カートの中身空

閲覧履歴

最近閲覧した商品

表示情報はありません

最近閲覧した記事

税務ニュース2024年04月05日 利益A多国間協定、3月末に間に合わず(2024年4月8日号・№1022) 利益B最終報告書の残された課題についても遅れ

  • OECDの第1の柱利益Aの多国間協定は3月末のとりまとめ期限に間に合わず、利益B最終報告書の残された課題の検討にも遅れ。米国の主張に配慮した結果の可能性。

 OECDの第1の柱利益A「市場国への新たな課税権の配分」に関する検討は、2023年12月のOECDの声明で、「新しいデジタルサービス税その他同様の措置を停止」するとともに、「2024年3月末までに多国間協定の文書を最終決定し、2024年6月末までに署名式を行う」ことにコミットすると宣言していた。しかし、未だOECDから最終文書は公表されておらず、署名式もさらに予定が後ろ倒しになることが濃厚となっている。
 第1の柱利益Aは約140ヶ国が参加するOECDの包摂的枠組みで検討し、2021年に制度の基本的骨格について政治的な合意に至っている。この利益Aの対象となるのは総収入金額が200億ユーロ(約3兆2,000億円)以上で、かつ、利益率が10%以上の多国籍企業グループ(規制金融業、採掘業、防衛産業等は対象外)であり、対象となった場合には、概ね利益率10%を超えた残余利益の25%を市場国に配分することとされている。利益Aの制度の詳細については、構成要素ごとに累次のパブリックコンサルテーションが開催され、これまで検討が深められてきた。2023年10月には、利益Aの多国間協定の草案が公表されている。利益Aの多国間協定の発効には、適用対象となる多国籍企業グループの最終親会社の居住地国の60%以上をカバーし、かつ、30カ国以上が批准することが必要とされている。多国間協定の草案によれば、このうち米国だけで48.6%を占めるとされ、同協定の発効には米国の批准が不可欠だ。昨年10月に公表された草案に対し、OECDはパブリックコンサルテーションを行わなかったが、米国政府は自国向けに実施し、その要望をOECDに伝えたとされている。OECD事務局によれば、「利益Aについてはいくつかの未解決の問題があり、まだ最終化されていない」状態にある。さらに、「利益Aについて、米国から利益Bがrobustな仕組みであることが前提という意見が出されている」という。
 利益Bの最終報告書は2024年2月に公表され、残された課題である「キャパシティの低い国・地域」のリストや、新興国が主張する定性的基準で利益Bの簡素化・合理化アプローチの対象を判定する方法の詳細は2024年3月末までに公表するとされていたが、公表が遅れている。利益Bの検討の遅れも、利益Aとの関連を主張する米国の主張に配慮した結果の可能性がある。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。

週刊T&Amaster 年間購読

お申し込み

新日本法規WEB会員

試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。

週刊T&Amaster無料試読申し込みはこちら

人気記事

人気商品

  • footer_購読者専用ダウンロードサービス
  • footer_法苑WEB
  • footer_裁判官検索