税務ニュース2025年10月17日 審判所、輸出免税の否認を取消し(2025年10月20日号・№1095) 国外で商品を受け取る国外事業者は、国内で便益を享受するとは言えず
納税者は国内で商品を仕入れ、国外事業者に輸出販売したとして消費税等の申告を行った。これに対し課税当局は、納税者は仕入れの主体ではなく「業務代行」にすぎないと認定し、仕入税額控除および輸出免税を否認。消費税等の更正処分および重加算税の賦課決定を下した。納税者はこれを不服として審査請求を行ったところ、国税不服審判所は令和7年1月8日、仕入税額控除と重加算税の賦課については課税庁の主張を認める一方、輸出免税については納税者の主張を認め、更正処分の一部を取り消している(東裁(法・諸)令6第102号)。
納税者は仕入税額控除の適用について、国外事業者との間で「売買契約書」を締結し、国内卸売業者からの商品の受取り・代金の支払い・通関手続等を担っていたことから、「商品の仕入れ」を行っていたと主張。これに対し審判所は、商品の注文は国外事業者が行い、代金の支払いも国外事業者からの前受金を原資としていたこと、国内卸売業者からも「輸出代行業者」と認識されていたことから、納税者は輸出・買付業務の代行者にとどまり、仕入税額控除は適用されないとした。
注目されるのが輸出免税に関する判断だ。課税当局は、国内での商品の受取りと通関業者の倉庫への運搬が納税者の業務内容であり、これは輸出免税対象外の「国内に所在する資産に係る運送又は保管」(消令17②七イ)に該当すると主張した。これに対し審判所は、納税者の買付・輸出代行業務により国外事業者は日本国外にいながら商品を受け取ることが可能になるため、日本国内において直接便益を享受するものとは言えず、輸出免税対象外となる取引(同号イ~ハ)には該当しないとした。
国外事業者のために国内において商品の買付・輸出代行を行う事業者が「仕入れの当事者ではなかった」として仕入税額控除の適用を否認される事案は過去にも複数存在するが(東京高裁令和元年11月6日判決、東京高裁令和2年10月15日判決)、輸出免税の適用まで否認される事案は珍しい。本件は審査請求の結果、輸出免税の適用が認められたものの、輸出・通関業務への関与の程度によっては「国内に所在する資産に係る運送又は保管」に該当し、輸出免税対象外とされ得るため要注意だ。
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