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解説記事2020年04月13日 第2特集 Q&Aで読む新型コロナ対応の税制措置(2020年4月13日号・№830)

第2特集
無担保かつ延滞税なしで1年間納税猶予
Q&Aで読む新型コロナ対応の税制措置


 政府が4月7日に閣議決定した緊急経済対策には、自民党及び公明党の税制調査会が取りまとめた税制上の措置も盛り込まれている。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、多くの事業者の収入が急減している状況を踏まえ、無担保かつ延滞税なしで1年間納税を猶予する特例を手当てする。欠損金の繰戻しによる還付制度については中小企業の対象を資本金10億円以下の中堅企業にまで拡大する。また、消費税の課税事業者選択届出書等については、課税期間開始後に課税選択に係る適用を変更することができる特例を設ける。
 本特集では、Q&A形式で緊急経済対策に盛り込まれた税制上の措置の概要について速報する。

緊急経済対策に盛り込まれた税制措置は?
Q

 緊急経済対策に盛り込まれた税制上の措置の概要について教えてください。
A
 新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴い、国税関係では①納税猶予の特例(地方税も対応)、②欠損金の繰戻しによる還付の特例、③テレワーク等のための中小企業の設備投資税制(中小企業経営強化税制の拡充)、④チケット払戻請求権を寄附金控除の対象とする(地方税も対応)、⑤住宅ローン控除の適用要件の弾力化(地方税も対応)、⑥消費税の課税事業者選択届出書等の提出に係る特例措置、⑦金融機関等が事業者に対して行う特別貸付けに係る消費貸借に関する契約書の印紙税の非課税が手当てされる。また、地方税関係では、⑧中小事業者等が所有する償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税の軽減措置、⑨生産性革命の実現に向けた固定資産税の特例措置の拡充・延長、⑩自動車税・軽自動車税環境性能割の臨時的軽減の延長(令和3年3月31日まで延長)、⑪耐震改修した住宅に係る不動産取得税の特例措置の適用要件の弾力化が手当てされる。

1年間の納税猶予は基本的にすべての税目が対象
Q

 1年間の納税猶予が認められるとのことですが、所得税だけでなく法人税についても認められますか。
A
 イベントの自粛要請や入国制限措置など、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための措置に起因して多くの事業者の収入が激減している状況を踏まえ、無担保かつ延滞税なしで1年間納税を猶予する特例を手当てする。基本的にすべての税目が対象(印紙税及び証紙徴収による地方税は除く)となり、社会保険料についても同様に取り扱う。令和2年2月1日から令和3年1月31日までに納期限が到来する国税及び地方税について適用する。その際、施行日前に納期限が到来している国税及び地方税についても遡及して適用することができる。要件としては、令和2年2月から納期限までの一定の期間(1か月以上)において、収入が大幅に減少した場合、具体的には前年同期と比べて概ね20%以上減収している場合や一次に納税が困難と認められる場合が対象になる。

欠損金の繰戻し還付、資本金10億円以下まで拡大も大規模法人の子会社は対象外
Q

 資本金10億円の企業です。欠損金の繰戻し還付の特例の対象会社が拡大されるとのことですが、弊社についても対象になりますか。
A
 現行、青色申告法人(資本金1億円以下)の欠損金については、欠損事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度の所得に対する法人税の繰戻還付をすることができる。今回の特例では、対象を「資本金1億円超10億円以下」の中堅企業にまで拡大し、令和2年2月1日から令和4年1月31日までの間に終了する事業年度に生じた欠損金について、欠損金の繰戻しによる還付制度の適用ができることとする。
 ただし、資本金1億円超10億円以下の法人のうち、大規模法人(資本金10億円超)の100%子法人及び100%グループ内の複数の大規模法人に発行済株式の全部を保有されている法人等は対象外となっている。

消費税の課税事業者選択届出書、課税期間開始後の変更を容認
Q

 消費税の免税事業者ですが、新型コロナウイルス感染症が拡大するなか、「課税事業者選択届出書」を提出するか迷っています。今回の税制改正で何か特例措置などは設けられていますか。
A
 消費税の課税事業者選択届出書等については、原則として課税期間の開始前に提出する必要がある。しかし、今回の新型コロナウイルス感染症の影響により、課税期間開始前には見通せなかった不測の事態が生じ、事業者の経営に大きな影響を与えてしまう可能性がある。このため、一定の要件の下で申請書を提出し、税務署長の個別の承認を得た場合には、その課税期間開始後に課税選択に係る適用を変更することができる特例を設けることとしている。また、現行制度上は、課税事業者を選択した場合には2年間継続適用する必要があるが、これも適用しない。
 一定の要件とは、今般の特例法(改正税法)の施行後に申告期限が到来する課税期間において、新型コロナウイルス感染症の影響により、1か月以上における売上が著しく減少(前年同期比概ね50%以上)した場合で、かつ、当該課税期間の申告期限までに申請書を提出した場合とされている。令和2年2月1日以降、令和3年1月31日までの期間に売上減少が生じた期間が存在する課税期間に適用される。

償却資産の固定資産税等を最大で全額軽減
Q

 固定資産税についてはどのような特例措置が設けられる予定となっていますか。
A
 地方税関係では、厳しい経営環境に直面している中小事業者等に対して、償却資産と事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税の負担(令和3年度の課税分)を軽減する。
 具体的には、令和2年2月から10月までの任意の3ヶ月間の売上高が前年の同期間と比べて①50%以上減少している者は全額、②30%以上50%未満減少している者は2分の1軽減する。令和3年1月31日までに、認定経営革新等支援機関等(税理士、公認会計士、弁護士など)の認定を受けて各市町村に申告する必要がある(下図参照)。虚偽の記載をした場合には罰則を設ける。

固定資産税特例は事業用家屋等を対象に追加し、2年間延長
Q

 最大で固定資産税がゼロになる特例措置ですが、今回の新型コロナ対策ではどのような見直しが行われますか。
A
 平成30年度税制改正で措置された中小企業を対象にした設備投資に係る固定資産税の特例措置は、平成30年度から令和2年度までの3年間に限り機械装置等に係る固定資産税を2分の1から最大でゼロまで軽減するというものだが、同特例措置については生産性向上特別措置法の改正を前提に令和4年度まで2年間延長する。
 現行制度は機械及び装置、器具及び備品、工具、建物附属設備が対象となっているが、これに事業用家屋と構築物を追加する。事業用家屋は取得価額の合計額が300万円以上の先端設備等とともに導入されたものとされ、構築物は旧モデル比で生産性が年平均1%以上向上する一定のものとされる。

テレワーク対象設備を中小企業経営強化税制の対象に
Q

 自粛要請の中、社員には自宅勤務をしてもらっています。これを機会にWEB会議システムなどの充実を図ろうと思います。税制による支援はありますか。
A
 多くの企業がテレワークを実施している中、テレワーク等のために必要な設備投資(デジタル化設備)については税を軽減することによる支援を行うとしている。現行の中小企業経営強化税制の対象となる設備投資の要件として、「遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかに該当する設備」を追加する。対象設備としては、機械装置(160万円以上)、工具(30万円以上)、器具備品(30万円以上)、建物附属設備(60万円以上)、ソフトウエア(70万円以上)とされている。
 中小企業経営強化税制とは、中小企業者等が特定経営力向上設備等の取得等をした場合には即時償却又は7%の税額控除(資本金が3,000万円以下の法人は10%)ができるというものである(適用は令和3年3月31日まで)。

チケット代払戻しの放棄で寄附金控除
Q

 新型コロナウイルス感染症により、コンサートが中止になりました。チケット代を払い戻さなかった場合、税が軽減されるとのことですが、具体的にはどのような制度なのでしょうか。
A
 自粛要請を踏まえ、コンサートやイベント等が中止され主催者に大きな損失が生じている状況を踏まえ、イベントの入場料等について観客等が払戻請求権を放棄した場合には、当該放棄した金額について、寄附金控除(所得控除又は税額控除)の対象とする措置が講じられる(20万円が上限)。
 寄附金控除の適用については、①主催者が文化庁等に申請、②主催者に特例対象イベント証明書(仮)等を交付。当該イベント名等を公表、③主催者が払戻請求権を放棄した観客等に対し、特例対象イベント証明書(仮)のコピー、払戻請求権放棄証明書(仮)を交付、④観客等は確定申告の際、特例対象イベント証明書(仮)のコピー、払戻請求権放棄証明書(仮)を申告書に添付することになる。また、個人住民税に関しては、所得税において寄附金控除の対象となるもののうち、住民の福祉の増進に寄与するものとして当該地方団体の条例で定めるものについて、当該地方団体の個人住民税の税額控除の対象となる。

新築の場合は9月末までに契約が必要
Q

 住宅の購入を検討していましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で中国の工場が操業停止したため、トイレやキッチンなどの資材が届かず年内に入居できるかどうかがわからない状況です。住宅ローン控除については何か税制上の措置が講じられるのでしょうか。
A
 現在、資材の供給遅れで住宅建設が予定通りに行われていないといった状況が生じている。このため、新型コロナウイルス感染症の影響により令和2年12月末までに入居ができなかった場合でも、一定の要件を満たす場合には控除期間が13年に延長された住宅ローン控除を適用できることとする。令和3年分以後の所得税について適用される。ただし、新築の場合は令和2年9月末まで、建売住宅・中古住宅の取得、増改築等の場合は令和2年11月末までに契約を行っているほか、令和3年12月末までの間に住宅に入居している必要がある。なお、住宅ローン控除可能額のうち所得税から控除しきれなかった額については、控除限度額の範囲内で個人住民税から控除することができる(控除限度額は所得税の課税総所得金額等の7%)。
 また、中古住宅取得から6ヶ月以内の入居を求める要件も緩和する。住宅ローンを借りて取得した中古住宅について、その取得の日から入居までの6ヶ月超の期間が経過していた場合であっても、①取得した中古住宅に行った増改築等について、新型コロナウイルス感染症の影響によって、増改築等後の住宅への入居が遅れたこと、②①の増改築等の契約が、中古住宅取得の日から5ヶ月後まで又は特例法施行の日の2ヶ月後までに行われていること、③①の増改築等の終了後6ヶ月以内に、当該住宅に入居していることの要件を満たせば、住宅ローン控除を適用できるようにする。こちらは令和2年分以後の所得税について適用される。

耐震改修、6ヶ月以内に入居できなくても特例あり
Q

 中古住宅を取得し、耐震改修しようと考えていましたが、工事が6ヶ月以内に終わりそうにありません。このようなケースについても税制上の特例措置が講じられますか。
A
 現行の耐震基準に適合しない中古住宅を取得した場合であっても、その取得の日から6ヶ月以内に耐震改修を行い、耐震基準に適合することにつき証明を受け、かつ、入居した場合に当該住宅が新築された時点に応じて一定の額に税率を乗じた額の不動産取得税が軽減される。
 今回の新型コロナウイルス感染症の影響によって、取得の日から6ヶ月以内に居住の用に供することができなかったとしても、①耐震改修に係る工事の請負契約について、当該住宅の取得の日から5月を経過する日又は特例法の施行の日から2月を経過する日のいずれか遅い日までに締結していること、②耐震改修に係る工事の終了後6ヶ月以内に、当該住宅を居住の用に供するとの要件を満たせば、不動産取得税の特例措置を適用することができる。これは令和3年度末入居分までの特例措置となる。

甘利会長、消費税は軽々にいじるつもりはない
Q

 自民党の若手議員らが消費税減税を行うべきとの緊急声明があったとの報道がありました。最終的にはどのような結果となりましたか。
A
 政府がまとめた緊急経済対策には消費税減税は盛り込まれていない。自民党内の議論では、若手議員を中心に消費税減税を検討すべきとの意見が出ていたが、その一方では消費税は社会保障全体の安定化のための財源になっているため減税すべきではないとの2つの意見が出ていた。
 この点、甘利明自民党税制調査会長は、「消費税は社会保障を支える税財源であるし、それによって社会保障の安定が図られ、将来の不安が払しょくされるということである。その安心・安定のために我々は政治的犠牲を図りながら今日までやってきた。消費税については軽々にいじるというつもりはない」と述べている。

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