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解説記事2020年03月30日 税務マエストロ 中小事業者の特例計算(簡易課税制度選択届出書の提出期限の特例)(2020年3月30日号・№828)

税務マエストロ
中小事業者の特例計算(簡易課税制度選択届出書の提出期限の特例)
#244
 熊王征秀(税理士)


略歴学校法人大原学園に税理士科物品税法の講師として入社し、在職中に酒税法、消費税法の講座を創設。その後、会計事務所勤務を経て税理士登録、独立開業。『消費税トラブルの傾向と対策』等、著書多数。現在東京税理士会会員相談室委員東京税理士会調査研究部委員東京地方税理士会税法研究所研究員日本税務会計学会委員大原大学院大学教授

※取り上げて欲しいテーマを編集部にお寄せください。
 ta@lotus21.co.jp

マエストロの解説

 「簡易課税制度選択届出書」は原則として事前提出が義務付けられている。ただし、仕入れを税率ごとに区分することが困難な事業者に配慮して、「簡易課税制度選択届出書」の提出期限に関する経過措置が設けられている。
 今回は、この「簡易課税制度選択届出書」の提出期限に関する経過措置を確認する。

1 簡易課税制度選択届出書の提出期限

 「簡易課税制度選択届出書」は原則として事前提出が義務付けられている。ただし、仕入れを税率ごとに区分することが困難な事業者に配慮して、「簡易課税制度選択届出書」の提出期限に関する経過措置が設けられている。
 具体的には、次の①と②のいずれの要件も満たすような場合について、届出書の提出日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができる(平成28年改正法附則40①)。

① 基準期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者で、仕入れを税率ごとに区分することにつき困難な事情がある場合
② 「令和元年10月1日から令和2年9月30日まで」の日の属する課税期間の末日までに、「簡易課税制度選択届出書」を納税地を所轄する税務署長に提出した場合

 『「令和元年10月1日から令和2年9月30日まで」の日の属する課税期間の末日まで』という改正法の表現は、「令和元年10月1日~令和2年9月30日」に重なる課税期間であれば、期末までの届出書の提出を認めるという意味である。「簡易課税制度選択届出書」の提出期限は、令和2年9月30日ではなく、決算期により異なることとなるので注意が必要だ。

2 困難な事情

 「簡易課税制度選択届出書」の提出期限に関する経過措置は、仕入高を税率ごとに区分できない場合に認められているものであるが、その適用に当たっては、売上税額の特例計算と同様に困難の度合いを問わないこととされている(軽減通達21(注)2)。したがって、福利厚生費や会議費として処理すべきお茶代・お茶菓子代を区分することが面倒だという些細な事情であっても、経過措置の適用を受けることができる。

3 著しく困難な事情

 下記①~③の期間中に調整対象固定資産を取得した場合には、取得日の属する課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間までの間は本則課税が強制適用となるので、調整対象固定資産を取得した日の属する課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの間は「簡易課税制度選択届出書」を提出することができないこととされている(消法37③一~二)。

①「課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者となる場合の強制適用期間中
②資本金1,000万円以上の新設法人の基準期間がない事業年度中
③特定新規設立法人の基準期間がない事業年度中

 また、本則課税の適用期間中に高額特定資産を取得した場合にも、取得日の属する課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間までの間は本則課税が強制適用されることとなったので、高額特定資産を取得した日の属する課税期間の初日から3年を経過する日の属する課税期間の初日の前日までの間は「簡易課税制度選択届出書」を提出することができない(消法37③三)。
 「簡易課税制度選択届出書」の提出後に調整対象固定資産(高額特定資産)を取得した場合には、図2のように、「簡易課税制度選択届出書」の提出はなかったものとみなされる(消法37④)。

 ただし、調整対象固定資産(高額特定資産)を取得した事業者が、その後の課税期間において、仕入れを税率ごとに区分することにつき著しく困難な事情があるときは、上記のような「簡易課税制度選択届出書」の提出制限は適用除外とされている(平成28年改正法附則40②)。
 結果、調整対象固定資産(高額特定資産)を取得した翌期であっても簡易課税制度により仕入控除税額を計算することができることになるのである。
 ただし、次のようなケースについては著しく困難な事情があるとは認めないこととしているので、実務上この制度が適用されるのは極めて希なケースだけではないかと思われる(軽減通達24)。

・建設業や不動産業などのように、主たる仕入れが軽減税率対象資産ではない事業者が、事務所や営業所に自動販売機を設置して清涼飲料水を仕入れるようなケース
・福利厚生や贈答用として菓子等を仕入れるようなケース

(3年縛りが適用除外となるケース)
 令和元年9月決算法人が、令和元年9月期において高額特定資産を取得し、本則課税で申告した。
 その翌課税期間である令和2年9月期において、仕入れを税率ごとに区分することにつき、著しく困難な事情があると認められる場合には、令和2年9月30日までに「簡易課税制度選択届出書」を提出することにより、令和2年9月期から簡易課税により仕入控除税額を計算することができる。

 なお、仕入れを税率ごとに区分することにつき、著しく困難な事情があるときは、「消費税簡易課税制度選択届出書(第1号様式)」の(ホの欄)に、「著しく困難な事情」を記載する必要がある(単に「困難な事情」があるだけの場合には、この欄には何も書く必要はない)。

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