税務ニュース2025年04月11日 グローバル・ミニマム課税、方向転換も(2025年4月14日号・№1070) EU高官はUTPR廃止否定、UTPRセーフハーバーの延長・恒久化案浮上
トランプ政権のGlobal Tax Dealに関する大統領令はUTPR(軽課税所得ルール)やDST(デジタルサービス税)をターゲットにしている。このうちUTPRは、日本では「2026年4月1日以後に開始する事業年度」から適用されるが、欧州ではEU指令により「2024年12月31日以後に開始する事業年度」から適用と既に実施フェーズに入っている。このような状況の中でEU各国の対応は割れている。ドイツでは、BDI(ドイツ産業連盟)がUTPRに関するEU指令の適用の一時停止を求めている。また、ドイツでは、グローバル・ミニマム課税は連邦政府ではなく州政府の管轄とされているが、重い実務負担を避けたい各州政府もUTPRの一時停止に賛成している。BDI関係者によれば、少なくともドイツの3分の2以上の州当局が第2の柱に関する指令の一時停止に賛成しているとのことだ。一方、EUや欧州委員会の高官からは、UTPRや第2の柱に関する指令を停止するとの考えは示されていない。EUのTax CommissionerであるWopke Hoekstra氏は、米国を含む加盟国および国際パートナーと慎重に協議し、前進するための賢明な方法を見つけるべきと主張している。また、UTPRを含む第2の柱は既にEU指令で採択・実施されており、これを変更・改正するにはEU加盟国の全会一致が必要となるため、現実的に困難との見方が多い。
これに対し、米国企業を中心とする米国側からは、前トランプ政権が2017年に導入したGILTI(グローバル無形資産低率課税所得)の制度をグローバル・ミニマム課税の制度と整合させるべきとの意見も聞かれる。ただ、GILTIは全世界レベルで税率計算を行う一方、グローバル・ミニマム課税は国ごとに税率計算を行う制度であり、また、GILTIの方が実質的な経済活動に伴う除外規定の範囲がより厳格であるといった差異があることから、両者の統合は容易ではない。そこで、一時的な解決策として、法定税率が20%以上の最終親会社所在国については、2025年12月31日以前に開始し2026年12月31日前に終了する各対象会計年度(1年以内の年度に限る)のUTPRトップアップ税額をゼロとみなすとされている経過的UTPRセーフハーバーを延長もしくは恒久化すべきとの声も上がっている。
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