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解説記事2020年02月17日 SCOPE 除斥期間経過後の減額更正処理を容認(2020年2月17日号・№823)

東京地裁 “セット処分”による補正を容認
除斥期間経過後の減額更正処理を容認


 東京地裁は1月30日、①相続財産の範囲及び②再々更正処分の前提となる再更正処分が除斥期間経過後に行われたものとして違法無効となるか否かが争点となった事案について、納税者の請求を棄却する判決を言い渡した。本件では、査察事案の更正処分等に不備があり、減額更正の除斥期間(法定申告期限から5年)経過後に、再更正処分(減額更正処分)と「偽りその他不正の行為」に該当するとされた再々更正処分のセット処分が行われていた。

一度出した更正処分の不備を減額更正及び再々更正で補正

 本件は、A(平成21年6月13日死亡、以下「亡A」という。)の長女である原告B及び亡Aの二男の子である原告C(代襲相続人に該当)が、課税庁から、それぞれ亡Aの相続に係る相続税の更正処分及び重加算税の賦課決定処分を受けたことから、①前提となる減額更正処分が除斥期間経過後に行われた無効なものであること、②処分行政庁による権限の濫用が認められること、③亡Aの財産の認定に誤りがあることを理由として、上記更正処分のうち申告金額を超える部分の取消し及び上記賦課決定処分の取消しを求めていた事案である。
 国税局資料調査課と所轄署は亡Aの相続税申告に係る調査に着手し、その後、国税局調査査察部は、原告Bを相続税法違反の嫌疑により、原告Bの居宅及び蔵等において臨検、捜索及び差押えを実施し、蔵等において、現金、預金通帳、株券等を発見した。
 課税庁は、平成26年10月30日付けで、原告らに対し、本件相続税の各更正処分及び重加算税の賦課決定処分をした。
 課税庁は、本件各更正処分における理由付記に不備があったとして、平成27年11月24日付けで、原告らに対し、課税価格及び納付すべき相続税額を本件申告の額と同額とする本件相続税の各更正処分及び重加算税の額を零円とする各変更決定処分を行った。さらに、課税庁は、平成27年11月24日付けで、原告らに対し、課税価格及び納付すべき相続税額並びに重加算税の額を本件各更正処分等の額と同額とする本件相続税の各再々更正処分及び重加算税の各再々賦課決定処分を行った。すなわち課税庁は、更正処分に不備があったため、減額(取消)と再々更正処分を行うことで更正処分(の理由付記)を補正したことになる。
 これに対し原告らは、本件再更正処分は脱税がなかったことを意味する減額更正処分であり、その除斥期間は5年であるとして、本件再更正処分は手続的に違法かつ無効である旨主張した上で、これを前提とした本件再々更正処分等も、前提を欠くものであり、法的に無効である旨主張した。

家業の財産か? 個人の財産か?

 「相続財産の範囲」については、「本件相続の開始時までの○○屋(屋号)の事業主は亡Aであり、本件各申告除外財産の全部が○○屋の事業収益に起因する財産であることからすれば、本件各申告除外財産は、本件相続開始時に○○屋の事業主体であった亡Aに帰属することになる。したがって、本件各申告除外財産は、いずれも本件相続に係る相続財産と認められる。」とする課税庁の主張が容認されている。
 原告らは、「歴代のAは、○○屋の不動産賃貸業に供している不動産について、自己の個人のものではなく、代々受け継がれていく○○屋の資産と認識しており、歴代の名義をそのままにしておいたものである。本件相続開始時においては、原告Bは、10代目Aとして○○屋の事業を引き継いでいたから、上記不動産は、民法的には原告Bの所有となっていた。したがって、本件相続開始時に上記不動産が亡Aに帰属していたということはない。」などと主張したが斥けられた。

脱税がなかったことの減額更正を否定

 「再々更正処分の前提となる再更正処分が除斥期間経過後に行われたものとして違法無効となるか否か」について東京地裁は、「本件再更正処分は、本件更正処分等に、①通則法70条4項に規定する『偽りその他不正の行為』により税額を免れた場合に該当する旨の記載を欠くこと、②物件所在地の記載に誤りがあったこと、③口座番号・金融機関の記載に誤りがあったこと等の不備があったことから、これらの不備を補正するためにされたものである。そして、処分行政庁は本件再更正処分等をするとともに、上記不備を補正し、課税価格及び納付すべき相続税額を本件各更正処分と同額とする本件各再々更正処分並びに本件賦課決定処分と同額とする本件再々賦課決定処分をしたものである。したがって、本件各再更正処分等が脱税がなかったことを意味する処分であるとする原告らの主張は、前提を欠くものというべきである。」と判示し、やはり原告の主張を斥けている。

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