税務ニュース2024年08月30日 CFC税制の抜本改正、R8年度以降に(2024年9月2日号・№1041) 軽課税所得ルールおよび国内ミニマム課税の導入が先行
令和6年度の与党税制改正大綱には、外国子会社合算税制(CFC税制)について、「令和7年度税制改正以降に見込まれる更なる第2の柱の法制化を踏まえて、必要な見直しを検討する」旨明記されたところだ。しかし、財務省や経済産業省など関係省庁ではトリガー税率の見直しといったCFC税制の抜本的な改正の議論は進展しておらず、令和7年度改正は、第2の柱の実施ガイダンスの公表を踏まえたグローバル・ミニマム課税の見直しや、グローバル・ミニマム課税に対応したCFC税制の合算時期の見直しなど、技術的な改正に留まる可能性が高いことが本誌取材により判明した。財務省は、まずは第2の柱の残された法制化(軽課税所得ルール(UTPR)と国内ミニマム課税(QDMTT)の導入)を先行させる見通し。
CFC税制はグローバル・ミニマム課税と併存可能とされるが、租税負担割合などの計算方法が異なるため、企業にとってはこれらの制度が適用されないことを明らかにする作業の負担感が大きい。また、近年はCFC税制の課税上、租税負担割合20%以上30%未満の企業に対しても、税務調査で決算書・申告書、海外オフィスの配席図、取締役会の議事録など、実体基準・管理支配基準の根拠等を求める傾向が強まっており、企業からは「租税負担割合20%以上の区分は本来ペーパーカンパニー等を対象に設けられたにもかかわらず、行き過ぎた税務調査対応を求めるもの」との批判の声が上がっている。海外でも両制度の併存に伴う負担が問題視されており、CFC税制見直しの動きが相次いでいる。例えばドイツでは、グローバル・ミニマム課税の最低税率15%に合わせ、CFC税制の対象となる「低税率」の水準が25%から15%に引き下げられた。また、イタリアでも、グローバル・ミニマム課税の規定に沿った簡易な実効税率のテストとして、会計上の数字に基づく実効税率が15%以上の場合、CFC税制の税率判定のテストを会計上の数字で代用することを認める制度が導入されている。さらに欧州委員会においては、2025年の第3四半期を目途にCFC税制を簡素化することも念頭に、租税回避防止指令(Anti-tax Avoidance Directive (ATAD))の見直しが検討されている。日本でも関係省庁において、令和8年度改正を見据え、CFC税制の抜本的な見直しに向けた検討が進められることになろう。
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