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税務ニュース2020年03月06日 再編税制訴訟、立案者の見解重視鮮明(2020年3月9日号・№826) 東京高裁 納税者敗訴判決で制度創設当時の「講演録集」を引用

  • 今号で全文を掲載したヤフー・IDCF事件に続く法人税法132条の2による否認事例の高裁判決では、完全支配関係下の適格合併における事業継続要件の考え方について、組織再編税制の立案担当官の「講演録」を引用。
  • 組織再編税制に関する紛争では、裁判所が立案担当官の見解を重視する姿勢浮き彫りに。

 今号では、ヤフー・IDCF事件に続く法人税法132条の2による否認事例の高裁判決全文を掲載しているが(21頁~)、一審に続き納税者敗訴となった二審では、「特定資本関係が合併法人の当該合併に係る事業年度開始の日の5年前の日より前に生じている場合に法人税法132条の2を適用することができるか否か」という争点について、納税者(控訴人)が「適格合併について、完全支配関係がある場合は、事業継続要件が必要とされていないから、未処理欠損金額の引継ぎを利用した租税回避のおそれがない類型として、同法132条の2によって未処理欠損金額の引継ぎは否認されない」旨の新たな主張を展開した。これに対し高裁は、国側の証拠説明書を引用する形で判断を追加している。具体的には、本号30頁の左段「また、証拠(乙21、23)によれば……」から同頁「エ」の前までの部分だが、ここで目を引くのが「組織再編税制の立案担当者も、適格合併においては、組織再編成前に行われていた事業が組織再編成後に継続することを前提にしている旨を説明していたことが認められるのであって、……」とのくだりだ。証拠「乙21、乙23」ともに、組織再編税制の創設当時の立案担当者による「企業組織再編成に係る税制についての講演録集」からの抜粋であることが確認されている。
 本事件の地裁判決に対しては、特に争点1について地裁が示した「法人税法は、個別的な否認規定である同法57条3項の適用が排除される適格合併についても、同項の規定が一般的否認規定の適用を排除するものと解されない限り、法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる行為又は計算が行われたものと認められる場合には、同法132条の2が適用されることを予定しているものと解される」との判断に対し、「個別的な否認規定があっても常に132条の2を適用すると言っているに等しい」として、租税法律主義の観点から実務家の批判が集まったが、高裁判決はこの批判に応えるものとはなっていない。
 こうした中、本高裁判決では、裁判所が財務省主税局の立案担当官の見解を重視していることが浮き彫りになったと言えよう。

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