カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

税務ニュース2024年03月29日 顧問税理士に損害賠償請求も契約はなし(2024年4月1日号・№1021) 原告は税理士報酬を支払い、債務不履行を問題とせず

  • 顧問税理士が各年の確定申告業務を行う義務があったかどうかが争われた税理士損害賠償請求事件。
  • 東京地方裁判所(飛澤知行裁判長)は令和5年8月31日、顧問契約は締結していないとの判断を示し、原告らの請求を棄却(令和2年(ワ)第24883号)。

 本件は、原告らが、税理士(被告)が顧問契約又は個別の委任契約に基づく善管注意義務として、高度の注意をもって原告らにかかる複数年にわたる確定申告業務を各年の期限までに行うべき義務を負っていたにもかかわらず、当該義務を漫然と怠ったなどと主張して、税理士に対し、顧問契約に係る債務不履行に基づき、支払済みの税理士費用相当額等の損害賠償金合計378万円余りの支払いを求めた事件である。原告は、平成21年10月頃、税理士との間で確定申告業務を含む顧問契約を締結しており、顧問契約は契約期間につき定めはなく、いずれかが解約を申し出ない限り、継続するものであったことから、平成21年分から平成30年分までにかかる確定申告業務を行うべき義務を負っていたと主張した。
 裁判所は、原告らは税理士に対する損害賠償請求について、代理人弁護士を選任し、同弁護士において、税理士に対し受任通知書を送付したが、同書面には「なお、東日本大震災以降、貴殿との間で顧問契約は結んでおりません」と記載されており、このことからすれば、東日本大震災以降(平成23年3月以降)、税理士との間で顧問契約を締結していないという認識を有していたことが明らかであると指摘。顧問契約の成立時期や顧問料といった具体的な契約内容であればまだしも、顧問契約を締結していたか否かという事実について、原告と原告らの代理人との間で認識の齟齬が生じるとはおよそ考え難いことからすると、顧問契約の内容を検討するまでもなく、原告との間で確定申告業務を行うべき義務を負っていたとは認められないと判断した。
 また、原告は税理士との間で平成23年分から平成30年分までにかかる委任契約が各確定申告の申告期限前に成立していたと主張したが、裁判所は、原告は税理士から平成22年分から平成29年分までの所得税確定申告書作成報酬の請求がなされ、請求額どおりの金額を支払う一方で、原告が税理士の債務不履行を問題としたことを窺わせる客観的な証拠がないことといった各事情にかんがみれば、委任契約に係る各確定申告の申告期限を徒過したとは認められない以上、申告期限の徒過を内容とする税理士の債務不履行があったということはできないとし、原告らの請求を棄却した。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索