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税務ニュース2025年06月06日 米国が第2の柱への対抗措置を導入へ(2025年6月9日号・№1077) UTPRやDSTを「不公正な外国税」として20%の追加課税も

  • 米国がUTPRやDSTへの報復措置導入へ。内国歳入法に新条文を設け、UTPR、DSTなどを「不公正な外国税」と認定、最大20%の追加課税も。

 米国下院は2025年5月22日に2025年度予算調整法案として位置付けられる「One Big Beautiful Bill(OBBB)」を可決したが、共和党主導の同法案にはOECDのグローバルミニマム課税の軽課税所得ルール(UTPR)やデジタルサービス税(DST)に対する報復措置として機能する内国歳入法「第899条(Section 899)」を新設することが盛り込まれている。同条文は、UTPR、DST、DPT(Diverted Profits Tax:英国の迂回利益税等が該当)を「不公正な外国税(unfair foreign tax)」と認定し、これらの税を導入した国(差別的外国)の居住者に対して、外国法人の所得等に係る税(PE/支店課税)や米国が源泉となる利子・配当等の源泉税を毎年5%ずつ引き上げ、法定税率から最大20%まで追加して課税することを規定している。なお、租税条約により利子・配当等の源泉税が減免されている場合には、その減免されている水準から毎年5%ずつ引き上げられることになる。
 さらに899条は、BEAT(Base Erosion and Anti-Abuse Tax)への課税強化、いわゆる「スーパーBEAT」に係る措置も含んでおり、差別的外国の居住法人が50%以上所有する米国法人等に対し、従来より厳格なBEATを適用する条項を設けている。具体的には、税率の引上げのほか、適用除外基準の撤廃、研究開発に係る税額控除などの排除、COGS(売上原価)に係る支払いのBEAT対象化等の措置が提案されている。
 日本では令和7年度税制改正でUTPRに対応し「各対象会計年度の国際最低課税残余額に対する法人税」を創設したため、既存の法令に変更がなければ、明確に今回の899条の対象となる可能性が高い。したがって、日本に本社を持つ米国子会社から親会社や関連会社への配当、利子、ロイヤルティ等の送金は、今後、米国で最大50%の源泉徴収税が課されるリスクがある。また、米国子会社のBEAT計算において適用免除基準が廃止されるほか、COGSに係る支払いがBEATの対象となる可能性がある。下院で可決された現行の法案を踏まえれば、日本におけるUTPRの施行期日は2026年4月以降であるため、2027年1月以降に源泉税に係る税率が引き上げられることになる。899条が適用されれば、米国に進出している金融・サービス業や製造業に多大な影響が生じる恐れがある。このため、今後、OECDおよび日本国として、UTPRをどのように扱うのか、早急な検討が求められることになるだろう。

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