解説記事2025年03月10日 ニュース特集 確定申告期後に早期始動、4月~6月の税務調査(2025年3月10日号・№1066)
ニュース特集
実地着眼調査、譲渡所得調査……
確定申告期後に早期始動、4月~6月の税務調査
年を通じた切れ目ない調査を実施するため、確定申告期後の調査早期立上げや翌事務年度の早期着手を推進する国税当局。個人課税部門では、確定申告期前に4月~6月の実地調査事案の選定を済ませ、調査担当者が準備調査を実施している。また、翌事務年度に着手する実地調査事案は6月までに選定・交付する方針だ。資産課税部門は4月上旬から譲渡所得事案の調査に着手し、調査経験が少ない職員へ譲渡所得の調査手法を伝承している。
本特集では、東京局、大阪局の4~6月期(第4四半期)における調査等の事務運営について、Q&A形式で確認する。
Q
東京局個人課税部門の確定申告期前の事務運営は?
A
調査事務については、仕掛事案の処理に取り組むほか、申告漏れが明らかな者など短期間で行う着眼調査(実地)と簡易な接触を組み合わせることで、確定申告期までに調査を終了するとしています。ただし、真に調査すべき事案については、調査を安易に終了させることなく、必要な事務量を投下して深度ある調査を実施するようです。
また、確定申告期前に4月から6月までに実施する実地調査事案の選定が済んでいない場合は、確定申告期までに選定が行われます。
継続1・2管理事案については、4月から6月までに実施する「選定事務」を見据えた情報収集が実施されます。
Q
東京局の4月から6月までの調査事務について教えてください。
A
確定申告期間中から内部事務を計画的に実施し、申告期間中の処理促進や4月以降の事後処理事務(計算誤りが明らかな者、添付書類未提出者等を対象に行うもの。行政指導による自主的な見直し要請等に応じない場合は調査として処理)等の効率的な実施で確保した事務量を、以下の調査事務などに投下するとしています。
1.調査事務については、4月初旬から段階的に拡大していくように計画し、特に若手職員など経験の浅い職員について優先的に調査事務量を確保
2.調査事案の交付は、調査担当者ごとに調査の着手時期を踏まえ、準備調査および調査予約の実施時期を考慮した上で、計画的に実施
3.真に調査すべき事案については、定期人事異動をはさむ場合であっても、調査を安易に終了させることなく、必要な事務量を投下して深度ある調査を実施
4.事案に応じた適切な進行管理を行い、調査を終了しない事案は新体制へ確実に引継ぎ
Q
大阪局個人課税部門における4月~6月の調査方針は?
A
大阪局は、年を通じた切れ目ない調査事務運営を推進するため、確定申告期後における調査事務の早期立上げが可能な体制を構築するとしています。具体的には、調査担当統括官が確定申告期前から事案の選定に取り組み、早期に調査担当者に事案を交付します。調査担当者は、4月以降の早期着手に向けて計画的に準備調査を実施します。
また、大阪局は、確定申告期後の実地調査事務量の確保について、以下の方針を示しています。
・確定申告期間中における来場者数の削減や期中処理の促進等によって得られる効率化効果を確実に調査等関係事務量に振り向ける
・機能別部署については、確定申告期後、早期に調査着手
・特に、調査初任者については、より多くの調査経験を積むことが重要であることから、確定申告期後における実地調査事務量を優先的に確保し、着眼調査(実地)を実施(図表1参照)

Q
東京局の4月から6月における調査事務以外の事務は?
A
(1)継続管理事務、(2)調査選定事務、(3)翌事務年度の早期着手に向けた準備を行います。具体的に(1)継続管理事案については、管理の要否を見極めつつ、調査に向けた情報等の収集・蓄積を行い、事業実態等の把握・分析・検討が実施されます。また、継続管理区分による管理が有効に機能するように対象者の洗い替えを行います。
(2)4~6月の調査選定では、以下の事務が行われます。
1.担当副署長(または署長)を含めた選定検討会議を開催し、選定方針を策定
2.翌事務年度の調査事案について、「調査選定補助ツールSAT」、資料情報等を効果的に活用し、6月末までに事案決定会議において事案を決定
3.選定に当たっては、コンプライアンスリスクに応じた接触方法を念頭に置き、事案に応じた最適な接触態様を選択
(3)早期着手に向けた準備では、定期人事異動前後の調査事務量を有効に活用するため、早期着手(7・8月着手)する事案について、準備調査、調査予約を計画的に実施するとしています。
Q
コンプライアンスリスクに応じた接触方法とはどのようなものですか。
A
課税当局は、経済社会がデジタル化・国際化する中、効果的・効率的にコンプライアンス水準を確保していくため、以下の方針を示しています。
取得データの拡大、データ活用の高度化により、納税者の納税コンプライアンスに関するリスクを包括的・客観的に測定・把握し、当該リスクや非違類型に応じた最適な接触体系を構築するとともに、特に、真に調査必要度の高い納税者等については、漏らすことなく深度ある調査を実施できる、組織全体として、(空白や断絶、重複のない)シームレスな事務運営を推進する。
コンプライアンスリスクに応じた接触方法については、4類型(行政指導、署内調査、項目を絞った実地調査、深度ある実地調査)が示されています(図表2参照)。

Q
東京局の資産課税部門における確定申告期前の事務は?
A
東京局は、確定申告期前の事務について、確定申告関係事務との調整を図り、外部事務量を最大限に確保した上で、上期(7月~12月)に着手した相続税実地調査の仕掛事案の処理促進を図るとともに、追徴税額の最大化に向け、机上調査事案などの署内調査を実施するとしています。
具体的に相続税実地調査の仕掛事案については、多額の追徴税額が見込まれない事案などは早期の見極めを実施する一方、真に調査すべき事案(多額の追徴税額が見込まれる事案・不正が見込まれる事案など)については、調査を安易に終了させることなく、必要な事務量を投下して深度ある調査を実施するようです。
確定申告期間中に調査を中断する事案については、納税者に対して調査を中断する旨および確定申告期後に調査を再開する旨が説明されます。
Q
東京局の4月から6月までの資産税事務を教えてください。
A
一般調査部門の事後処理専担者以外の職員は、4月上旬を目途に譲渡所得の実地調査事案に着手します。譲渡所得調査では、事案選定にデータが活用され、不正見込事案等に対しては深度ある調査が実施されます。
また、譲渡所得調査の調査技法を伝承する観点から、指導育成対象者や譲渡所得調査の経験が少ない者が確実に譲渡所得の実地調査事務に従事できるよう配意するとしています。
特官は、確定申告事務の従事期間前に、4月から6月までの処理を見据えて相続税の実地調査事案への新規着手を継続しており、確定申告事務の従事期間終了後は、速やかに相続税の実地調査事務に従事するようです。
なお、東京局では、翌事務年度の早期着手に向けて、6月下旬までに調査担当者に相続税の調査事案を交付します。事案選定に係る優先度判定では、「相続税選定支援ツールRIN」(本誌1039号特集参照)が活用されます。
Q
大阪局における4月~6月期の資産税調査事務は?
A
個人課税部門と同様に、確定申告期後の早期立上げに向けた体制を構築し、適切な調査事務運営に取り組むとしています。具体的には、申告審理事務の効率化等で確保した事務量は確実に実地調査事務に投下し、各署の実情等に応じて税目間バランスにも配意した上で、実地調査等事務量を資産各税に適正に配分する方針です。
大阪局資産課税部門(統括官部門)の令和4、5事務年度4月~6月期における調査(完了)件数は、令和4事務年度388件(3月事前通知件数113件)、令和5事務年度524件(同132件)に増加し、令和6事務年度の調査計画件数は636件となっています。
また、4月~6月の実地調査等事務量割合(総稼働日数に占める調査事務量の割合)は、令和4事務年度26.2%、令和5事務年度27.8%と推移しており、令和6事務年度は31.5%を予定しているようです。
Q
所得税等の確定申告期は、法人税調査に影響しますか。
A
確定申告期は税理士の無料申告相談等があることから、税理士関与法人に対する調査等については従来から配慮がなされており、特に繁忙期となる3月の確定申告期間については、原則、税理士関与法人に対する調査等は行われていません(調査の必要がある場合、納税者・関与税理士と調査日時等を事前に十分に調整)。
上記を踏まえ、東京局は確定申告期の法人課税部門の事務運営について、各署の実情に応じ、①仕掛事案(特に長期仕掛事案)の見極め、②無申告行政指導等(インボイス登録事業者を優先的に実施)、③ALL e-Taxの利用勧奨、④所在不明法人等に対する除却事務、⑤調査省略事務、⑥重点管理対象法人の見直しなどを集中的に実施するとしています。

当ページの閲覧には、週刊T&Amasterの年間購読、
及び新日本法規WEB会員のご登録が必要です。
週刊T&Amaster 年間購読
新日本法規WEB会員
試読申し込みをいただくと、「【電子版】T&Amaster最新号1冊」と当データベースが2週間無料でお試しいただけます。
人気記事
人気商品
-

-

団体向け研修会開催を
ご検討の方へ弁護士会、税理士会、法人会ほか団体の研修会をご検討の際は、是非、新日本法規にご相談ください。講師をはじめ、事業に合わせて最適な研修会を企画・提案いたします。
研修会開催支援サービス -















