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税務ニュース2024年12月13日 高裁も換価手続の配当を非課税と認めず(2024年12月16日号・№1055) 破産管財人に納税義務ありとの主張も排斥

  • 東京高裁、破産手続における換価手続の一環として行われた剰余金の配当に係る所得について、非課税とすべきとの原告の主張に対し、資産の譲渡による所得には当たらないから非課税所得には該当しないとした地裁判決を支持(令和6年12月4日東京高裁判決)。

 本件の発端は、船舶保有会社等を経営していたインド人社長(原告・控訴人)が、債権者の申立てにより破産手続開始決定を受けたことにある。破産管財人は、破産手続における換価手続の一環として、原告が単独株主であった上記外国法人2社に係る剰余金配当手続を行ったが、原告は、これにより生じた所得について所得税等の課税処分等を受けた。原告は、当該所得は非課税所得に該当し、仮に非課税所得に該当しないとしても破産管財人が源泉徴収義務又は申告義務を負うものであると主張して、それらの処分の取消しを求めた。
 東京地裁は、所得税法9条1項10号及び所得税法施行令26条の規定の文言から、所得税を課さないこととされるのは資産の譲渡による所得のみであり、本件各配当に係る所得は、本件各外国法人の株主に対する剰余金の配当に係るものであるから、非課税所得には該当しないとした(本誌1043号9頁参照)。また、本件各配当は、「国内において」された配当とはいえないから、本件破産管財人は「国内において所得税法24条1項に規定する配当等の支払をする者」には該当せず、本件破産管財人は、本件各配当に係る源泉徴収義務を負うものではないとしていた。
 原告はこれを不服として控訴するも、東京高裁も地裁判決を支持。原告(控訴人)は、配当の場合でも資産の譲渡の場合と同様の目的により資産の換価を行うのであれば非課税とすべきなどと主張したが、東京高裁は、租税法の解釈は原則として文理解釈によるべきであり、所得税法においては、私法上の法形式を前提としつつ、譲渡所得と配当所得とを区別して規律していることに鑑みると、破産手続の換価において経済的な機能に類似性があることを理由として上記の区別を崩し、実質主義によって譲渡所得に関する規律を拡張することが適切とはいい難いとして、その主張を斥けた。
 また原告は、破産者には申告の期待可能性がないことなどから、破産管財人に納税義務があるなどとも主張したが、東京高裁は、破産手続開始の決定があった場合でも、破産財団に属する財産の帰属主体は破産者自身であって、破産管財人の権限は、その財産の管理及び処分の範囲にとどまるなどとして、その主張も斥けている。

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