人は最終親会社等届出事項を提供しなければならないこととされているが、最終親会社等届出事項を提供しなければならないこととされる内国法人が複数ある場合において、その最終親会社等届出事項の提供対象となる各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月以内に、電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により、その内国法人のうちいずれか一の法人がこれらの法人を代表して最終親会社等届出事項を提供する法人の名称その他の事項をその一の法人の納税地の所轄税務署長に提供したときは、その最終親会社等届出事項を代表して提供するものとされた法人以外の法人は、その最終親会社等届出事項を提供することを要しないこととされた(法法150の3⑤)。
 すなわち、本特例の適用を受けることで、一の特定多国籍企業グループ等に係る最終親会社等届出事項については、その提供義務のある内国法人のうちいずれか一の法人のみが提供すれば足りることになる。
(注)「代表して最終親会社等届出事項を提供する法人の名称その他の事項」とは、最終親会社等届出事項を代表して提供する法人及び本特例の適用があるとしたならば最終親会社等届出事項の提供を要しないこととされる法人の名称、納税地及び法人番号並びに代表者の氏名(法人番号を有しない法人にあっては、名称及び納税地並びに代表者の氏名)をいう(法規68⑨)。

6 特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供期限の特例
 上記124及び5のとおり、特定多国籍企業グループ等報告事項等及び最終親会社等届出事項並びにこれらを提供すべき内国法人が複数ある場合の特例の適用を受ける際に提供しなければならないこととされる事項(6において「報告事項等」という。)の提供期限は各対象会計年度終了の日の翌日から1年3月以内とされているが、特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等である内国法人が最初に特定多国籍企業グループ等報告事項等又は最終親会社等届出事項を提供しなければならないこととされる場合(その対象会計年度前のいずれかの対象会計年度においてその特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等であった他の内国法人が特定多国籍企業グループ等報告事項等又は最終親会社等届出事項を提供しなければならないこととされていた場合を除く。)には、報告事項等を提供するために必要となる情報の準備に要する時間等を踏まえ、報告事項等の提供期限を各対象会計年度終了の日の翌日から1年6月以内に延長することとされている(法法150の3⑥)。

7 適用関係
 上記の改正は、令和6年4月1日以後に開始する対象会計年度に係る特定多国籍企業グループ等報告事項等について適用することとされている(改正法附則16①)。

三 罰則

1 各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の創設に伴う罰則の整備
 今般の改正において、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税が創設されたが、この「各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税」は、特定多国籍企業グループ等に属する内国法人に対して新たな法人税の納税義務を課すものであるため、法人税法におけるこれまでの罰則を踏まえ、次の罰則が定められた。
(1)偽りその他不正の行為により、上記一Ⅸ1(1)②の法人税の額につき法人税を免れた場合には、法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとされている(法法159①)。なお、ほ脱額が1,000万円を超える場合には、情状によりほ脱額以下とすることができることとされている(法法159②)。
(2)国際最低課税額に係る確定申告書をその提出期限までに提出しないことにより、上記一Ⅸ1(1)②の法人税の額につき法人税を免れた場合には、法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとされている(法法159③)。なお、ほ脱額が500万円を超える場合には、情状によりほ脱額以下とすることができることとされている(法法159④)。
(3)正当な理由がなくて国際最低課税額に係る確定申告書をその提出期限までに提出しなかった場合には、法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することとされている。ただし、情状により、その刑を免除することができることとされている(法法160)。
(注)法人の代表者等が、その法人の業務に関してこれらの違反行為をしたときは、両罰規定の対象とされる(法法163)。

2 特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供制度の創設に伴う罰則の整備
 今般の改正において創設された特定多国籍企業グループ等報告事項等の提供制度の実効性を担保するため、次の罰則が定められた。
(1)正当な理由がなくて特定多国籍企業グループ等報告事項等をその提供の期限までに提供しなかった場合には、法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することとされている。ただし、情状により、その刑を免除することができることとされている(法法160)。
(2)電子情報処理組織を使用する方法(e-Tax)により偽りの事項を税務署長に提供した場合の法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することとされている(法法162)。
(注)法人の代表者等が、その法人の業務に関してこれらの違反行為をしたときは、両罰規定の対象とされる(法法163)。

四 各事業年度の所得に対する法人税の額の計算における各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税等の納付額及び還付額の取扱い

 各事業年度の所得に対する法人税の額を計算する場合には、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税及び特定基準法人税額に対する地方法人税の納付額は、損金の額に算入しないこととされ(法法38①)、その還付額は、益金の額に算入しないこととされている(法法26①)。
 これに関連して、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税及び特定基準法人税額に対する地方法人税の納付額は、債務確定の日の属する事業年度において利益積立金額から減算することとされ(法令9一)、その還付額は、還付を受けることが確定した日の属する事業年度において利益積立金額に加算することとされた(法令9一ホ)。
(注)納税義務が成立した日の属する事業年度における利益積立金額からの減算項目である「法人税及び地方法人税として納付することとなる金額」(法令9一カ)における「法人税」及び「地方法人税」を各事業年度の所得に対する法人税及び基準法人税額に対する地方法人税(退職年金等積立金に対する法人税に係る地方法人税を除く。)に限定する改正が行われたことにより、納付額については、「留保していない金額」(法令9一)として、債務確定の日の属する事業年度において利益積立金額から減算することとなる。
 また、合併について法人税法第62条及び第62条の2の規定を適用する場合には、被合併法人の各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税及び特定基準法人税額に対する地方法人税として納付する金額でその申告書の提出期限がその合併の日以後であるものは、その被合併法人がその合併により合併法人に移転をする負債に含まないこととされた(法令123②)。

第二 地方法人税法関係(特定基準法人税額に対する地方法人税の創設)

 法人税法における「各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税」の創設に伴い、地方法人税法においても新たな地方法人税として、「特定基準法人税額に対する地方法人税」が創設された。
 これは、我が国における所得合算ルールの導入にあたっては、法人税による課税と地方法人税による課税をあわせて実効税率が基準税率に達するまでの課税を確保する仕組みが採用されたためである。

1 納税義務、課税の対象
 法人税を納める義務がある法人は、地方法人税を納める義務があることとされている(地法法4)。
 また、特定基準法人税額に対する地方法人税の創設に伴い、その課税の対象が明らかにされた。すなわち、地方法人税は法人税の附加税であることから、特定多国籍企業グループ等に属する内国法人の各課税対象会計年度の特定基準法人税額には、特定基準法人税額に対する地方法人税を課することとされている(地法法5②)。

2 特定基準法人税額
 「特定基準法人税額」とは、国際最低課税額確定申告書を提出すべき内国法人の法人税の課税標準である各対象会計年度の課税標準国際最低課税額につき、法人税法その他の法人税の税額の計算に関する法令の規定により計算した法人税の額(附帯税の額を除く。)をいう(地法法6②)。

3 課税対象会計年度
 特定基準法人税額に対する地方法人税の課税期間は「課税対象会計年度」とされている。ここでいう「課税対象会計年度」とは、内国法人の各対象会計年度をいう(地法法7②)。

4 課税標準
 特定基準法人税額に対する地方法人税の課税標準は、各課税対象会計年度の課税標準特定法人税額としている(地法法24の2①)。
 各課税対象会計年度の課税標準特定法人税額は、各課税対象会計年度の特定基準法人税額としている(地法法24の2②)。

5 税額の計算
 特定基準法人税額に対する地方法人税の額は、各課税対象会計年度の課税標準特定法人税額に93/907の税率を乗じて計算した金額である(地法法24の3)。
 我が国における所得合算ルール(IIR)の導入にあたっては、法人税による課税と地方法人税による課税とをあわせて実効税率が基準税率に達するまでの課税を確保する仕組みが採用されている。そのため、現行の税率を基に法人税の税率と地方法人税の税率とが907:93の比率となるよう、それぞれの税率が定められている。すなわち、まず法人税によって90.7%(907/1,000)の税率が課され、地方法人税はその課された法人税額を基礎として計算することから、地方法人税の税率は93/907としている。

6 申告及び納付等
(1)特定基準法人税額に係る確定申告

① 概要
  特定多国籍企業グループ等に属する内国法人(国際最低課税額確定申告書を提出すべき内国法人に限る。)は、各課税対象会計年度終了の日の翌日から1年3月以内に、税務署長に対し、次に掲げる事項を記載した申告書を提出しなければならないこととされている(地法法24の4①、地法規7の2)。
 イ その課税対象会計年度の課税標準である課税標準特定法人税額
 ロ イに掲げる課税標準特定法人税額につき上記5に基づいて計算した地方法人税の額
 ハ イ及びロに掲げる金額の計算の基礎
 ニ 特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等である内国法人の名称、納税地及び法人番号並びにその納税地と本店又は主たる事務所の所在地とが異なる場合には、その本店又は主たる事務所の所在地
 ホ 代表者の氏名
 ヘ その課税対象会計年度の開始及び終了の日
 ト その他参考となるべき事項
② 提出期限に係る特例
  特定多国籍企業グループ等に属する内国法人が、その課税対象会計年度について①の申告書を最初に提出すべき場合(その課税対象会計年度開始の日前に開始した課税対象会計年度においてその内国法人又はその特定多国籍企業グループ等に属する構成会社等であった他の内国法人が特定多国籍企業グループ等報告事項等に係る提出期限の特例(法法150の3⑥)の適用を受けていなかった場合に限る。)には、その課税対象会計年度終了の日の翌日から1年6月以内に上記①の申告書を提出しなければならないこととされている(地法法24の4②)。
(2)電子情報処理組織による申告
 内国法人が提出する上記(1)①の申告書(上記(1)①の申告書に係る期限後申告書を含む。)又はこれらの申告書に係る修正申告書及び添付書類に記載すべきものとされ、又は記載されている事項を、電子情報処理組織を使用する方法により提供することにより、行わなければならないこととされている(地法法24の5、地法令13の2、地法規7の3)。
(注)なお、電子申告の対象法人及び対象書類、電子情報処理組織を使用する方法の意義、電子情報処理組織を使用して申告書記載事項又は添付書類記載事項を提供しようとする場合における届出その他の手続、申告書記載事項又は添付書類記載事項を電子情報処理組織を使用する方法により送信し、又は提出する場合におけるその送信又は提出に関するファイル形式並びに電子申告の効果等については、各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の電子申告(法法82の7)と同様の措置が講じられている。
(3)電子情報処理組織による申告が困難である場合の特例
 上記(2)の内国法人が各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税の電子申告が困難である場合の特例の承認(法法82の8①)を受けている場合には、その承認に係る税務署長が指定する期間内に行う特定基準法人税額に対する地方法人税の申告については、書面により行うことができることとされている(地法法24の6)。
(4)特定基準法人税額に係る確定申告による納付
 上記(1)①の申告書を提出した内国法人は、その申告書に記載した課税標準特定法人税額につき法令の規定を適用して計算した地方法人税の額があるときは、その申告書の提出期限までに、その金額に相当する地方法人税を国に納付しなければならないこととされている(地法法24の7)。
(5)更正の請求の特例
 地方法人税は法人税額を基礎として計算されるため、ある対象会計年度の法人税の課税標準や税額につき修正申告書の提出又は更正決定があった場合には、その後の対象会計年度の法人税に影響が及び、その結果、既に確定した地方法人税が過大となることがある。
 そこで、このような事情を考慮し、国際最低課税額確定申告書に記載すべき課税標準国際最低課税額又は法人税の額につき修正申告書を提出し、又は更正若しくは決定を受けた場合において、その修正申告書の提出又は更正若しくは決定に伴い、その修正申告書又は更正若しくは決定に係る対象会計年度後の各課税対象会計年度で決定を受けた課税対象会計年度に係る課税標準特定法人税額又は地方法人税の額(その金額につき修正申告書の提出又は更正があった場合には、その申告又は更正後の金額)が過大となるときは、その修正申告書を提出した日又はその更正若しくは決定の通知を受けた日の翌日から2月以内に限り、税務署長に対し、その申告書記載税額につき更正の請求をすることができることとされている(地法法24の8)。

7 更正等
(1)更正等の期間制限の特例等

① 国税通則法第70条第3項(更正をすることができないこととなる日前6月以内にされた更正の請求に係る更正等の期限の延長)の規定により各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税について更正の請求に係る更正が行われた場合には、その法人税に係る地方法人税(すなわち、その法人税と納税義務者及び課税対象会計年度が同一である特定基準法人税額に対する地方法人税)についての更正又はその更正に伴って行われる加算税の賦課決定は、同法第70条第1項及び第2項の規定にかかわらず、その更正の請求があった日から6月を経過する日まで、することができることとされている(地法法26①)。
(注)賦課決定とは、国税通則法第32条第1項又は第2項の規定による決定をいう(地法法26①、通法58①一イ)。
  国税通則法第70条第3項の規定により特定基準法人税額に対する地方法人税について更正の請求に係る更正が行われた場合におけるその地方法人税に係る法人税(すなわち、その地方法人税と納税義務者及び課税対象会計年度が同一である各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税)についての更正又はその更正に伴って行われる加算税の賦課決定についても、同様とされている(地法法26①後段)。
② 国税通則法第71条第1項(第3号に係る部分に限る。)(更正の請求をすることができる期限の末日が日曜日等に当たることによるその期限の延長又は災害等による期限の延長がある場合の更正決定等の期限の延長)の規定により各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税について更正の請求に係る更正が行われた場合において、その更正の請求があった日から6月の期間の満了する日が同法第70条の規定又は上記①によりその法人税に係る地方法人税(すなわち、その法人税と納税義務者及び課税対象会計年度が同一である特定基準法人税額に対する地方法人税)についての更正決定等をすることができる期間の満了する日後に到来するときは、その地方法人税についての更正又はその更正に伴って行われる加算税の賦課決定は、同条の規定及び上記①にかかわらず、その更正の請求があった日から6月間においても、することができることとされている(地法法26③)。
  国税通則法第71条第1項(第3号に係る部分に限る。)の規定により特定基準法人税額に対する地方法人税について更正の請求に係る更正が行われた場合において、その更正の請求があった日から6月の期間の満了する日が同法第70条の規定又は上記①によりその地方法人税に係る法人税(すなわち、その地方法人税と納税義務者及び課税対象会計年度が同一である各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税)についての更正決定等をすることができる期間の満了する日後に到来するときにおけるその法人税についての更正又はその更正に伴って行われる加算税の賦課決定についても、同様とされている(地法法26③後段)。
(注)更正決定等とは、更正、国税通則法第25条の規定による決定又は賦課決定をいう(地法法26③、通法58①一イ)。
③ 国税通則法第71条第1項第1号(国税の更正、決定等の期間制限の特例)では、裁決等による原処分の異動又は更正の請求に基づく更正に伴って課税標準等又は税額等に異動を生ずべき国税について更正決定等をすることができる期間をその裁決等又は更正があった日から6月間とする特例が定められており、裁決等又は更正に係る国税と同一の税目に属する国税に限って適用することとされている。各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税と特定基準法人税額に対する地方法人税とは密接に関連するものであることから、これらの国税を同一の税目の国税とみなして、同法第71条第1項第1号の規定を適用することとされている(地法法26⑤)。
④ 特定基準法人税額に対する地方法人税に係る更正決定等について不服申立てがされている場合において、その地方法人税と納税義務者及び課税対象会計年度が同一である法人税(各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税)についてされた更正決定等があるときは、次の措置の適用については、その法人税についてされた更正決定等は、その地方法人税の課税標準等又は税額等についてされた他の更正決定等とみなすこととされた(地法法26⑥)。
 イ 同一の国税の課税標準等又は税額等についての複数の更正決定等が異なる審級において不服申立ての対象となっているときは、再調査の請求を審査請求とみなす(通法90①②)。
 ロ 同一の国税の課税標準等又は税額等についての複数の更正決定等のうち一の処分についてのみ不服申立てがされたときは、他の処分についても併合審理をすることができる(通法104②)。
 ハ 同一の国税の課税標準等又は税額等についての複数の更正決定等のうち一の処分について不服申立て前置解除の要件を充足しているときは、他の処分については、不服申立てを経ることなく訴訟を提起することができる(通法115①二)。
  各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税に係る更正決定等について不服申立てがされている場合におけるその法人税と納税義務者及び課税対象会計年度が同一である地方法人税(特定基準法人税額に対する地方法人税)についてされた更正決定等についても、同様とされた(地法法26⑥後段)。
(2)更正の理由付記
 特定基準法人税額に対する地方法人税の課税標準の更正をする場合には、その更正に係る更正通知書にその更正の理由を付記しなければならないこととされた(地法法27⑤)。

8 罰則
(1)偽りその他不正の行為により、上記6(1)①ロの地方法人税の額につき地方法人税を免れた場合には、法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとされている(地法法33①)。なお、ほ脱額が1,000万円を超える場合には、情状によりほ脱額以下とすることができることとされている(地法法33②)。
(2)特定基準法人税額に係る確定申告書をその提出期限までに提出しないことにより、上記6(1)①ロの地方法人税の額につき地方法人税を免れた場合には、法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとされている(地法法33③)。なお、ほ脱額が500万円を超える場合には、情状によりほ脱額以下とすることができることとされている(地法法33④)。
(3)正当な理由がなくて特定基準法人税額に係る確定申告書をその提出期限までに提出しなかった場合には、法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者でその違反行為をした者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処することとされている。ただし、情状により、その刑を免除することができることとされている(地法法34)。
(注)法人の代表者等が、その法人の業務に関してこれらの違反行為をしたときは、両罰規定の対象とされる(地法法37)。

9 適用関係 
 上記の改正は、法人(人格のない社団等を含む。9において同じ。)の令和6年4月1日以後に開始する課税事業年度の基準法人税額に対する地方法人税及び内国法人の同日以後に開始する課税対象会計年度の特定基準法人税額に対する地方法人税について適用し、法人の同日前に開始した課税事業年度の地方法人税については、従前どおりとされている(改正法附則17)。

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