税務ニュース2025年01月31日 マイニングマシン節税、完全封じ込めへ(2025年2月3日号・№1061) 暗号資産マイニング業用設備が中小企業経営強化税制の対象外に
令和7年度税制改正大綱では、中小企業経営強化税制について2年間の適用期限延長を含むいくつかの改正点が示されている。そのなかの一つに、暗号資産マイニング業の用に供する設備等を、特定経営力向上設備等から除外するとの措置が含まれている。周知の通り、暗号資産マイニング業用設備は、令和5年度改正においてコインランドリー業用設備とともに、それが取得者の主要な事業である場合を除き、その管理の“おおむね全部”を他の者に委託するものについては、同税制の対象外とされた。一般的に暗号資産マイニング業用設備には高性能コンピュータが該当するが、令和5年度改正後も、同改正に抵触しないような仕組みを整えたうえで、即時償却をセールスポイントの一つとする節税商品として販売されてきた。本誌1017号「中小強化税制『おおむね全部』の判断は」でもお伝えした通り、令和5年度改正における “おおむね全部”に該当するかどうかの判定は最終的には税務調査等で課税当局が実態を見て判断するとされており、経営力向上計画の認定を受けていれば確実に中小企業経営強化税制の対象となるわけではない。しかし、今回の改正により、暗号資産マイニング業用設備は、その管理の委託度合いに関わらず、中小企業経営強化税制の対象外とされることになる。この点、「“おおむね全部”の委託を判断すること自体に疑義が生じたための改正ではないか」という税理士等の声も聞かれる。
今回の改正は、「関係法令の改正」を前提として行われるとされている。中小企業経営強化税制(措置法42条の12の4)が参照している法令は中小企業等経営強化法であり、具体的に暗号資産マイニング業用設備について制限を加えているのは、その省令である中小企業等経営強化法施行規則16条であるため、同施行規則を中心とした改正が想定される。中小企業等経営強化法施行規則に関する改正案は過去、e-Govパブリックコメントに掲載され意見公募の対象とされていたことから、今回も施行規則に関する改正であれば、同様の手続きがとられる可能性が高い。節税目的で暗号資産マイニング業用設備の取得を検討している納税者や、同設備を販売する側の事業者は、今回の大綱の内容を受け、方針の見直しを迫られることになろう。
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