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解説記事2020年02月03日 SCOPE グループ通算制度導入も税効果会計は現行税法を容認(2020年2月3日号・№821)

ASBJ、2月上旬にも実務対応報告案を公表へ
グループ通算制度導入も税効果会計は現行税法を容認


 企業会計基準委員会(ASBJ)は2月上旬にも実務対応報告となる「連結納税制度からグループ通算制度への移行に関する税効果会計の適用に関する取扱い(案)」(仮称)を公表する方針だ。実務対応報告(案)では、令和2年度税制改正法案の成立日において連結納税制度を適用している企業を対象として、グループ通算制度への移行について、企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」第44項の定めを適用せず、改正前の税法の規定に基づくことができることを容認する。グループ通算制度の適用を前提とした繰延税金資産の回収可能性の判断を行うことは困難であることが想定されるからだ。なお、本実務対応報告については、令和2年度税制改正法案が成立した後に公表するとしている。

連結納税制度が抜本的見直し、直近の課題は3月期決算の税効果会計

 令和2年度税制改正では、企業グループ全体を1つの納税単位とし、一体として計算した法人税額等を親法人が申告する現行の連結納税制度に代えて、各法人が個別に法人税額等の計算及び申告を行うグループ通算制度が導入される運びとなっている。
 これを踏まえ、企業会計基準委員会では、実務対応報告第5号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)」及び実務対応報告第7号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)」に関する必要な改廃を行うとしているが、直近の課題となるのは3月期決算会社における税効果会計の取扱いだ。
繰延税金資産の回収可能性の判断が困難に
 仮に令和2年度税制改正法案が2020年3月31日までに国会で可決、成立した場合については、繰延税金資産及び繰延税金負債の額は決算日において国会で成立している税法に基づき計算することとされているため(企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」第44項)、グループ通算制度を適用する企業(現在、連結納税制度を適用している企業でグループ通算制度に移行する企業)は、2020年3月期決算において、グループ通算制度の適用を前提として税効果会計の適用を行う必要がある。
 しかし、グループ通算制度は税額計算の基本的な仕組みが連結納税制度から変更されているため、2020年3月末時点では繰延税金資産の回収可能性の判断が困難となる可能性が指摘されている。また、企業会計基準委員会がグループ通算制度に基づいた税効果会計に関する考え方を整理する際には、政省令や、税務通達に関する情報が必要となる可能性があり、会計上の論点の検討を行うためには一定の時間を要するとされている。
 このため、企業会計基準委員会では、3月期決算法人向けに税効果適用指針第44項の適用に関する特例措置が必要と判断したものである。

実務対応報告第5号及び7号の改廃までの特例措置

 企業会計基準委員会では2月上旬にも実務対応報告となる「連結納税制度からグループ通算制度への移行に関する税効果会計の適用に関する取扱い(案)」(仮称)を公表する予定。適用対象は、令和2年度税制改正法案の国会成立日において連結納税制度を適用している企業としている。
改正前の税法に基づく旨の注記が必要
 具体的な会計処理としては、2020年3月31日以降に終了する事業年度の決算(四半期決算を含む)におけるグループ通算制度の適用を前提とした税効果会計において繰延税金資産の回収可能性の判断を行う場合において、企業会計基準委員会が実務対応報告第5号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その1)」及び実務対応報告第7号「連結納税制度を適用する場合の税効果会計に関する当面の取扱い(その2)」に関する必要な改廃を行うまでの間は、グループ通算制度への移行及びグループ通算制度への移行にあわせて単体納税制度の見直しが行われた項目(参照)について、企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」第44項の定めを適用せず、改正前の税法の規定に基づくことができることとする。

【表】令和2年度税制改正の大綱 三、3、(7)グループ通算制度への移行にあわせた単体納税制度の見直し

① 受取配当等の益金不算入制度について、次の見直しを行う。
イ 関連法人株式等に係る負債利子控除額を、関連法人株式等に係る配当等の額の100分の4相当額(その事業年度において支払う負債利子の額の10分の1相当額を上限とする。)とする。
ロ 関連法人株式等又は非支配目的株式等に該当するかどうかの判定については、100%グループ内(現行:連結グループ内)の法人全体の保有株式数等により行う。
② 寄附金の損金不算入制度について、損金算入限度額の計算の基礎となる資本金等の額を、資本金の額及び資本準備金の額の合計額とする。
③ 貸倒引当金について、100%グループ内(現行:連結グループ内)の法人間の金銭債権を貸倒引当金の対象となる金銭債権から除外する。
④ 資産の譲渡に係る特別控除額の特例について、100%グループ内(現行:連結グループ内)の各法人の特別控除額の合計額が定額控除限度額(年5,000万円)を超える場合には、その超える部分の金額を損金不算入とする。

 この点、同規定により税効果適用指針第44項の定めを適用せず、改正前の税法の規定に基づくこととした場合には、その旨を注記することが必要になる。
 実務対応報告案は2月上旬にも公表し、1か月程度意見募集を行った後、正式決定する。公表は令和2年度税制改正法案が2020年3月31日までに成立した後とされている。
新会計基準は2021年3月までに公表
 なお、企業会計基準委員会では、前述した実務対応報告第5号及び第7号を改廃し、グループ通算制度に対応した新たな会計基準等を開発する予定だが、グループ通算制度が2022年4月1日以後開始事業年度から適用されるため、新たな会計基準等は2021年3月までに公表することを目標としている。

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