税務ニュース2024年01月12日 土地売買契約を手付解除時の相続財産は(2024年1月15日号・№1010) 解除権の行使により解除された場合等では原則として「土地」に
被相続人(売主)が締結した土地の売買契約を、相続人が相続税の申告期限までに買主から受領済みの手付金を倍返しするなどして解除するといったケースがある。この場合、相続税の課税財産を「土地」とすべきか、あるいは「残代金請求権」とすべきか、悩ましいところだ。
売買契約中の土地等又は建物等に係る相続税の課税にあたり、土地等又は建物等の売買契約締結後、その土地等又は建物等の売主から買主への引渡し日前にその売主に相続が開始した場合には、相続税の課税上、その売主たる被相続人の相続人その他の者が、その売買契約に関し当該被相続人から相続又は遺贈により取得した財産は、「その売買契約に基づく土地等又は建物等の譲渡の対価のうち相続開始時における未収入金(売買残代金請求権)」として取り扱われる(国税庁質疑応答事例「相続開始時点で売買契約中であった不動産に係る相続税の課税」参照。ちなみに、買主に相続が開始した場合には、相続開始時における未払金となる。ただし、土地や建物を相続財産とする申告があれば、それが認められる。)。
ただし、この点について広島地裁平成23年9月28日判決は、被相続人(売主)が締結した土地の売買契約を、相続人が相続税の申告期限までに手付金を倍返しにより解除していたケースで、当該土地の売買契約が①解除権の行使によって解除された場合、又は、②当該契約の成立後に生じたやむを得ない事情によって解除された場合には、相続財産は売買残代金請求権ではなく「土地」である旨判示している(同旨の判示として、東京地裁令和2年10月29日判決)。
そして、上記の解除権の行使とは、法定解除又は約定解除を指し、手付金の倍返しによる解除は、通常、不動産売買契約書には手付解除の条項があることから「約定解除」に該当する。したがって、土地の売主である被相続人が締結した土地の売買契約を相続税の申告期限前までに相続人が手付解除していた場合の相続税の課税財産は、原則として「土地」ということになる。
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