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税務ニュース2024年06月28日 レパトリ減税、来年度改正での導入なし(2024年7月1日号・№1033) 骨太方針等に記載はなく、関係省庁での検討も進まず

  • 一部全国紙などで「導入される」との報道が見られたレパトリ減税、令和7年度税制改正での導入は見送りへ。
  • 効果を疑問視する声も多く、骨太方針等には盛り込まれず、各省庁も導入を求める考えなし。

 現在進行中の円安への対策として、海外の資金を本国に送金する場合に減税する「レパトリ減税」が導入されるとの報道が5月の連休前後に一部の全国紙で見受けられたところだ。しかし本誌取材によると、関係省庁などでの検討は進んでおらず、令和7年度改正で同制度の導入を求める考えもないことが判明した。実際、6月21日に公表された政府の「骨太の方針」(経済財政運営と改革の基本方針2024)や「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」にはレパトリ減税に関する記述は盛り込まれていない。
 レパトリ減税は過去に米国で導入された実績があり、ブッシュ政権時代の2005年に導入された本国投資法(Homeland Investment Act)では、国内に還流した利益に対する税率が1年間「35%→5.25%」へと引き下げられ、多額の資金還流をもたらしたとされている。また、トランプ政権時代の税制改正(Tax Cut and Jobs Act)でも、35%の税率から軽減する形で、課税が繰り延べられた海外での利益に対し、“1回限り”の移行税として、流動資産(現金および現金同等物)については15.5%、非流動資産(不動産、プラント及び設備)については8%の税率が課されることとなった。
 ただ、そもそも2005年の米国ブッシュ政権下で導入されたレパトリ税制は、当時の米国が全世界所得課税の立場に立っており、海外所得は海外に留め米国に送金しない限り、米国企業はこの税を無期限に延納することができる一方、米国に送金した場合には35%という高い税金を課されるという状況の中で導入されたもの。日本では2009年度に外国子会社益金不算入制度が導入され、海外子会社からの配当については95%が益金不算入となっている(国外所得免除方式への移行)。このため、仮にこの5%の部分を益金不算入としたとしても、為替に対する影響は極めて限定的と考えられる。トランプ政権下でのレパトリ税制は、米国が全世界所得課税方式から国外所得免除方式に移行することと合わせて実現したものであり、単純にレパトリ税制だけの効果を考えることは適切ではない。
 レパトリ税制は、日本での導入の効果が明確にならない限り、実現への道筋も見えてこないだろう。

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