解説記事2024年04月15日 法令解説 「「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」の一部改正」等の公表に伴う財務諸表等規則等の改正について(2024年4月15日号・№1023)
法令解説
「「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」の一部改正」等の公表に伴う財務諸表等規則等の改正について
金融庁企画市場局企業開示課 課長補佐 鹿子木慎亮
金融庁企画市場局企業開示課 専門官 七海健太郎
金融庁企画市場局企業開示課 係長 沖本吉輝
Ⅰ はじめに
2024年(令和6年)2月19日に「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」(令和6年内閣府令第14号)(以下、「改正府令」という)が公布・施行された。
本改正府令は、2023年(令和5年)11月17日付けで企業会計基準委員会(ASBJ)から公表された企業会計基準第32号「「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」の一部改正」及び実務対応報告第45号「資金決済法における特定の電子決済手段の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」(以下、あわせて「会計基準等」という)を踏まえ、次の規則(以下、あわせて「財規等」という)について、所要の改正を行うものである。
・財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
・中間財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
・四半期財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則
・連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則
・中間連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則
・四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則
本稿は、改正府令の主な内容について解説を行うものであるが、意見にわたる部分については、筆者らの私見であることをあらかじめ申し添えておく。
Ⅱ 改正の経緯・概要
2022年6月の改正資金決済法の成立により、いわゆるステーブルコインのうち、法定通貨の価値と連動した価格で発行され券面額と同額で払戻しを約するもの及びこれに準ずる性質を有するものが新たに「電子決済手段」と定義された。
これを受け、2023年(令和5年)11月17日、ASBJは、「資金決済に関する法律」(平成21年法律第59号。以下「資金決済法」という)上の「電子決済手段」の発行・保有等に係る会計上の取扱いについて示すため、会計基準等を公表した。会計基準等では、資金決済法第2条第5項第1号から第4号までに規定される電子決済手段のうち、同項第1号から第3号までの電子決済手段については、価値の安定した電子決済手段であり、送金・決済手段として広く使用されることが想定されていることから、これらの電子決済手段に関する会計上の取扱いを優先して定め、当面必要と考えられる会計処理及び開示に関する取扱いを示すとともに、キャッシュ・フロー計算書における資金の範囲(現金及び現金同等物)に「特定の電子決済手段」を追加することとされた。
改正府令においては、会計基準等でのキャッシュ・フロー計算書における資金の範囲の見直しを踏まえ、財規等の資金の定義を改正している。
Ⅲ 改正の内容
企業会計基準第32号「「連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準」の一部改正」第2項において、「現金とは、手許現金、要求払預金及び特定の電子決済手段をいう。」とされ、連結キャッシュ・フロー計算書が対象とする資金に含まれる「現金」に「特定の電子決済手段」が追加された。この特定の電子決済手段とは、資金決済法第2条第5項第1号から第3号に規定される電子決済手段(外国電子決済手段(電子決済手段等取引業者に関する内閣府令(令和5年内閣府令第48号)第30条第1項第5号)については、利用者が電子決済手段等取引業者(資金決済法第2条第12項)に預託しているものに限る。)とされている。
当該改正を踏まえ、財規等においても、キャッシュ・フロー計算書における資金の範囲について、「特定の電子決済手段」を追加することとした。財規等のうち、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」を例として改正の内容を示すと、表のとおりである。

Ⅳ 貸借対照表上における電子決済手段の取扱い(表示)
実務対応報告第45号「資金決済法における特定の電子決済手段の会計処理及び開示に関する当面の取扱い」BC18項において、「現金に類似する性格と要求払預金に類似する性格を有する資産」であるものの「現金又は預金そのものではない」とされていることから、財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(以下、「財務諸表等規則」という)第15条第1項等に定める「現金及び預金」の範囲には含まれないこととなる。
よって、財務諸表等規則を例に取ると、電子決済手段については、財務諸表等規則第17条第1項第12号に規定する「その他」に区分されることとなる。なお、財務諸表等規則第19条に基づき、重要性が認められる場合には、当該資産を示す名称を付した科目をもって掲記する必要があることに留意が必要である。
Ⅴ 適用時期
会計基準等の適用時期を踏まえ、改正府令については公布と同時施行することとした。
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