税務ニュース2024年11月08日 固定資産税の設備分離スキーム封じ込め(2024年11月11日号・№1050) 令和7年改正でみなし償却資産課税制度の対象附帯設備明確化へ
所有者課税主義(42頁参照)を採用する固定資産税だが、平成16年度税制改正で創設されたみなし償却資産課税制度により、家屋の所有者以外の者が自らの事業のために家屋に取り付けた設備の納税義務者は「設備を取り付けた者」とされ、その資産区分は「償却資産」となった。これは、テナント等が自らの事業のために取り付けた附帯設備については当該設備を使用収益するテナント等に課税するべきとの考え方によるものだが、エレベーターや給排水の主管など、テナント等が家屋に取り付けることが想定されていない設備までもが自らの事業のために取り付けたものとして、みなし償却資産課税制度の対象となる事例が発生している。こうした中、建物の固定資産税を削減するために、建物内の建築設備(エレベーター、空調、防災設備など)を建物所有者以外の第三者に所有させるという“設備分離スキーム”を売り込むコンサルタント等も出現している。通常、固定資産税は建物の評価額に基づいて課税され、当該評価額には建築設備も含まれるため、建物所有者がこれらの設備を第三者に譲渡し、登記すること等により、建物の評価額から設備を除外して税負担の軽減を図ろうというわけだ。
これに対し全国市長会からは、課税の適正化を求め、「家屋の附帯設備については、エレベーターなど、通常家屋と一体的に整備される附帯設備についても、償却資産として課税するよう附帯設備の所有者から求められることがあることから、家屋として取り扱うべき附帯設備の範囲を法律上明らかにすること」との要望が出されていたが、総務省は令和7年度税制改正でこうした“設備分離スキーム”の封じ込めを図る方針であることが本誌取材により判明した。具体的には、附帯設備であっても、①通常は家屋と一体的に整備すると認められる、かつ、②通常は家屋を毀損しなければ当該家屋に取り付ける又は当該家屋から取り外すことができないと認められるものであれば、固定資産税の資産区分上「家屋」と取り扱うべく、地方税法を改正する。家屋として取り扱われる附帯設備としては、給水設備・排水設備・ガス設備における主管や中央熱源方式の空調設備、防災設備、エレベーター等の運搬設備が想定されているが、今後さらに検討する。既に設置されている附帯設備等にまで見直しの効果が及ぶのかも注目されるところだ。
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