税務ニュース2024年02月16日 小規模宅地の区分誤り、更正の請求不可(2024年2月19日号・№1015) 地裁、申告書で選択した範囲を超える特例の適用拡大を認めず
周知の通り、小規模宅地等の特例(措法69条の4③一)とは、相続開始の直前において被相続人または被相続人と生計を一にしていた親族の事業の用または居住の用に供されていた宅地等のうち一定のものについて、一定の面積までの部分(小規模宅地等)には、相続税の課税価格の計算上一定割合の減額を行うというもの。減額を受けられる限度面積は、特定事業用宅地等は400㎡、特定居住用宅地等は330㎡とされており、減額割合はともに80%とされている。
原告は、納屋の敷地(75㎡)のみを特定事業用宅地等として申告していたが、倉庫の敷地を含めた418㎡が特定事業用宅地等であり、限度面積である400㎡が特例対象になるとして更正の請求を行った。
東京地裁は、小規模宅地等の特例の趣旨について、「いわゆる小規模宅地等については、それが相続人等の生活の基盤の維持のために不可欠のものであって、その処分について相当の制約を受けるのが通常であるところから、相続税の課税上特別の配慮を加えることにしたもの」であり、当該特例の適用を受ける対象の選択は、相続税の申告書に添付する所定の書類(措令40条の2⑤)の記載によりされるものであることが法令上定められていると指摘した。
その上で、本件特例は、納税者が申告において、本件特例を受けるものとして当該特例対象宅地等について小規模宅地等の区分その他の明細を記載した書類をもって選択した範囲で適用されるというべきであり、後になってこれを覆し、本件特例の適用を拡大する趣旨で更正の請求をすることは許されないとの考えを示した。
原告は、本件申告時には、本件倉庫敷地部分については特例事業用宅地等には該当しないものと事実誤認をしていたが、本件明細書等の記載からすると、特定事業用宅地等の面積全部に本件特例を適用する意思であったことは明白であり、本件特例の適用範囲を拡大することを求めるものではないと主張したが、これに対し東京地裁は、「本件明細書等においては、本件倉庫敷地部分が特定事業用宅地等として区分されていたと認めることはできない」「小規模宅地等の区分の事実誤認は、国税通則法23条1項に基づき更正をすべき旨の請求をすることができる事由である『当該計算に誤りがあった』場合には該当しない」として、その主張を斥けている。
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