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税務ニュース2024年03月01日 キャプティブ紛争、最高裁後も継続へ(2024年3月4日号・№1017) 争点が異なる類似事例の裁決相次ぐ

  • 日産自動車のキャプティブ保険子会社がCFC税制の非関連者基準を満たすかどうかが争われている事案で、国の上告受理申立てに対し最高裁が近く判断。
  • 一方で、日産事件とは争点が異なる類似事例の裁決相次ぐ。最高裁の判断後も、保険の目的の認定に関する紛争は発生し続ける可能性。

 本件では、キャプティブ保険子会社が締結した再保険契約の対象となった元受保険契約に係る保険が、「関連者以外の者が有する資産又は関連者以外の者が負う損害賠償責任を保険の目的とする保険」(措令39の117⑧五括弧書、以下「本件括弧書」)に該当するか否かが問題となっている。控訴審判決は、(i)本件括弧書にいう「資産」や「損害賠償責任」は単なる例示にすぎず、「関連者以外の者が有する資産……を保険の目的とする保険」とは、非関連者の資産等に対する保険危険を担保する保険をいうものと解した上で、(ii)本件の元受保険契約の保険の目的は、関連者が顧客に対して有する債権ではなく、非関連者たる顧客の生命、身体等であると認定し、したがって、当該保険は本件括弧書に該当すると判断した(本誌948号参照)。
 このうち(i)に対しては、本件括弧書の文理を超えた拡張解釈であるとの批判が多いが、これとは別に、本件括弧書の趣旨との関係に注目する専門家もいる。具体的には、生命保険は損害保険よりも担保する危険の規模が小さく(異常危険準備金制度上、生命保険には、損害保険と同じ意味での異常危険が存在しないと考えられるため、異常危険準備金の損金算入が認められていない。措法57の5①、措令33の2①)、現地に所在して非関連者を相手方として生命保険に係る再保険事業を行う必要性が相対的に低いため、本件括弧書は生命保険をあえて除いて規定したものであり、「資産」や「損害賠償責任」は単なる例示ではないと説明する余地もあるとする意見だ。
 令和4年以降、類似事例として、本件括弧書に該当するか否かが争われた審査請求事案に対する裁決が相次いでいる。これらの事案では、保険の目的が非関連者の生命、身体であるという主張はなされていないため、日産事件のように本件括弧書の法令解釈は問題となっておらず、保険の目的が関連者の資産又は損害賠償責任にあるのか、非関連者の資産又は損害賠償責任にあるのかという保険の目的の認定が問題となっている。したがって、仮に最高裁が本件括弧書の法令解釈について判断を示したとしても、保険の目的の認定に関する紛争は今後も発生し続けることになりそうだ。

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