税務ニュース2025年05月23日 物価に連動した基礎控除の見直しを検討(2025年5月26日号・№1075) 政府税調、令和7年度税制改正を受けて具体的な方策の検討を開始
首相の諮問機関である政府の税制調査会(会長・翁百合/日本総研理事長)は5月15日に「第5回総会」を開催し、物価上昇時における税負担の調整及び就業調整への対応と、各種所得控除の現状について意見交換等を行った。
所得税については、基礎控除の額が定額であることにより、物価が上昇すると実質的な税負担が増えるとの課題がある。これまで日本経済はデフレ状態であったため、問題が顕在することはなかったが、現在は物価が上昇傾向にある。このため、令和7年度税制改正では、いわゆる「103万円の壁」の見直しとして、生活必需品を多く含む基礎的支出項目の消費者物価が平成7年から令和5年にかけて20%程度上昇していることを踏まえ、所得税の基礎控除の額を48万円から58万円と20%程度引き上げることになった。
また、与党の税制調査会における令和7年度税制改正の議論では、引き続き、物価の上昇等を踏まえて基礎控除等を見直すとの方針が示され、令和7年度税制改正法(所得税法等の一部を改正する法律)附則(81条)には「各種所得の課税の在り方及び人的控除をはじめとする各種控除の在り方の見直しを含む所得税の抜本的な改革について検討」を行うことが明記されており、検討に当たっては「物価等の上昇等を踏まえて基礎控除等の額を適時に引き上げるという基本的方向性により、具体的な方策を検討」するとされたことから、政府税調において検討を開始することとなった。
今後、政府税調では、昨年11月に設置した「活力ある長寿社会に向けたライフコースに中立な税制に関する専門家会合」で、所得税の各種所得の課税の在り方及び人的控除をはじめとする各種控除の在り方の見直しについて論点整理を行うとしており、まずは、物価の上昇等を踏まえた基礎控除等の額の適時の引き上げの具体的な方策から検討することとしている。なお、取りまとめ時期や報告方法は未定とした。
総会終了後の記者会見で、翁会長は、「経済構造や働き方が多様化する中で、様々な視点から中長期的に議論していくことになる。所得税の在り方を含め、中長期的に腰を据えて議論を行いたい」と話した。
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