会社法ニュース2025年10月17日 有価証券届出書提出免除基準は5億円へ(2025年10月20日号・№1095) 調達金額1億円以上5億円未満の募集等は事業報告等を添付
ディスクロージャーワーキング・グループ(座長:神作裕之学習院大学法学部教授)の第3回目となる会合が10月15日に開催され、①有価証券届出書の提出免除基準、②特定投資家私募制度、③株式報酬に係る開示制度について検討が行われた。
第1回目の会合では、スタートアップ企業等への投資を推進する観点から、現行1億円とされている有価証券届出書の提出免除基準を引き上げる方向で意見が一致していたが、その基準を5億円に引き上げることで多くのメンバーから賛同を得られている。また、提出免除基準を5億円に引き上げた場合、従来有価証券届出書が提出されていた募集等(調達金額1億円以上5億円未満の範囲)について有価証券届出書が提出されないことになるため、投資者保護の観点から、①募集等について提出される有価証券通知書の添付書類として、会社法上の事業報告や計算書類を追加する(監査役等又は会計監査人による会社法上の監査報告書がある場合には、これらの添付も求める)、②当該有価証券通知書は、添付書類も含めてEDINETを通じてインターネット上で公衆縦覧に供する(前提として、有価証券通知書は、現在、EDINETでの提出が任意とされているため、当該募集等に係る有価証券通知書はEDINETでの提出を義務付ける)としている。加えて、少額募集制度については、有価証券届出書の提出免除基準を5億円から1億円に引き下げた際に、従前開示義務のなかった1億円以上5億円未満の範囲の募集等について適用される制度として導入された経緯を踏まえ、利用可能な募集等の範囲を5億円以上10億円未満の募集等とした上で存置する方向となっている。
特定投資家私募制度に関しては、プロ向け市場上場銘柄は増加しているものの、資金調達の事例は極めて限定的であることから、潜在的特定投資家(特定投資家要件を満たし、高い情報分析を有するものの、特定投資家への移行手続を行っていない者)を特定投資家私募の勧誘の相手方に追加する方向だが、慎重に検討すべきといった意見も寄せられている。
また、株式報酬に係る開示制度に関しては、非上場会社や日本市場に上場していない外国の会社が、日本所在の役員・使用人に株式報酬を交付する場合も、有価証券届出書の提出を不要とする方向だが、この場合、上場株券も含め、株式報酬の交付の際の勧誘を募集等から除外することとしている。
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