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解説記事2020年02月24日 SCOPE 課税当局が注意喚起する法人税申告で誤りの多い事例(2020年2月24日号・№824)

中小企業者範囲など近年の改正点で目立つミス
課税当局が注意喚起する法人税申告で誤りの多い事例


 3月決算法人の決算期末が近づく中、課税当局は令和2年3月期の法人税申告に向け「誤りの多い事例」を挙げ、注意を喚起している。
 特に誤りが多いとされるのが、受配益金不算入や中小企業投資促進税制など、近年改正があった制度だ。具体的には、受取配当等の益金不算入では、平成27年改正による株式等保有割合に基づく区分の変更、中小企業税制では、令和元年改正で措置法の中小企業者の範囲が狭まったことに伴うミスが多発しているとのことなので留意したい。

受配益金不算入、平成27年改正に伴うミスがいまだに多発

 受取配当等の益金不算入については、課税当局は従来から「①外国法人からの配当を益金不算入の対象とする」誤りの多さを指摘してきたが、平成27年改正により取扱いが変わった部分について、いまだに次のような誤りが見受けられるという。
ETF除く証券投資信託の分配金は益金算入
 そのうちの一つは、「②証券投資信託の収益分配金や外貨建等証券投資信託の収益分配金を益金不算入の対象としていたケース」だ。証券投資信託の収益分配金及び外貨建等証券投資信託証(特定外貨建等証券投資信託を除く)の収益分配金は、平成27年3月31日以前開始事業年度では、一部が益金不算入となっていたが、平成27年4月1日以後開始事業年度からは、証券投資信託(特定株式投資信託(ETF)を除く)の収益分配金は、全額益金算入となっている。
 もう一つは、「③非支配目的株式等に該当するにもかかわらず、その他の株式等に該当するものとして益金不算入額をその配当等の額の50%相当額で計算していたケース」である。
 平成27年改正では、株式等保有割合による区分と益金不算入額の計算が見直されている。改正前は、(1)株式等保有割合が25%以上100%未満のものは関係法人株式等として、配当等の額(100%)から負債利子を控除した額、(2)保有割合が25%未満のものはその他の株式等として配当等の額から負債利子を控除した額の50%が益金不算入とされていたが、改正後は、(1)株式等保有割合が3分の1超100%未満のものが、関連法人株式等として配当等の額(100%)から負債利子を控除した額、(2)5%超3分の1以下のものがその他の株式等として配当等の額の50%、(3)5%以下のものが被支配目的株式等として配当等の額の20%が益金不算入とされることとなった。いま一度、平成27年改正の内容を確認しておきたいところといえよう。

課税当局、中小企業者の範囲縮小に伴うミスに注意喚起

 中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除(措法42条の6))については以下のような誤りが報告されている。
 まずは、「①資本金の額が3千万円であり、親会社(100%保有)の資本金の額が2億円である株式会社が税額控除を適用していたケース」だ。これは、租税特別措置法の中小企業者の範囲から除かれる“みなし大企業”に関する事例である。資本金の額が1億円以下であっても、発行済株式等を同一の大規模法人に1/2以上保有されているか、複数の大規模法人に2/3以上保有されている法人は、“みなし大企業”として中小企業者の範囲から除かれ、特例は適用できない。“みなし大企業”の範囲は令和元年改正でさらに見直され、中小企業者の範囲が狭められているが、課税当局によると、特にこの改正に関連したミスが多いという。大規模法人とは、基本的に資本金1億円超の法人であるが、令和元年改正により、大法人(資本金5億円以上の法人等)による完全支配関係がある法人も大規模法人に含まれることになった。つまり、今まで親会社の資本金が1億円以下で中小企業者に該当していた法人であっても、さらにその親会社の資本金が5億円以上の場合は、改正後(平成31年4月1日以後開始事業年度)は中小企業者に該当しないことになる。また、同事業年度からは、適用除外事業者(その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等)に該当していないかどうかのチェックも必要になる。これらの改正は、中小企業者を対象とした他の措置法特例にも適用されるため、あわせて確認しておきたい。
 中小企業投資促進税制では、税額控除は資本金3千万円以下の場合に限られることにも注意する必要がある(3千万円超の場合は、特別償却のみ適用可)。
 そのほか、「②平成29年改正により対象資産の範囲から除かれた、平成29年4月1日以後に取得した器具及び備品を対象資産に含めていたケース」、「③決算期末直前に取得したものの、決算期末日までに事業の用に供さなかった対象資産について、税額控除を適用していたケース」もいまだに誤りが多い事例として挙げられている。

控除対象となる試験研究費は、損金に算入されるものに限定

 研究開発税制(試験研究を行った場合の法人税額の特別控除(措法42条の4))についても複数のパターンの誤りが指摘されている。
 まずは、「①特許申請費等を試験研究費の額に含めていたケース」である。税額控除の対象となる試験研究費の額は、その試験研究を行うために要する原材料費、人件費及び経費などであるから特許申請費等は含まれない。
 もう一つは、「②製品の製造又は技術の改良等に係る試験研究のために要する費用で、当期の損金の額に算入されていないものを試験研究費の額に含めていたケース」である。税額控除の対象となる試験研究費の額は損金の額に算入されるものに限られる点についても、あわせて確認しておきたい。

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