解説記事2024年04月22日 ニュース特集 内偵調査等で使用する捜査費の取扱いは?(2024年4月22日号・№1024)
ニュース特集
支払明細書に天候を記載etc.
内偵調査等で使用する捜査費の取扱いは?
本特集では、内偵調査等で捜査担当官(調査担当者等)が使用する「捜査費」を取り上げる。捜査費を使用した際、捜査担当官は「捜査費支払明細(証明)書」に支払先、支払金額、使用日時、天候、同行者等を記載し、領収書を貼付して確認を受けるが、「調査の効果測定のため」「調査を察知される恐れがある」といった理由で領収書の発行を求めないケースもあるようだ。また、当局資料からは、聴取場所の室料=「張込場所等の借料等」、風俗店の利用(サービス料、ホテル代)、理髪、エステ等の施術費=「入場料金」など捜査費の使用区分も一部見て取れる。
Q
「捜査費」とは何か。また、捜査費事務はどのように行われるか。
A
捜査費は、「捜査費」以外の予算では支弁できない場合または通常の経費の支出および支払手続によると捜査等(捜査、犯則調査、処分、内偵、情報資料収集等)の時機を失するおそれがあると認められる場合に限って使用できる特殊な経費とされています。
捜査費取扱課長(個人・法人第1統括官等)は、あらかじめ捜査費の交付を受ける必要があると判断した場合、「捜査費請求書」を出納員(総務課長等)に提出し、出納員は請求内容を調査した上で官署支出官へ提出します。また、捜査費の使用状況は、毎月、官署支出官に報告されます。報告の際には、捜査資金交付明細書、捜査資金支払内訳書(「捜査費支払明細(証明)書」または「タクシー料支払明細書」を添付)、内観調査票(写)等の証拠書類を提出します(図参照)。

Q
捜査費の執行管理はどのように行われているか。
A
捜査費取扱課長等は、捜査担当官(調査担当者等)から捜査費の請求があった場合、説明責任等の観点を踏まえ、捜査の目的、経費の使途および支払予定先等を聴取し、妥当と認めたときに捜査費を交付します。また、捜査費取扱課長等は、捜査費の使用結果について、内観調査記録(内偵調査復命書)、「捜査費支払明細(証明)書」等により、同行者や実施時間等を把握し、捜査費の使用が適正かどうか確認します。
なお、捜査担当官に対しては、捜査費の使用に当たり、①捜査等の必要性を明瞭にすること、②使用内容に関して説明責任を意識した適正な執行に努めることが指示されています。
Q
「捜査費支払明細(証明)書」には具体的に何が記載されるのか。
A
「捜査費支払明細(証明)書」は、捜査担当官が捜査費を使用した際に作成するもので、支払金額、使用日時、天候、支払先名・住所地、同行者などが記載されます(下掲参照)。
明細書の「給付の内容及び理由」欄には、捜査費の使用理由、支払内訳が記載されます。支払内訳については、適正な使用を確認するため、飲食店の場合は注文内容と金額、複数日にわたる借料は各日の請求金額等、施設利用する場合は人数の内訳や金額などを詳細に記載するとしています。
領収書については、捜査に支障を来たさない範囲でできる限り徴することとされていますが、「調査の効果測定のため」「調査を察知される恐れがある」といった理由で領収書の発行を求めないケースもあるようです。なお、パチンコ貸玉料など業界の慣習から領収証書等の発行がない場合は、その旨を領収証書貼付欄に記載し、支払金額メモ(スナック等のメモ)がある場合は、メモを添付します。


Q
捜査費の使用範囲は定められているか。
A
国税当局は、捜査費の使用範囲を定めていますが、その内容は明らかになっていません。
ただし、前述の内観(内偵)調査に係る「捜査費支払明細(証明)書」の記載例では、パチンコ店(入場料)、スナック等の飲食店(飲食費)などのケースが示されています。
また、当局が作成している「捜査費事務における留意点」(次頁表参照)では、「捜査費支払明細(証明)書」に係る事例として、聴取調査等で使用するカラオケボックスやファミリーレストラン等への支払い、デリヘル等の風俗店・ホテルへの支払いが記載されています。
「捜査資金支払内訳書」に関しては、聴取場所の室料の使用区分は「その他経費」ではなく「張込場所等の借料等」、風俗店の利用(サービス料、ホテル代)、理髪、エステ等の施術費は「入場料金」になるとしています。

Q
捜査費で購入された物品はどのように管理されるか。
A
捜査費を使用して購入した物品は、物品管理官(総務課長等)に引き継がれます(消耗品を購入し即日使用した場合、捜査費取扱課長等が捜査等のために物品を自分で保管する必要があると認めた場合などは例外)。
保管された物品は、保管期間(物品管理官が引継ぎを受けた日の属する会計年度の翌会計年度の末日)経過後、売払または廃棄されますが、捜査費取扱課長等の申出により保管期限を延長することも可能とされています。
なお、購入物品を長期間保管することが困難な場合や長期間保管することで著しく資産価値が減少する場合は、保管期間の経過前でも売払または廃棄されます。
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