コラム2020年04月20日 レポート 新型コロナの影響で拡充された雇用調整助成金の特例措置(2020年4月20日号・№831)
新型コロナの影響で拡充された雇用調整助成金の特例措置
雇用保険の加入期間が6か月未満の労働者も対象
新型コロナウイルス感染症が拡大するなか、やむを得ず従業員に一時的に休業してもらうといった事業主も多くなっている。この場合、事業主は平均賃金の100分の60以上にあたる金額を休業手当として支払わなければならないが、これを助成するのが雇用調整助成金だ。現在、緊急対応期間に関しては、雇用調整助成金の特例措置がさらに拡充されている。中小企業の顧問先を多く持つ税理士も知っておくべき助成金の1つといえそうだ。
1月24日以降の休業等から対象
雇用調整助成金については、今年2月に助成要件が緩和されているが、新型コロナウイルス感染症による影響が広範囲かつ長期化していることを受けて、令和2年4月1日から令和2年6月30日(緊急対応期間)までの休業等に関しては上乗せの特例措置が講じられている(表参照)。

今回の特例措置の最大の特徴は休業等を実施した場合の助成率が引き上げられたことだ。助成率は中小企業の場合は4/5、大企業の場合は2/3に引き上げられており、さらに従業員を解雇しない場合の助成率は中小企業9/10、大企業3/4となる。また、すでに休業を実施し、休業手当を支払っている場合でも、休業等の初日が令和2年1月24日以降のものであれば適用可能であり、申請書も令和2年6月30日(郵送の場合は必着)までは事後提出が認められている。
助成金の支給は、通常は申請から2か月程度となる。厚労省によると「できるだけ早い支給を目指しているが、窓口が込み合っており遅くなるかもしれない」と話しており流動的だ。
生産指標の要件が緩和
助成金が支給される条件を見てみると、通常は「生産指標(販売量、売上高等を示す指標)が3か月で前年同期と比べて10%以上低下」していることが給付の要件だったが、「生産指標が1か月で前年同期と比べて5%以上低下」していることに要件が緩和された。
また、事業所設置後1年以上を必要としていた要件を緩和し、令和2年1月24日時点で事業所設置後1年未満の事業主も制度の対象としている。ただし、ここで注意すべき点は、申請書の提出があった月の前月と、令和元年12月分の生産指標を比較する必要があることだ。例えば、4月に開業予定で準備を進めていたが休業要請により開業ができなくなった場合などは、本制度の対象外となる。この場合は、経済産業省や各都道府県で講じられている支援等の利用も検討する必要があるだろう。
パートやアルバイトも対象
助成金の対象となるのは、雇用保険に加入している事業主(全業種)だ。事業主が雇用保険に加入していないが、労災保険に加入している場合は、条件を満たした事業所であれば制度の対象としている。対象となる労働者についても、緊急対応期間中は雇用保険被保険者(パートやアルバイト(学生含む)など)や、新規学卒採用者などの雇用保険の加入期間が6か月未満の労働者も制度の対象とすることができる。
このほか、助成金が支給される前に資金繰りが限界を迎えて廃業せざるを得なくなった場合については、厚労省によると、休業期間中に休業手当を支払っていた場合は助成金の申請が可能であるという。ただし、具体的な部分は未定であるため、支給までの流れはハローワークや労働局で聞くこととなるので留意する必要がありそうだ。
税務上は益金算入も
なお、雇用調整助成金については、その給付の原因となった休業等の事実があった日の属する事業年度終了の日においてその交付を受けるべき金額が具体的に確定していない場合であっても、その金額を見積り、当該事業年度の益金の額に算入される(法基通2.1.42)。
ただし、費用計上した休業手当があるため、結果として課税が生じないことになる。
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