税務ニュース2024年03月22日 建物解体工事に係る用途区分判決に疑問(2024年3月25日号・№1020) 解体工事に係る課税仕入れは間接的にも非課税取引に寄与せず
東京地裁令和5年9月19日判決(本誌997号)では、商業施設の賃貸(課税取引)を目的とした土地賃貸借契約の終了に伴う建物解体工事に係る課税仕入れの用途区分について、解体工事が「本件土地を原状回復した上で返還することを目的として行われたもの」であり、「本件土地の返還は、本件借地契約の終了時における土地返還義務を履行する行為にすぎないから、消費税法2条1項8号にいう「資産の譲渡等」に該当するものではない」ことを理由に、「不課税取引のために要する課税仕入れ」に該当し、「共通対応に区分」すべき旨判示した。
しかし、「不課税取引のために要する課税仕入れ」という区分は消費税法の規定には存在しないところ、これについて定めた消費税法基本通達11−2−16《資産の譲渡等に該当しない取引のために要する課税仕入れの取扱い》の趣旨については、「不課税取引のための直接的には不課税取引のために要するものといっても、その間接的効果を考えれば資産の譲渡等の全体に寄与することには違いない」との考え方に基づき共通対応と取り扱うものであるとの説明が消費税法基本通達の逐条解説にはある。これは、もともと用途区分における対応は直接・間接を問わないとの従前の課税実務の解釈(国税庁『消費税一問一答集』(平成元年2月)448頁等)を前提としつつ、「間接的」には課税取引(資産の譲渡等)と非課税取引(その他の資産の譲渡等)のいずれにも寄与するものについて、消費税法の適用上は「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」(同法30条2項1号ロ)に当たると解するものだ。
本件では、解体工事に係る土地・建物において非課税取引(その他の資産の譲渡等)は行われていないため、そもそも解体工事に係る課税仕入れが非課税取引に寄与することは間接的にもあり得ない。したがって、解体工事に係る課税仕入れについては、消費税法の適用上、共通対応に区分するのは誤りであり、当該土地・建物において課税取引しか行われていなかった以上、課税対応に区分すべきものと解される、との指摘する声が複数の専門家から上がっている。
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